月の魔女と聖剣

空流眞壱

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極星騎士団と王都冒険者ギルド

第44話 辺境伯の屋敷の大清掃

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月の魔女と聖剣

第44話 辺境伯の屋敷の大清掃

 ジークとメアリーがやってきて、ガーゼルベルトが現状を把握した時から辺境伯の屋敷の大清掃が始まった。アランの息がかかった使用人たちは解雇され、2年前まで雇っていた使用人たちと入れ替えていく。

 主を間違えているのなら、雇っているわけにはいかない。完全にカタリーナがフィリエス家を取り戻したのだから。

「奥様を煩わすわけにはいかん。この状態を放置しておくことは出来ないのだ」

「お嬢様に不敬な態度を取ったメイドたちも排除しますね。こちらで動きは掴んでおきますから」

 二人で連携しつつもガーゼルベルトの手も入って、屋敷の大清掃を粛々と行っていく。徐々に入れ替わっていけば、少しずつ屋敷の雰囲気も変わっていく。

 カタリーナにはガーゼルベルトから書簡と言う形で報告し、宰相としての仕事と並行して、リエットを捕らえようとして動いた貴族たち以外の貴族の動向を調べていく。既に、王都の前に配置されていた貴族達の裏は取れているため、ある程度捕らえていたりする。貴族同士の暗闘は飽きるまで続くものではあるが、歯止めをかける必要があった。

 貴族の暗闘は、権力争いに他ならない。一部を除けば王家に成り代わりたいと考える野心家が多かった。それらから王家を守って来たのがガーゼルベルトだけに恨まれている。排除したいと考えている野心家の貴族達が多いが、それでも牙城を崩せずにいるのは隙すら与えていない上に、情報をきちり入手していたからに他ならない。

 当のガーゼルベルト自身は、これ以上の栄達など興味がない。カタリーナに辺境伯を譲っている上、妻も亡くしていることから社交界に出ることも稀であった。

 裏から手を回しての行動は、リエットとフィリエス家の為であった。リエット自身、ジークとメアリーが王都に来てくれたことにちょっとほっとしていた。王都にいるメイドたちが信用ならなかっただけに、心休まらない日々だったからだ。

「ジークもメアリーも辺境から来てくれてありがとう。王都の屋敷の人達の目が怖いし、信用出来そうになかったから小さい治癒士様たちにも不便な思いをさせてしまったの」

「そう言ってもらえて嬉しく思いますぞ。お嬢様、今しばしご辛抱ください。屋敷の中の風通しを良くしているところですので」

「お嬢様、今後はあたしもいますからよろしくお願いしますね」

 辺境伯家として、辺境が今問題を抱えていないことからできた事であった。今までなら辺境の問題で王都の事まで手が回らない状態だった。だが、今なら人を回すことすら可能となっていた。

 辺境が徐々に豊かになっていっているのを実感出来るのは、王都の事まで手が回るようになったことだろう。そういう意味でも沙更の存在は大きかった。

 辺境での問題を殆ど処理してしまったのは、沙更を入れた荒野の狼の面々であった。月を浮上させたこと、辺境での大型範囲魔法を何度か炸裂させたことで土地に魔力が満ちたこと、そして月女神の眷属を討伐したこと。

 その3つが無ければ、今も辺境は問題だらけだっただろう。細かい事はあるけれど、カタリーナの能力なら問題なく処理できる事柄になっていた。それだけでも快挙なことであり、月女神の眷属の討伐は本当なら王都で表彰されるレベルの話である。

 が、討伐者をあやふやにしたのは月女神が現世に関与するつもりが無かったことと沙更自身が固辞したからだ。そのせいで辺境伯家として沙更たちを手放すことが出来なくなってしまっていたのは仕方のないことであった。
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