月の魔女と聖剣

空流眞壱

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辺境伯対他貴族

第90話 再び王都に戻る

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月の魔女と聖剣

第90話 再び王都に戻る

 洞窟が崩落してから数日、街道沿いの盗賊を片っ端から退治していった。ウエストエンドから王都までの街道は数人の貴族の領地を通る。そのどこの領地でも盗賊が荒らし回っていたが、それらを一気に解決したことになる。あれから、黒い甲冑の男も盗賊を補佐していた副官も見当たらなかった。

「流石に、俺たちが出てきたことに警戒しているのか?」

「洞窟を崩落させたことで安心しているのかもしれないけど、油断はならないかな?」

「どちらにしろ、王都で待ってんじゃねえか?高位貴族ともなれば、ふんぞり返っているのが普通だろうが」

「ガレム、それ偏見って言いたいけれど実際そうなのが笑えないわ。王都に行けば分かるかもしれない」

 最初の盗賊退治より、あの2人が出てこない。盗賊達で嫌がらせをしていたことから目標を切り替えた可能性もあった。とは言え、敵の目的が分からない以上盗賊退治を求められているのは分かっていた。

 主要街道が走っている領地の割に、住んでいる人間達の表情は冴えない。やはり、税金が重いのだろうと予想が出来てしまう。少なくとも今のウエストエンドではない光景であった。それだけに、盗賊の被害が大きいのもまた確かだった。

 商人達の被害が大きく、それにより流通経路を遮断されていたとなれば物資の滞りが発生するのも無理は無かった。おかげで、塩などの必需品が手に入りづらくなってしまっていたのだ。領主側に力がないこともあり、盗賊を退治できないと言う笑えない状態になってしまっていた。

 本来ならそこで冒険者の出番なのだが、王立騎士団が討伐をしていたこともあり冒険者ギルドがこの街道の町にはないのも拍車をかける形になっていた。ある意味国に丸投げしていた格好なのだ。領主ですら手出し出来ないというのはそれだけ貴族としての力が無いと言うことでもある。

 今回は、カタリーナからの依頼で盗賊退治を片っ端からやったわけだが治安維持すら厳しいのでは力を得る為に税金を重くすると言う方向に舵を切るのも分からなくはなかった。それで力をつけられるかと言えば、疑問符が浮かぶのは当然の話であったが。

 そんなこんなで、盗賊退治を続けていった結果。ウエストエンドを出て数日で、王都シルバールに戻ってくる形となった。だが、王都はパウエル達が初めて来たときよりも治安が悪化していて、平民たちがスラムに追い込まれたりする状況となっていたのであった。

 再度西門から王都シルバールに入ったパウエル達だが、あまりの違いに驚くしかなかった。スラムの拡大がひどいことになっていたからだ。それだけ、平民達の暮らしが脅かされていると言う証。

 高位貴族たちは、先のオーク大発生の件で自分達の領地に戻っていて王都に戻る気配がない。高位貴族たちがいなくなったことで警備網にかなりの抜けが発生してしまっていた。王立騎士団は王のための騎士団ではなく、高位貴族達のためのものでもあったからだ。貴族達との癒着が取りだたされる中、その中核の高位貴族たちが居なくなったことにより、警備が緩んだことが響いたのだろう。
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