月の魔女と聖剣

空流眞壱

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辺境伯対他貴族

第85話 街道沿いの盗賊退治5

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月の魔女と聖剣

第85話 街道沿いの盗賊退治5

 盗賊達はアジトを出て、侵入者を捜しに入口側に向かう。見張りが魔法で眠らされたと聞いたからだ。

 その頃、冒険者パーティー荒野の狼の面々が宝物庫で休憩を取っているとは思っていない盗賊達は入り口側で寝ていた盗賊をたたき起こすが侵入者の情報を持っていないことが分かった為、まさかと思いつつも宝物庫の方へ動く。

 アジト側に来なかったのは分かっていただけに、入り口側に居なかったことから宝物庫側に居ることが分かって、急いで宝物庫へ向かう。

「くそっ、宝物庫の方へいってやがるとは…」

「それにしても、相手の魔法士は相当熟練していると思われるから無理はするなよ?」

「たかが冒険者に、警戒もくそもねえよ。まあ、確かに一部例外の奴らはいるがそんなやつらは派遣されてこねえだろうよ」

 盗賊の頭が副官にそう言うが、そのまさかだと言うことに気づいていない。手を出した相手を考えるなら、楽観視するのは自殺行為にしかならないのだが、そこまで頭が回っていない。こちらも貴族の後ろ盾があるから、多少の無茶も出来るから気が大きくなっていたのだ。

 大勢で、宝物庫へ動いていく。その足音は洞窟で響いて、ミリアや沙更のところまで聞こえていた。

「そろそろ来そうだね」

「大勢とは言っても二十人くらいでしょう。パウエルさん、いつも通りで大丈夫ですか?」

「今の俺たちなら、盗賊ならどうとでもなる。ヘレナだけは注意していてくれ。俺とガレム、ミリアなら心配いらない」

「私もある程度なら動ける。昔とは違うわ」

 ヘレナもそう言うがどうしても実戦経験差がどうしても出てしまう。多少なら大丈夫だろうが、それでも若干の不安があったのは否めない。だが、そこは沙更がいるからそこまで心配する必要も無かったのだが。

「そこに関しては、私がフォローします。それに、数を減らす役目はすぐ終わるでしょうから」

「セーナちゃんにお任せになってしまうが、頼む」

 パウエルは沙更の提案に頷くと盗賊達が来てからの段取りを組み始めた。

 盗賊達の足音が聞こえ始めて多少の時間が経過して、盗賊達が宝物庫に到着した。

「てめえらか、俺らのアジトに土足で入り込んだ野郎どもは!!」

「名乗りとかは良いから、仕掛けてくるなら来いよ。どちらにしろ、後はねえがな」

 盗賊の頭の言葉に、ガレムがそう返す。副官は、ガレムの装備を見て目を見張った。聖鋼の斧を持つ冒険者など王都の冒険者以外で該当するのは1人しか居ない。そして、見るからに軽装で冒険者をしているのは辺境最強である荒野の狼だけであった。

(まさか、この装備と言い辺境最強か!?まずい、まずすぎる。辺境最強が動いているとなれば、辺境伯カタリーナが動き出したと同義。まだ動けないと思っていたが、ここで読み間違えるとは)

 既に辺境伯カタリーナが動き始めている事に気づいた盗賊の副官は、冷や汗を流していた。今対峙している冒険者が辺境のモンスターをなぎ倒して名を上げた荒野の狼だと分かっていた事と辺境伯カタリーナとの繋がりを調べていた為、知っていたからだった。

 盗賊の被害を受けた街道沿いの領主が泣き寝入りすると考えていたが、既にカタリーナに泣きついていたなどと知らないだけに、動きが迅速すぎると少し考え違いをしつつも状況が完全に悪化したことを理解するしか無かった。
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