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第28話 王都到着
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月の魔女と聖剣
第28話 王都到着
貴族の私兵たちを夜襲した翌日、相手が動き出す前に王都の門をリエットを乗せた馬車が通り抜けていった。王都に入るために、貴族の家族ならば貴族の証明書を持っていればそれで通されるが、冒険者は一人に付き銀貨一枚を通行料として取られる。かなり高いがそれでも長年の規則なのだろうことは理解出来た。
そもそも、こちらが城門を通り過ぎた時点で捕らえようとしていた貴族たちの敗北が決まった瞬間であり、護衛任務の完了を意味していた。
王都シルバールは、城塞都市としては最大級の大きさを誇っており、東西の広さがウエストエンドの倍。南北に至っては3倍以上と相当広い。もともと平野に建てられていることもあり、広大な土地が昔からここにはあったのだろう。
建国当初より、千年経った今では貴族街と平民街が分かれ、それどころか広大なスラムまである始末だ。貴族街は厳重な警備を敷かれているが平民街やスラムまでは警備が行き届かないと言う典型的な状況を生み出していた。
王家から力が失われて久しいこともあり、王都の状況は好転することはなかった。
城門そばの暮らしぶりを見れば、その位は理解できる。リエットの顔が陰ったのもその理由だろう。
「王都ではウエストエンドよりも貧富の差が激しいのですね。その日を暮らすのが手一杯の人達がこんなに居るなんて」
貴族の令嬢として、素直に感情を出すことは良くないことだがあまりの差に出てしまったようだ。辺境とは違い、王都は格差がひどく下に落ちてしまえば這い上がるのは困難であったのも拍車をかけているのだろう。
最下層に落ちて這い上がるには冒険者になるしかない。が、学も無ければ腕もない人間はそのまま腐っていくしかない。力こそ正義と言う形になってしまっているのは問題がありすぎた。
少なくとも千年続いた王国の姿としては闇が深すぎて、厳しい状態だと言うこと。それだけ貴族に特権があり過ぎる弊害だった。
そんな状態で国力は落ちているが隣国に攻められないのは、海を隔てているからで、陸で接していたのなら攻め込まれていたのは容易に想像出来る。
政治体制が行き詰まっている証であり、王家の力のなさが露呈してしまっていた。
『王都がこれではウエストエンドの方が全然良い。民衆に笑顔がないのは収奪されている証拠。少なくともウエストエンドは、住んでいる民に笑顔はあったから』
沙更がそう判断したのも当然の話で、ここに住みたいとは思えなかった。荒野の狼の面々も同じ意見を持つに至ったようだ。言葉にはせずとも厳しい視線をスラムに送っていたから。
スラムの住人による通行妨害も頭に入れて護衛していく荒野の狼の面々。流石に武装した冒険者に絡む人間は居らず、スラムの側を通り過ぎていく。
城門の側がああなっているのでは、警戒せざるを得ない。その時点で、治安が良くないのは肌で感じてしまう。馬車はそのまま平民街を通り過ぎ、王都にある辺境伯の屋敷へと入っていった。
第28話 王都到着
貴族の私兵たちを夜襲した翌日、相手が動き出す前に王都の門をリエットを乗せた馬車が通り抜けていった。王都に入るために、貴族の家族ならば貴族の証明書を持っていればそれで通されるが、冒険者は一人に付き銀貨一枚を通行料として取られる。かなり高いがそれでも長年の規則なのだろうことは理解出来た。
そもそも、こちらが城門を通り過ぎた時点で捕らえようとしていた貴族たちの敗北が決まった瞬間であり、護衛任務の完了を意味していた。
王都シルバールは、城塞都市としては最大級の大きさを誇っており、東西の広さがウエストエンドの倍。南北に至っては3倍以上と相当広い。もともと平野に建てられていることもあり、広大な土地が昔からここにはあったのだろう。
建国当初より、千年経った今では貴族街と平民街が分かれ、それどころか広大なスラムまである始末だ。貴族街は厳重な警備を敷かれているが平民街やスラムまでは警備が行き届かないと言う典型的な状況を生み出していた。
王家から力が失われて久しいこともあり、王都の状況は好転することはなかった。
城門そばの暮らしぶりを見れば、その位は理解できる。リエットの顔が陰ったのもその理由だろう。
「王都ではウエストエンドよりも貧富の差が激しいのですね。その日を暮らすのが手一杯の人達がこんなに居るなんて」
貴族の令嬢として、素直に感情を出すことは良くないことだがあまりの差に出てしまったようだ。辺境とは違い、王都は格差がひどく下に落ちてしまえば這い上がるのは困難であったのも拍車をかけているのだろう。
最下層に落ちて這い上がるには冒険者になるしかない。が、学も無ければ腕もない人間はそのまま腐っていくしかない。力こそ正義と言う形になってしまっているのは問題がありすぎた。
少なくとも千年続いた王国の姿としては闇が深すぎて、厳しい状態だと言うこと。それだけ貴族に特権があり過ぎる弊害だった。
そんな状態で国力は落ちているが隣国に攻められないのは、海を隔てているからで、陸で接していたのなら攻め込まれていたのは容易に想像出来る。
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『王都がこれではウエストエンドの方が全然良い。民衆に笑顔がないのは収奪されている証拠。少なくともウエストエンドは、住んでいる民に笑顔はあったから』
沙更がそう判断したのも当然の話で、ここに住みたいとは思えなかった。荒野の狼の面々も同じ意見を持つに至ったようだ。言葉にはせずとも厳しい視線をスラムに送っていたから。
スラムの住人による通行妨害も頭に入れて護衛していく荒野の狼の面々。流石に武装した冒険者に絡む人間は居らず、スラムの側を通り過ぎていく。
城門の側がああなっているのでは、警戒せざるを得ない。その時点で、治安が良くないのは肌で感じてしまう。馬車はそのまま平民街を通り過ぎ、王都にある辺境伯の屋敷へと入っていった。
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