月の魔女と聖剣

空流眞壱

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聖剣の鞘の行方

第132話 対貴族連合軍への動き

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月の魔女と聖剣

第132話  対貴族連合軍への動き

 沙更とミリアが孤児院でゆっくりしている頃、辺境伯の屋敷には王都の惨状が伝わってきた。貴族連合軍が王都を陥落させ、王都の民と王族を皆殺しにしたことが知れるやカタリーナとガーゼルベルトは戦が近いことを理解せざるを得ない。

「やはり、王は逃げなかったか」

「伯父様にウィリアム様を預けた時点で死ぬ気だったのでしょう。末姫のアリアーユ様が公爵家で亡くなったのは半年前。その時から公爵家の野望を理解されていたのだとすれば驚く事でもないはず」

「あやつらは聖剣を求めてこちらに攻め入るだろう。が、王家に義理立てすることももはや叶わぬ。それでも王の忠臣であることに今も変わりはないのだ」

 ガーゼルベルトは王都を出るときに予感はしていたが、それでもその予感よりも貴族連合軍のやり方が酷すぎた。王都を壊滅させたことで、元々公爵家に付いていた貴族たち以外は日和見か中立の立場を取るだろう。

 だが、それを公爵たちが認めるわけもない。すでに自分たちの国を屍の上に作る野望にひた走っている。己の意見以外は受け入れようともしないだろうと言うことすら読まれていたのだから。

「伯父様、辺境の民は伯父様が守ってきた民でわたくしも守ってきた民です。貴族としての位は低いとは言え、奴らに渡すなどあり得ませんわ」

「カタリーナ、ウィリアム様とリエットのことは任せる。わしは奴らを迎え撃つ。籠城などせぬ」

 老いたとは言え、ガーゼルベルトの気力と体力は並の武将を遥かに上回る。極星騎士団を引き連れ、古巣に戻った彼らは、並の軍で太刀打ち出来るものでもない。土地勘も何もかも味方に出来るというのは、戦略的に途方もなく有利と言うこと。

 相手が聖剣を求める以上、辺境に攻め入るのは目に見えている。元々、辺境には急遽のモンスター襲撃などに対応するための蓄えも今では十二分にあった。

 そして、相手がどこから来ようとも補給線は長くなっているのは変わりない。東の果てから西の果てまで来ている上に大軍を養うのにはお金がかかる。

 更に言うのなら、王都陥落までは許容としても虐殺は民たちの感情からして最悪であった。いつ殺されるかと言う恐怖にかられつつ生活するのは凜すぎたのだ。

 そういう意味でも公爵たちは選択を間違えたと言って良い。王都に住んでいた民を皆殺しにした時点で国盗りの資格は失われていることに気づいていない。

「伯父様、刺し違えようなどと考えていませんか?」

「武人ならば、戦場で倒れるのが誉だろうが今回だけは違う。この戦で生きて帰らねば、王に笑われてしまうだろうよ。カタリーナ、辺境の騎士を集めよ。王都から奴らが辺境に来るまでの時間を有効に使う必要がある」

 ガーゼルベルトの言葉に頷くカタリーナ。既に、辺境の騎士と兵士に招集がかかっていた。
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