85 / 138
第85話 軽い復讐
しおりを挟む
「脚本できましたー! 校長先生! 『染色魔法』で、この脚本10部刷ってください!」
私は文化祭の脚本を校長先生に渡した。
「おお、ショウさん、一日で書き上げたんですか! どれどれ……あははははは! これ超面白いですね!」
「でしょう!? 私が本気出せばこんなもんです!」
私は胸を叩いた。
「だけど、これ、メインキャストのキャサリンさんとキルルくんが怒りませんか? 扱い酷すぎません!? まあそれが面白いですけどあはははは!」
「いいんですよ! あの二人は去年の文化祭で私を陥れましたから! 軽い復讐です。普段は二人とも仲いいし大丈夫です。そしてなにより面白さ優先しました!」
「そういえばそうでしたね。これでいっちゃいましょう」
校長先生は愉快そうに10部刷った。
ホームルームで脚本を読んだみんなは、笑っていたが、さすがにキャサリンとキルルは固まっていた。
「ショウ、これ、面白いけど、私の扱いひどくない!? めちゃくちゃ身を削った役じゃない!?」
「でも、キャサリン主役よ!」
「まあ、確かにそうだけど……ショウ、もしかして去年の文化祭、根に持ってるのかしら……」
キャサリンは小さくつぶやいていた。
「ショウ! 僕の役なに!? なんで僕がキャサリンに倒される魔王役なの!?」
キルルも抗議してきた。
「そう? キルルにぴったりだと思うんだけど……」
私がそう言うと、キルルはしばらく黙った後、
「まあ、ショウには去年の文化祭ひどいことしちゃったもんなあ。まあ、しょうがないか……」
と、キャサリンと同じように納得していた。
というわけで、キャサリンと僕はなかなか身を削った役をやることになった。練習の段階でも結構辛かったので、次回の演劇の回は是非見て欲しい。
文化祭当日まで、僕たちは、衣装に使える服を借りに行ったり、舞台装置を作ったり、音楽担当のカランドを助けたり、一般的な文化祭の準備に走り回った。演劇というのは見たことはあっても、やるのは初めてだったが、やる方は大変なのだと知った。
「いいなあ。リリイ、女王様役なんて……」
この日、造形魔道士ツクルさんに作ってもらった小道具を受け取りに、リリイと街に出ていた。
「セリフが少ない役だから当たっただけよ。キルルは大事な場面で出るから大変ね。頑張ってね」
「うん。……ねえ、リリイ、劇中の僕のセリフはあくまでショウの創作だからね、僕あんなこと普段思っているわけじゃないからね」
リリイは笑ったあと、
「わかってるから、大丈夫よ」
僕はこう言ったが、劇中の僕のセリフは結構僕の本質をついていて、先回りしてフォローしておかないとまずいやつだった。
私は文化祭の脚本を校長先生に渡した。
「おお、ショウさん、一日で書き上げたんですか! どれどれ……あははははは! これ超面白いですね!」
「でしょう!? 私が本気出せばこんなもんです!」
私は胸を叩いた。
「だけど、これ、メインキャストのキャサリンさんとキルルくんが怒りませんか? 扱い酷すぎません!? まあそれが面白いですけどあはははは!」
「いいんですよ! あの二人は去年の文化祭で私を陥れましたから! 軽い復讐です。普段は二人とも仲いいし大丈夫です。そしてなにより面白さ優先しました!」
「そういえばそうでしたね。これでいっちゃいましょう」
校長先生は愉快そうに10部刷った。
ホームルームで脚本を読んだみんなは、笑っていたが、さすがにキャサリンとキルルは固まっていた。
「ショウ、これ、面白いけど、私の扱いひどくない!? めちゃくちゃ身を削った役じゃない!?」
「でも、キャサリン主役よ!」
「まあ、確かにそうだけど……ショウ、もしかして去年の文化祭、根に持ってるのかしら……」
キャサリンは小さくつぶやいていた。
