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第二王子との邂逅
第95話 王立学園へ
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月の魔女と聖剣
第95話 王立学園へ
辺境伯の屋敷に戻ってきた翌日、リエットと共に王都にある王立学園へと馬車で向かう。8人乗りの大型馬車は、質実剛健を尊ぶ辺境伯家らしく、豪華さは一切ない。実用性を重視した馬車は軽快に石畳の道を学園へと誘っていく。
流石に王都の治安が悪化しているとは言え、貴族の馬車を襲うと言う事はなかった。今の王都の治安を維持しているのは極星騎士団であり、王立騎士団では無かった。数が少ないため、貴族街しか見回りが出来ていない状況。
100人の小規模な騎士団で、王都全域の治安維持は不可能であった。それでも、最低限の治安維持が出来ているのは極星騎士団の実績があるからであった。一応、パウエルたちから王立学園内部での護衛もガーゼルベルトから王立学園に頼むことで、学園から許可を得ることが出来ていた。
「幼い治癒士様、学園の中は大丈夫だと思うけれど…」
「リエット様、ジークさんは学園の中まで護衛は出来なかったと思いますがもし事があったらこっちが困ってしまいます」
沙更として、学園内が完全に安全ではないと踏んでいた。今までは、なんとかなっていたかもしれないが盗賊による街道の封鎖策すら荒野の狼の面々で打ち破っている。カタリーナと敵対する貴族達が学園で仕掛けてきてもおかしくは無かったからだ。
「とは言っても、幼い治癒士さまが学園に入学されるには年が…」
「そのくらいならばどうとでもなります。リエット様なら分かると思いますが」
「えっ、セーナちゃん。学園に行く気なの?」
沙更の言葉にミリアが反応する。だが、学園内で何かがあってはリエットを守ることは出来ないのは確か。今の沙更ならば学園に通うのも可能であった。
「幼い治癒士様の力なら可能だと思いますが、学生で入られるのですか?」
「流石に講師は荷が重いと思いますけど?」
「幼い治癒士様は、異界の知恵をお持ちですよね?だとしたら学園のレベルに驚かれるかと思うのです」
リエットの言葉に、沙更はポンと手を打った。沙更は異世界の知恵を持ち合わせるだけに、この世界の知恵に乏しい。ある程度辺境ですり合わせは出来ていたがそれでもこの世界の知識水準を知らずに居たからだ。
「どちらにしろ、この容姿のままと言うわけにもいかないから」
そう沙更は言うとセーナの姿から異世界での沙更の容姿に変化する。セーナの魂の記憶ではなく、沙更の魂の記憶されている容姿へと。本当の沙更の姿に切り替わったことで、身長が127cmから157cmへと代わって長い髪はそのままに色が銀色へと変わっていた。髪の色は、人を超えた証であり月女神の祝福であった。背が高いと言うわけではない、低すぎると言うわけでもない。だが、確実に人目は集めるだろう容姿とプロポーションであった。
その変化はいろいろと驚かせてきていた荒野の狼の面々とリエットを再度驚かせるには十分で、絶句してしまっていた。ずっとセーナの姿でいたのに、沙更の姿に変化出来るなんて思ってもみなかったからだ。
「この姿なら問題は無いと思います」
「えっと、セーナちゃん?それは代わりすぎって思う」
「女性として羨ましいって思うのもありますが、治癒士様その容姿は確実に嵐を巻き起こします」
リエットの言葉に、ミリアもヘレナも頷く。沙更自身は容姿に優れると言ったわけでは無かった。容姿としては異世界に居た当時は中の上くらいであったし、その容姿のままだと思っていた。が、セーナの魂と結合している上に月女神の祝福を受けた結果、容姿は桁外れのものとなってしまったことに気づいていない。
「セーナちゃんが大人になったらこうなるのね…。なんと言うか、美人って言うのも陳腐に思うほどって言えるわね」
「流石に近寄りがたさを感じるよ。あまりにも美しいとこうなるんだな」
「リーダーがそう思うのも納得だぜ。つうか、男が黙っちゃ居ないよな。流石に、セーナちゃんが育てばこうなるかあ」
「ガレム、下手なこと考えてたら蹴るよ?」
「ミリアがピリピリするなよ。あー、素直に思ったことを口にしちまった。ただそれだけなんだぜ」
ガレムの正直な言葉に、ミリアが突っ込む。沙更としては、この面々なら大丈夫と分かっているが他の男性だと厳しいというのは理解した。
