月の魔女と聖剣

空流眞壱

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聖剣の鞘の行方

第135話 古代遺跡に向けて3

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月の魔女と聖剣

第135話 古代遺跡に向けて3

 ウエストエンドを出た馬車の馬にマイティアップと馬車にエアウォーク、さらに車体まで魔法で強化したことで一気に加速していく。加速すれば振動が強くなり、乗り物酔いになりやすくなるのが普通だがエアウォークも使っていることで衝撃を上手く逃がすことが出来ていた。大気をサスペンション代わりにするなど、現代魔法ではまずあり得ない話であったし、しかも速度は軽く通常の馬車の3倍は出ていたのだ。

 あまりにも窓の景色が早く通り過ぎていくことから、ウィリアムは流石に驚きを隠せなかった。

「こんなに速い馬車など乗ったことが無いが、大丈夫なのか?」

 普通に考えれば、こんな速度で土の道を爆走しようものなら木製の車輪が確実に持たない。それに、馬の体力を考えればこれだけの速度が続けられるわけもないのだが、それを可能にしてしまうのが沙更の魔法。

「幼い治癒士様の魔法ならば、このくらいはなんともありません。ウィリアム様は初めてですから驚くのも分かりますけれど」

「リエット嬢は彼女の魔法の凄さを理解しているのか…。確かに王国でこれだけの魔法を使いこなす魔法士など見たことが無い。王宮魔法士ですら、こんな芸当は不可能だった」

「今の魔法士が失ってしまった物を持ち合わせるのが幼い治癒士様ですから、わたくしもお母様もこの辺境も救って貰ったのですよ」

 カイゼルラントでも沙更ほどの魔法士はいない。治癒士としても魔法士としてもずば抜けているのはウィリアムも認めるしかなかった。

 しかも、沙更に負担がかかっているようには一切見えない。ウエストエンドから一気に辺境の奥へとひた走る異様な速度の馬車は街道を使う人たちに驚かれつつも通りすぎていく。そんな旅人達を横目に、街道をひた走っていくのだった。

 ウエストエンドからクルシスを経由し、元エンシェントゲートと呼ばれていた町に着いたのは夕刻にほど近い時間であった。ウエストエンドからエンシェントゲートまで半日と言う時点でかなりの快速だと言うことに変わりは無いし、他の誰もが出来ると言う話ではない。

 1年前、エンシェントゲートは住人が逃げ出していったん無くなることとなった。その後、再建されたわけだがその時に町の名前を変えて、今ではロストガーデンと変わっていました。

「流石に久しぶりに来たが、1年前の感じとは大分違うな」

「開拓村が壊滅して、ここも放棄してしまったことからお母様がかなり手を入れたようです」

「フィリエス卿なら、そのくらいはやってのけるだろう。女性貴族は珍しいが、その上有能なのだからかなり有名ではあるのだ」

 ウィリアムはカタリーナの事をそう表す。女性の貴族はカタリーナ以外には数人いるかどうかであり、その上上位貴族はカタリーナが唯一であった。
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