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第11話 ソラからの手紙
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「ごめんな、ここに来るのに、三ヶ月もかかっちゃって。」
僕はユウトの遺影に手を合わせた。僕は、ユウトの自宅にお邪魔している。さすがに今日は僕一人だ。葬式にも出られなかった僕は、遺影を目にしたのも今日が初めてだった。親御さんには生前仲良くしてくれたことを感謝された。死神と言われるんじゃないかと少し恐れていたが、そんなことはなかった。だけど僕は複雑な気持ちだった。僕と仲良くしなければみんなまだ生きていたかもしれないと思うと、友達でいてよかったのだろうか。僕自身は友人の死を受け止め始めていたが、みんなは僕といたこと、あの世で後悔していないだろうか。
その後コースケの自宅に行って、ユウトの時と同じように手を合わせた。親御さんからはユウトと同じように感謝された。そして最後、ソラの家に向かった。
ソラは持病で亡くなったから、ここまで生きられただけでも奇跡だ、と親御さんは仰っていた。そして、ユウトとコースケの親御さん以上に生前仲良くしていたことを感謝された。
「あの子、昔からアタルくんの話ばかりしていたわ。」
ユウトとコースケは僕以外にも友達はたくさんいたが、ソラは僕以外友達がいなかったと思う。こう言っちゃなんだが、ソラはユウトとコースケとすら打ち解けてはいなかった気がする。ソラと友達になったのは、中学のときだったと思う。ソラは本当に友達がおらず、一人で過ごしていた。だから担任の先生に友達になってやってと頼まれた。僕はその通りにソラに声をかけただけだったけど、ソラはあっさり友達になった。あまりにもあっけなく友達になったから、先生がびっくりしていたっけ。ソラは僕の前では本当に普通に話してくれて、僕以外の友達がいなかったのは本当に謎だ。
「アタルくん、これ、受け取ってちょうだい。ソラが亡くなったときの鞄に入ってたの。」
ソラのお母さんから、手紙を渡された。手紙の封筒には「僕が死んだら、アタルに渡してくれ」と書いてある。
僕はソラの家を出てから、自分の家に帰り、一人で手紙を読んだ。なんとなくだけど、ソラの性格を考えると、この手紙は僕一人で読んだほうが良さそうだと思ったからだ。手紙は、弱い筆圧の鉛筆書きで綴られていた。
「アタルへ。アタルがこれを読んでるということは、僕はユウトとコースケに続くような形で死んじゃったってことだね。僕は正直、自分の死より、アタルの心が心配です。アタルは優しくて、寂しがりやだからね。アタル、今は一人ぼっちで辛いかもしれないけど、絶対にこっちに来るなよ。
アタル、君にだけバレンタインのチョコ渡したりしてたから、もう気づいていたかもしれないけど、僕は君のことが好きだ。恋愛なのか友情なのか自分でもわけがわからないけど、ずっと好きだった。僕はそのうち死ぬから友達なんていらないと思ってたけど、君の側にはいたかった。今も、ユウトとコースケが死んだっていうのに、アタルと二人で過ごせることを少し喜んでいて、自分が怖いです。
アタルはいつでも優しくて、僕にはもったいないぐらいの友達だと思う。アタルは運が強いってみんな言うけど、アタルの日頃の行いが巡っているんだけだと思うんだ。だから、そんなアタルなら、すぐに新しい友達ができるから。そして将来は結婚して家族もできるよ。だから、この先に会う人たちのためにも死なないで。僕は君の友達で幸せだった。誰よりも、君の幸せを願っています。」
もう泣かないつもりだったけど、やっぱり泣いてしまった。運がいいから死ねないなんて思っていたけど、周りに生かされていたんだと思った。僕は、ソラの手紙を引き出しの奥にしまった。絶対にこの手紙は誰にも見せなかった。
僕はユウトの遺影に手を合わせた。僕は、ユウトの自宅にお邪魔している。さすがに今日は僕一人だ。葬式にも出られなかった僕は、遺影を目にしたのも今日が初めてだった。親御さんには生前仲良くしてくれたことを感謝された。死神と言われるんじゃないかと少し恐れていたが、そんなことはなかった。だけど僕は複雑な気持ちだった。僕と仲良くしなければみんなまだ生きていたかもしれないと思うと、友達でいてよかったのだろうか。僕自身は友人の死を受け止め始めていたが、みんなは僕といたこと、あの世で後悔していないだろうか。
その後コースケの自宅に行って、ユウトの時と同じように手を合わせた。親御さんからはユウトと同じように感謝された。そして最後、ソラの家に向かった。
ソラは持病で亡くなったから、ここまで生きられただけでも奇跡だ、と親御さんは仰っていた。そして、ユウトとコースケの親御さん以上に生前仲良くしていたことを感謝された。
「あの子、昔からアタルくんの話ばかりしていたわ。」
ユウトとコースケは僕以外にも友達はたくさんいたが、ソラは僕以外友達がいなかったと思う。こう言っちゃなんだが、ソラはユウトとコースケとすら打ち解けてはいなかった気がする。ソラと友達になったのは、中学のときだったと思う。ソラは本当に友達がおらず、一人で過ごしていた。だから担任の先生に友達になってやってと頼まれた。僕はその通りにソラに声をかけただけだったけど、ソラはあっさり友達になった。あまりにもあっけなく友達になったから、先生がびっくりしていたっけ。ソラは僕の前では本当に普通に話してくれて、僕以外の友達がいなかったのは本当に謎だ。
「アタルくん、これ、受け取ってちょうだい。ソラが亡くなったときの鞄に入ってたの。」
ソラのお母さんから、手紙を渡された。手紙の封筒には「僕が死んだら、アタルに渡してくれ」と書いてある。
僕はソラの家を出てから、自分の家に帰り、一人で手紙を読んだ。なんとなくだけど、ソラの性格を考えると、この手紙は僕一人で読んだほうが良さそうだと思ったからだ。手紙は、弱い筆圧の鉛筆書きで綴られていた。
「アタルへ。アタルがこれを読んでるということは、僕はユウトとコースケに続くような形で死んじゃったってことだね。僕は正直、自分の死より、アタルの心が心配です。アタルは優しくて、寂しがりやだからね。アタル、今は一人ぼっちで辛いかもしれないけど、絶対にこっちに来るなよ。
アタル、君にだけバレンタインのチョコ渡したりしてたから、もう気づいていたかもしれないけど、僕は君のことが好きだ。恋愛なのか友情なのか自分でもわけがわからないけど、ずっと好きだった。僕はそのうち死ぬから友達なんていらないと思ってたけど、君の側にはいたかった。今も、ユウトとコースケが死んだっていうのに、アタルと二人で過ごせることを少し喜んでいて、自分が怖いです。
アタルはいつでも優しくて、僕にはもったいないぐらいの友達だと思う。アタルは運が強いってみんな言うけど、アタルの日頃の行いが巡っているんだけだと思うんだ。だから、そんなアタルなら、すぐに新しい友達ができるから。そして将来は結婚して家族もできるよ。だから、この先に会う人たちのためにも死なないで。僕は君の友達で幸せだった。誰よりも、君の幸せを願っています。」
もう泣かないつもりだったけど、やっぱり泣いてしまった。運がいいから死ねないなんて思っていたけど、周りに生かされていたんだと思った。僕は、ソラの手紙を引き出しの奥にしまった。絶対にこの手紙は誰にも見せなかった。
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