月の魔女と聖剣

空流眞壱

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北方への探索行

第162話 北方脱出1

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月の魔女と聖剣

第162話 北方脱出1

 聖剣の鞘を手に入れた沙更たちは崩れた古代遺跡から真っ直ぐ辺境へと戻ることにした。廃村に寄ってからでは時間の浪費になりかねない。なんとなく直感したのもあった。

「このまま辺境にひた走ろうかと思いますが良いですか?」

「セーナちゃん、なにかを感じているの?」

「なんとなく、廃村側に出ると嫌な予感がするんです。それに、もう北方に用事はないですよね?」

 この時点で北方の領主が動き出していることをなんとなく察したのか、沙更の言葉にパウエルたちも頷く。そもそも、領主との対峙など望む話ではない。聖剣の鞘を持っているのを知られると更に厄介になるのを分かっているだけに、遭遇するを避けなければならなかった。

 この時の判断が辺境に戻る時間を大幅に縮めることになるとは思っていない。それに、一番優先で手に入れなくてはいけないものを手に入れているだけに、これ以上滞在するのも問題があった。

「どちらにしろ、聖剣の鞘を手に入れることが出来たんだ。辺境のことも気になるから最優先で帰ろう」

「そうですね。辺境も気にかかります」

 パウエルの言葉に沙更は頷く。公爵達率いる貴族連合軍が辺境を目指して動き出したことは知っていた。すぐに来ると分かっているわけではないが、悠長にしているほど時間に余裕があると言うわけでもないからだ。

 崩れた古代遺跡から辺境に向けて、一直線に向かう。草をウィンドカッターで切り飛ばしつつも、即席の道を作って。馬車一台がなんとか通れる位の幅で草を刈りつつ、エアウォークも維持するのはもう慣れっこである。

 崩れた古代遺跡を後にしたが、その後ろで完全に崩れた古代遺跡の入り口から役目を終えたとばかりに崩れ去っていったことは沙更たちは知らない。聖剣の鞘を封印していたがそれを解き放った事で、役目を終えたと判断したのか内部から一気に時間が来たと言わんがばかりの崩れ落ち方だったようだ。

 草を刈り、移動していく沙更達。元の街道に戻ってきたのは、崩れた古代遺跡を後にして二日後。廃村を経由しなかったことで、直接辺境に向かう寂れた街道に戻ってこられた。

 この時点で、北の領主の追っ手を振り払うことに成功していた。北へ向かう街道は草に覆われて消えたままであり、復旧させつつ移動するには兵士達の疲労を考えなければならない。そのため、移動速度は歩くよりも遅い位で沙更たちの速度に追いつけるわけがなかった。

 未だに廃村までもたどり着けていない北の領主と兵士達に対して、沙更たちは辺境への寂れた街道に出ている時点で追いつける要素は一切無い。距離にして馬車で4日ほどの差があるし、そもそもの移動速度が違いすぎる。そう言う意味でも、直接辺境に向かったのは正解であった。

 廃村を経由したとしても、追いつかれる事はなかったかもしれないが可能性が広がってしまう事を考えればこの選択が一番最良だったと言えた。
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