そんな状況の中、馬車は学園に到着したのだった。
第95話 王立学園へ
辺境伯の屋敷に戻ってきた翌日、リエットと共に王都にある王立学園へと馬車で向かう。8人乗りの大型馬車は、質実剛健を尊ぶ辺境伯家らしく、豪華さは一切ない。実用性を重視した馬車は軽快に石畳の道を学園へと誘っていく。
流石に王都の治安が悪化しているとは言え、貴族の馬車を襲うと言う事はなかった。今の王都の治安を維持しているのは極星騎士団であり、王立騎士団では無かった。数が少ないため、貴族街しか見回りが出来ていない状況。
100人の小規模な騎士団で、王都全域の治安維持は不可能であった。それでも、最低限の治安維持が出来ているのは極星騎士団の実績があるからであった。一応、パウエルたちから王立学園内部での護衛もガーゼルベルトから王立学園に頼むことで、学園から許可を得ることが出来ていた。
「幼い治癒士様、学園の中は大丈夫だと思うけれど…」
「リエット様、ジークさんは学園の中まで護衛は出来なかったと思いますがもし事があったらこっちが困ってしまいます」
沙更として、学園内が完全に安全ではないと踏んでいた。今までは、なんとかなっていたかもしれないが盗賊による街道の封鎖策すら荒野の狼の面々で打ち破っている。カタリーナと敵対する貴族達が学園で仕掛けてきてもおかしくは無かったからだ。
「とは言っても、幼い治癒士さまが学園に入学されるには年が…」
「そのくらいならばどうとでもなります。リエット様なら分かると思いますが」
「えっ、セーナちゃん。学園に行く気なの?」
沙更の言葉にミリアが反応する。だが、学園内で何かがあってはリエットを守ることは出来ないのは確か。今の沙更ならば学園に通うのも可能であった。
「幼い治癒士様の力なら可能だと思いますが、学生で入られるのですか?」
「流石に講師は荷が重いと思いますけど?」
「幼い治癒士様は、異界の知恵をお持ちですよね?だとしたら学園のレベルに驚かれるかと思うのです」
リエットの言葉に、沙更はポンと手を打った。沙更は異世界の知恵を持ち合わせるだけに、この世界の知恵に乏しい。ある程度辺境ですり合わせは出来ていたがそれでもこの世界の知識水準を知らずに居たからだ。
「どちらにしろ、この容姿のままと言うわけにもいかないから」
そう沙更は言うとセーナの姿から異世界での沙更の容姿に変化する。セーナの魂の記憶ではなく、沙更の魂の記憶されている容姿へと。本当の沙更の姿に切り替わったことで、身長が127cmから157cmへと代わって長い髪はそのままに色が銀色へと変わっていた。髪の色は、人を超えた証であり月女神の祝福であった。背が高いと言うわけではない、低すぎると言うわけでもない。だが、確実に人目は集めるだろう容姿とプロポーションであった。
その変化はいろいろと驚かせてきていた荒野の狼の面々とリエットを再度驚かせるには十分で、絶句してしまっていた。ずっとセーナの姿でいたのに、沙更の姿に変化出来るなんて思ってもみなかったからだ。
「この姿なら問題は無いと思います」
「えっと、セーナちゃん?それは代わりすぎって思う」
「女性として羨ましいって思うのもありますが、治癒士様その容姿は確実に嵐を巻き起こします」
リエットの言葉に、ミリアもヘレナも頷く。沙更自身は容姿に優れると言ったわけでは無かった。容姿としては異世界に居た当時は中の上くらいであったし、その容姿のままだと思っていた。が、セーナの魂と結合している上に月女神の祝福を受けた結果、容姿は桁外れのものとなってしまったことに気づいていない。
「セーナちゃんが大人になったらこうなるのね…。なんと言うか、美人って言うのも陳腐に思うほどって言えるわね」
「流石に近寄りがたさを感じるよ。あまりにも美しいとこうなるんだな」
「リーダーがそう思うのも納得だぜ。つうか、男が黙っちゃ居ないよな。流石に、セーナちゃんが育てばこうなるかあ」
「ガレム、下手なこと考えてたら蹴るよ?」
「ミリアがピリピリするなよ。あー、素直に思ったことを口にしちまった。ただそれだけなんだぜ」
ガレムの正直な言葉に、ミリアが突っ込む。沙更としては、この面々なら大丈夫と分かっているが他の男性だと厳しいというのは理解した。
そんな状況の中、馬車は学園に到着したのだった。
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