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第68話 出口
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「位置的に考えて、かなり王宮に近いところにいるんだけどな。肝心の出口がないぞ」
トイが悩んでいた。昨日泊まった宿を出たあと、またダンジョン内を一日歩き回り、みんな疲弊していた。道中いろいろなモンスターが現れていたし、みんな魔力をだいぶ使っていた。
僕は今のところ、いざというときのために魔法は使わないように言われていた。みんなが魔法を使っているときに使わずにいるのはかなりストレスだ。昨日寝る前にモンスターを殺して回ったのもストレスから来ていた。最近は、使い損ねた魔力はロッドの水晶に保存していたのに。
先代の校長先生は、即死魔道士はレベル100になっても殺しがやめられないと言っていたが、ロッドに魔力が保存できるようになってからは即死魔法を使わない日もそこそこある。
だから、大丈夫だろう……そう思った。いや、そう思おうとしたと言うのが正しいかもしれない。
しばらく歩くと、少し開けた空間に出た。明らかに今までと雰囲気の違う部屋に来た。どこから明かりが来ているのかわからないが、今までの場所より明るい。そして、部屋の壁には文字がびっしり埋まっていた。全く読めない文字だ。
「古代文字だな。書いてあることは大したことない。この国の歴史だ」
トイが説明しながら壁の文字を読んでいる。
「ところどころ、穴が空いてない?」
リャが指摘したとおり、壁の文字はところどころ抜けている。壁自体に穴が空いているのだ。
「わざとだな。空いている文字を何かすると仕掛けが起きるんじゃないかな。とりあえず、壁の文章を解読しよう」
トイは大真面目に解読を始めた。トイ以外は古代文字を読めないので、僕たちはトイを見守った。
「え……?」
トイは急に黙ると、僕たちを見つめた。
「トイ、どうしたの?」
みんなが聞いたが、
「いや、なんでもない……」
と言って、すぐに解読に戻った。
「よし、解けた! あとは……」
トイが呪文を唱えた。土魔法で穴と同じサイズの欠片を生み出し、古代文字を書いて、穴に埋めた。穴が全て埋まると、階段が現れた。上に繋がる螺旋階段だった。階段の先には地上の明るい光が見える。
「上!? ということは出口!?」
みんな安堵し、階段を登ろうとしたが、階段の前に何かいる。
「え?」
そこにいたのは、ゴーレムだった。階段をぴったり塞ぐ形で立っていた。
「多分、門番だな。だけど……なんの魔法が聞くんだこれ?」
ポールトーマスは首をかしげた。そのゴーレムは、様々な色がまだらになっていて、絵の具を撒き散らしたような柄をしていた。属性がさっぱりわからない。しかも、全身トゲだらけだ。
リャが火水土風草の攻撃を順番にゴーレムに放った。どれが効くか確かめるためだ。しかし、ゴーレムはどの魔法にも無反応だ。
「困ったな、なんの魔法が効くんだろ?」
「あ、あのさ……」
僕はリャに話しかけた。
「僕が、倒せるかも……」
「え? あ、そっか!」
そのゴーレムは、そんなに大きくなかったのだ。細い階段に合わせてあるためか、体長はリャよりも一回り小さかった。
みんなも異論ないようだったので、僕は即死魔法の呪文を唱えた。
ゴーレムは、バラバラになって地面に崩れ落ちた。
「おおー! キルル! さすが!」
みんなに褒められて、少し照れた。普段即死魔法で褒められることはあまりないので、不思議な気分だ。
「キルルの即死魔法って、効かない相手ないの?」
トイが聞くと、
「ないぞ。今は、レベル上倒せない相手はいるがレベル100になったら効かない相手はない。生きているものは全て殺せる」
僕の代わりに、先代の校長先生が答えた。
「そう考えると、やっぱり『即死魔法』ってすごいな……将来無敵じゃねーか……」
そんな会話をしながら、僕たちは螺旋階段を登った。一人通るのが精一杯の細い幅の階段だったので、皆一列になって階段を登る。そして、美しい廊下に出た。赤い絨毯が敷いてあり、壁は輝いている。間違いなく王宮だった。
廊下には男の人がいた。戦士らしく、甲冑を着ている。
「特殊魔道士たちだな。待っていた。通りなさい。女王様がこの先でお待ちだ」
トイが悩んでいた。昨日泊まった宿を出たあと、またダンジョン内を一日歩き回り、みんな疲弊していた。道中いろいろなモンスターが現れていたし、みんな魔力をだいぶ使っていた。
僕は今のところ、いざというときのために魔法は使わないように言われていた。みんなが魔法を使っているときに使わずにいるのはかなりストレスだ。昨日寝る前にモンスターを殺して回ったのもストレスから来ていた。最近は、使い損ねた魔力はロッドの水晶に保存していたのに。
先代の校長先生は、即死魔道士はレベル100になっても殺しがやめられないと言っていたが、ロッドに魔力が保存できるようになってからは即死魔法を使わない日もそこそこある。
だから、大丈夫だろう……そう思った。いや、そう思おうとしたと言うのが正しいかもしれない。
しばらく歩くと、少し開けた空間に出た。明らかに今までと雰囲気の違う部屋に来た。どこから明かりが来ているのかわからないが、今までの場所より明るい。そして、部屋の壁には文字がびっしり埋まっていた。全く読めない文字だ。
「古代文字だな。書いてあることは大したことない。この国の歴史だ」
トイが説明しながら壁の文字を読んでいる。
「ところどころ、穴が空いてない?」
リャが指摘したとおり、壁の文字はところどころ抜けている。壁自体に穴が空いているのだ。
「わざとだな。空いている文字を何かすると仕掛けが起きるんじゃないかな。とりあえず、壁の文章を解読しよう」
トイは大真面目に解読を始めた。トイ以外は古代文字を読めないので、僕たちはトイを見守った。
「え……?」
トイは急に黙ると、僕たちを見つめた。
「トイ、どうしたの?」
みんなが聞いたが、
「いや、なんでもない……」
と言って、すぐに解読に戻った。
「よし、解けた! あとは……」
トイが呪文を唱えた。土魔法で穴と同じサイズの欠片を生み出し、古代文字を書いて、穴に埋めた。穴が全て埋まると、階段が現れた。上に繋がる螺旋階段だった。階段の先には地上の明るい光が見える。
「上!? ということは出口!?」
みんな安堵し、階段を登ろうとしたが、階段の前に何かいる。
「え?」
そこにいたのは、ゴーレムだった。階段をぴったり塞ぐ形で立っていた。
「多分、門番だな。だけど……なんの魔法が聞くんだこれ?」
ポールトーマスは首をかしげた。そのゴーレムは、様々な色がまだらになっていて、絵の具を撒き散らしたような柄をしていた。属性がさっぱりわからない。しかも、全身トゲだらけだ。
リャが火水土風草の攻撃を順番にゴーレムに放った。どれが効くか確かめるためだ。しかし、ゴーレムはどの魔法にも無反応だ。
「困ったな、なんの魔法が効くんだろ?」
「あ、あのさ……」
僕はリャに話しかけた。
「僕が、倒せるかも……」
「え? あ、そっか!」
そのゴーレムは、そんなに大きくなかったのだ。細い階段に合わせてあるためか、体長はリャよりも一回り小さかった。
みんなも異論ないようだったので、僕は即死魔法の呪文を唱えた。
ゴーレムは、バラバラになって地面に崩れ落ちた。
「おおー! キルル! さすが!」
みんなに褒められて、少し照れた。普段即死魔法で褒められることはあまりないので、不思議な気分だ。
「キルルの即死魔法って、効かない相手ないの?」
トイが聞くと、
「ないぞ。今は、レベル上倒せない相手はいるがレベル100になったら効かない相手はない。生きているものは全て殺せる」
僕の代わりに、先代の校長先生が答えた。
「そう考えると、やっぱり『即死魔法』ってすごいな……将来無敵じゃねーか……」
そんな会話をしながら、僕たちは螺旋階段を登った。一人通るのが精一杯の細い幅の階段だったので、皆一列になって階段を登る。そして、美しい廊下に出た。赤い絨毯が敷いてあり、壁は輝いている。間違いなく王宮だった。
廊下には男の人がいた。戦士らしく、甲冑を着ている。
「特殊魔道士たちだな。待っていた。通りなさい。女王様がこの先でお待ちだ」
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