「ショウ! 僕の役なに!? なんで僕がキャサリンに倒される魔王役なの!?」
キルルも抗議してきた。
「そう? キルルにぴったりだと思うんだけど……」
私がそう言うと、キルルはしばらく黙った後、
「まあ、ショウには去年の文化祭ひどいことしちゃったもんなあ。まあ、しょうがないか……」
と、キャサリンと同じように納得していた。
というわけで、キャサリンと僕はなかなか身を削った役をやることになった。練習の段階でも結構辛かったので、次回の演劇の回は是非見て欲しい。
文化祭当日まで、僕たちは、衣装に使える服を借りに行ったり、舞台装置を作ったり、音楽担当のカランドを助けたり、一般的な文化祭の準備に走り回った。演劇というのは見たことはあっても、やるのは初めてだったが、やる方は大変なのだと知った。
「いいなあ。リリイ、女王様役なんて……」
この日、造形魔道士ツクルさんに作ってもらった小道具を受け取りに、リリイと街に出ていた。
「セリフが少ない役だから当たっただけよ。キルルは大事な場面で出るから大変ね。頑張ってね」
「うん。……ねえ、リリイ、劇中の僕のセリフはあくまでショウの創作だからね、僕あんなこと普段思っているわけじゃないからね」
リリイは笑ったあと、
「わかってるから、大丈夫よ」
僕はこう言ったが、劇中の僕のセリフは結構僕の本質をついていて、先回りしてフォローしておかないとまずいやつだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
詠唱? それ、気合を入れるためのおまじないですよね? ~勘違い貴族の規格外魔法譚~
Gaku
ファンタジー
「次の人生は、自由に走り回れる丈夫な体が欲しい」
病室で短い生涯を終えた僕、ガクの切実な願いは、神様のちょっとした(?)サービスで、とんでもなく盛大な形で叶えられた。
気がつけば、そこは剣と魔法が息づく異世界。貴族の三男として、念願の健康な体と、ついでに規格外の魔力を手に入れていた!
これでようやく、平和で自堕落なスローライフが送れる――はずだった。
だが、僕には一つ、致命的な欠点があった。それは、この世界の魔法に関する常識が、綺麗さっぱりゼロだったこと。
皆が必死に唱える「詠唱」を、僕は「気合を入れるためのおまじない」だと勘違い。僕の魔法理論は、いつだって「体内のエネルギーを、ぐわーっと集めて、どーん!」。
その結果、
うっかり放った火の玉で、屋敷の壁に風穴を開けてしまう。
慌てて土魔法で修復すれば、なぜか元の壁より遥かに豪華絢爛な『匠の壁』が爆誕し、屋敷の新たな観光名所に。
「友達が欲しいな」と軽い気持ちで召喚魔法を使えば、天変地異の末に伝説の魔獣フェンリル(ただし、手のひらサイズの超絶可愛い子犬)を呼び出してしまう始末。
僕はただ、健康な体でのんびり暮らしたいだけなのに!
行く先々で無自覚に「やりすぎ」てしまい、気づけば周囲からは「無詠唱の暴君」「歩く災害」など、実に不名誉なあだ名で呼ばれるようになっていた……。
そんな僕が、ついに魔法学園へ入学!
当然のように入学試験では的を“消滅”させて試験官を絶句させ、「関わってはいけないヤバい奴」として輝かしい孤立生活をスタート!
しかし、そんな規格外な僕に興味を持つ、二人の変わり者が現れた。
魔法の真理を探求する理論オタクの「レオ」と、強者との戦いを求める猪突猛進な武闘派女子の「アンナ」。
この二人との出会いが、モノクロだった僕の世界を、一気に鮮やかな色に変えていく――!
勘違いと無自覚チートで、知らず知らずのうちに世界を震撼させる!
腹筋崩壊のドタバタコメディを軸に、個性的な仲間たちとの友情、そして、世界の謎に迫る大冒険が、今、始まる!
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる