月の魔女と聖剣

空流眞壱

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辺境伯対他貴族

第70話 沙更への圧力

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月の魔女と聖剣

第70話 沙更への圧力

 青年の襲撃をミリアの助けで無事切り抜けた沙更は、青年の言葉に疑問を持っていた。

「ミリアお姉さん、私そんなに辺境のために動いてました?」

「終わってみれば辺境のためになったと言うのが本当のところだと思うよ。モンスターの氾濫はあれだとしても、ウエストエンドの再開発はカタリーナ様から知恵を貸して欲しいって言われてのことだったわけだし」

「他の貴族にとって、辺境が富むのは許されないと言うのがあの青年の感じから受け取れました。そもそも辺境伯自体かなりの力を持っていて当たり前なのですが、そこのところって考慮されていないのでしょうか?」

 爵位の関係は、沙更も頭に入っている。辺境伯は基本的に侯爵に準じるほどの力を持つ。モンスターが多い土地柄なので独自に騎士団を持つことを許されている。国境の守りもしていることもあるほどの重要な役目なのだが、今の堕落した貴族達にはそれすら理解出来ていないのだろうか?と思ってしまう。

 シルバール王国の国力が下がってきているだけに、辺境の富み具合が余計に目立つのだろう。それにしても、他の貴族達は私腹を肥やすことと権力闘争しかしていないのだろうかと思う位堕落してしまっていた。王家すらないがしろにしている辺りがもう末期そのものだ。

 1000年持ったとはいえ、貴族達が好き勝手をし始めている時点でもう長くは持たない。ここ一年で、富を集中させることになった辺境を妬んだとしてもやり口が直接的すぎる。貴族ならもうちょっと迂遠に仕掛けてくるものだと沙更は思っていたのだ。

 が、王都の時は騎士団関係でもめ、貴族の私兵とやり合い。辺境に戻ってきたら、今度は商業ギルドからの懇意にしているお店への圧力とある意味笑えない。しかも、露骨に沙更を警戒しているどころか敵視しているのだから。

 嫌がらせとしてやってきたのならば、やり返しても文句を言わせるつもりはない。仕掛けられたのならば、やり替えされることも頭にあるだろうと沙更として思う。

「ミリアお姉さん、一回カタリーナ様へ報告しておきましょう。そこで、出方を決めたいと思います」

「セーナちゃん、冷静に見えるけど結構怒ってない?」

「こちらの食料関係を狙って仕掛けてきていること自体が感に障るのです。沙更が居た異世界で、沙更がいた国は食料関係で仕掛けちゃいけないと言われていました。なぜだと思います?そこだけが竜の逆鱗なのです、触られたら激怒確定です」

 沙更はそう言いつつもしきりに頭を巡らせる。質の良い辺境の野菜や牛乳を安い他の産地の物で駆逐しようなんてことは許されることではない。確かにコストが高いと言うのは、かなり厳しい。それでも、それを駆逐することは辺境を貧乏に逆戻りさせたい勢力の思うつぼになることだ。

 自分がきっかけで懇意になったお店に迷惑をかける輩に、こちらが全力を出さないわけがないことを知ってもらう良い機会だろうとも思う。

『私に直接来なかった時点で、沙更として怒り沸騰なんだけどね。セーナちゃん自身は関与しないって決めているみたいだから』

 沙更自身の心は既に決まっているだけに、今後どうするかの方が重要となってくる。それだけに、勝手に動くことはカタリーナやガーゼルベルトに迷惑をかけることになるのも分かっていた。
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