月の魔女と聖剣

空流眞壱

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第二王子との邂逅

第115話 ウィリアム王子とのお茶会2

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月の魔女と聖剣

第115話 ウィリアム王子とのお茶会2

 沙更の言葉に、ウィリアムもリエットもびっくりした表情を浮かべるしかなかった。領民が領主を助けると言う頭があると言うのがどれだけ特殊なことか、二人が知っている領民と沙更の言っている領民が=にならないのも当然であった。

「やはり、貴女は特殊過ぎる。あれだけの治癒魔法を詠唱無しの時点で途方もないことなのだ」

「もう、あの力は貴女しか使えないのです。それに、領主を助ける民は本当に特殊なのですよ」

「辺境ならば、その素地は出来ていると思います。それに、もうシルバール王国の中でも変わった土地になっていますから」

 シルバール王国の政治体制は中世の仕組みのままだが、既に辺境伯の領地では領民が街の運営に関わりつつある。その時点でかなりの差が出来上がっていた。民の動きで街が良くなるか悪くなるか変わるとなれば、話が違ってくるのもまた当然の話。

 さらに言うのならば、スラムを完全に排除出来ているのはウエストエンドのみ。資金源もそうだが、今の辺境には下手な小国家を越える食料や資源、そして資金が蓄えられている。貴族同士の戦争になったとしても余裕で戦い抜けるだけの糧食を保持出来ている時点で、相手に取っては厳しい。

「辺境はモンスターが跋扈する土地としか聞いていなかった。が、貴女がそう言うのならば一回見てみたいと思うが動くことは厳しいだろうな」

 ウィリアムは沙更の言葉に辺境への興味を持ったようだ。この国だけではなく隣国も知っている彼ならば、今の辺境はどれだけ進んだかを理解出来るかもしれない。だが、第二王子でありつつも力を持たないだけに下手に動けないのもまた事実。

 王族とは言え、力を失ったことの弊害はついてまわるものだ。リエットはそんなウィリアムを見て、困ったような表情を浮かべるだけだが気にはなっていると言う証でもあった。

 そうやって話をしていると折角淹れたお茶が冷めてしまっていた。再度侍女たちがお茶を注いでくれる。それを受け取りつつも、再度ウィリアムが口を開く。

「道案内と言い、治療して貰ったことと言い君には私は二度助けられてしまったな。ありがとう」

「私は治癒士でも有りますし、冒険者でもあります。助けられる人を助けるのは私の心情ですから礼には及びません。でも、心から言っているのは分かりますのでそのお礼謹んでお受けいたします」

「どうしても王族ともなれば、礼節がついてまわる。君の思考に感謝するよ」

「ウィリアム王子がこの国の大半の貴族とは一線を画しているのを理解出来ました。礼節を欠いて申し訳ありませんが、私としても収穫があったとだけ言っておきます」

 沙更として、リエットが気にする殿方を確認しておきたい気持ちはあった。が、それが道案内をした彼だったとは思ってもなかったし、傷の治療くらいならばお安いご用だったのだ。

『リエット様のお婿さまにウィリアム王子ならお眼鏡に適いそうな気がします。カタリーナ様が驚きそうな気もしますが、逆に褒めてくださいそうな気もするのです』

 リエットだけではなく、ウィリアムの動向にも注意が必要になりそうな予感が沙更にはしていた。
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