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第110話 コンザウ大陸南岸諸国制覇
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わたしはいつも通り、演壇に設えられた『回線宝珠』の前で『グレート・スピーチ』の魔法を行使し、演説を開始する。この演説は『回線宝珠』の能力でバルゾラ大陸全土、アーカル大陸全土、そしてコンザウ大陸の占領済み地域に対して、一斉に流れる事になるのだ。
『親愛なる我が民よ! バルゾラ大陸、アーカル大陸、そして此度新たに我が版図に加わったコンザウ大陸南岸に居る全ての民よ! 既にTVやラジオで知っている者もいるだろうが……。
この度我が『JOKER剣魔国』の軍は……。元帥魔獣大将ガウルグルク率いるコンザウ大陸侵攻軍は、ついにコンザウ大陸南岸に残っていた最後の1国、『ジアンク王国』を『降伏』させることに成功した!
そう、『陥落』させたのではない。『降伏』させたのだ! コンザウ大陸の諸国家の盟主、『リューム・ナアド神聖国』および『神教』は、魔物に対して降伏する事を許してはいない。その様な事をすれば、地獄に落ちるなどと説いているのだ。』
わたしはひと息吐いた。うん、つい昨日の話なんだがね。とうとうガウルグルクが『ジアンク王国』を降伏に追い込んだんだよね。乾坤一擲の最後の決戦を挑んで来た『ジアンク王国』と、その兄弟国『シアンフ王国』の残党による連合軍……。
それを要塞からの砲撃と、機械化歩兵の機動力や機甲部隊の火力で、あっさりと叩き潰したんだよね。逃亡を図った者達もいた様だが、それらも1人たりとて逃がさず捕らえた模様。
敵軍は、完璧な全滅を喫した。軍事用語の、30%の損失で全滅と見なされるアレじゃない。一般的なイメージで言う、100%の損耗を受けたんだ。まあ、全員が死傷したわけじゃなく、今回で言えば捕らえた者も多かったらしい。
そしてガウルグルクは、奇跡的に無傷で生き残った敵将に降伏を勧告する文書を持たせて、『ジアンク王国』へと返してやった。オルトラムゥの前足に引っ掴ませて。
オルトラムゥはオルトラムゥで、『ジアンク王国』首都ジアルターンの王宮前で敵将を解放してやると、『今ここで、貴様らの王宮を俺の吐炎で吹き飛ばすのは容易な事だ。だが慈悲深き我が魔王様は、それを望んではおらん。悪いようにはせんから、降伏しろ』……って言い放ったらしい。
そしてオルトラムゥはガウルグルクの居る本陣への帰途に着いたんだが……。そのついでに、『神教』の教会を見つけると、さっきの王宮を吹き飛ばすのが簡単だって言葉が嘘でない事を示すためもあってか、吐炎で吹っ飛ばしたらしい。
退避勧告はして、その建物に居た全員が慌てて逃げ出したのを確認した、その上での話らしいんだけどね。ちなみに『神教』の教会には王宮を超える強固な結界が張られている。けどオルトラムゥの吐炎は、結界ごと『神教』の教会をサクっと吹き飛ばした、らしい。
それで『ジアンク王国』の指導者層は心が折れたらしい。翌朝早くには、夜を徹して馬を乗り継いで駆けた王宮からの使者が、標準降伏旗を掲げて国王の親書を持って、ガウルグルク達が詰めてる要塞へとやって来たとの事だ。
『……まったく馬鹿な事だ。魔物に降伏したから地獄に落ちるなど……。『リューム・ナアド神聖国』の、『神教』の奴らが魔物たちをどの様に考えているか、よくわかる。そしてコンザウ大陸諸国家の者達は、『神教』の教えを絶対の物としているのだ。
だが! 前回の『カンザ・アド王国』の併合願い! 今回の『ジアンク王国』の降伏! 敵の盟主、『リューム・ナアド神聖国』の威光にも陰りが見えて来たと言えよう!
我々は、やつらの膝元であるコンザウ大陸に、橋頭保を築いた! これも諸君ら国民の尽力と貢献、そして団結の賜物である! コンザウ大陸は桁外れに広く、まだ先の道のりは長い。
なれど我らなら出来る……。我らなら出来る!! コンザウ大陸全土を支配下に置き……。わたしの! 諸君らの! 我らの生きる、我らの世界を創り上げ! 共に繁栄を享受しようではないか! 生きとし生けるものたちの、未来のために!!』
直接にわたしの前で演説を聞いていた魔物たちや一部人間種族たちが、一斉に歓声を上げる。うん、バルゾラ大陸にも人間種族、入ってきてるんだよね。
いや以前にもコンザウ大陸から売られて来た元奴隷とか居たけどさ。アーカル大陸で『JOKER剣魔国』軍に志願した人間種族とか、かなりバルゾラ大陸でも人間種族の割合が増えてるんだ。
わたしは彼らに手を振りつつ、演壇を降りた。アオイがドリンクを持って来てくれる。
「魔王様、演説ご苦労様」
「うん、ありがとう。さて、あの演説を聞いてコンザウ大陸の諸国家はどう思うかな」
「すぐにでも攻めると思うんじゃないかな」
「実は違うんだけどね」
うん、これからはコンザウ大陸の占領済み地域に資本を投下して、大規模な開発を行う予定なんだ。侵攻そのものはしばらく停止。そして魔王支配下と土地の豊かさと、コンザウ大陸諸国家の土地の貧しさ、その格差を徹底的に思い知らせてやる。
そして占領地の開発や宣撫がある程度進んでから、徐々に静々と再侵攻の開始だ。相手の国々の経済は、その頃にはガタガタになってるだろう。特に海沿いの、所謂臨海諸国は、我が軍の軍艦で会場の交通を封鎖し、漁業なども妨害するからね。
「国内向けには? 国民たちも、一時侵攻を停止するとか思ってないんじゃないかな」
「国内向けは、アーカル大陸にある世界最高峰ボーカッド山への登頂成功で、少し目を逸らさせてもらおう。本当はコンザウ大陸侵攻よりも先に、ボーカッド山へ挑むはずだったけどね」
「そっか、『ヴィザー・ル新王国』の魔法銃士隊のせいで、作戦を急いだんだっけ」
わたしはアオイに頷く。
「あとはそれが終わったら、世界初の人工衛星打ち上げ成功もイベントとして用意してある。有人衛星はまだまだ無理だけど、小型の人がとても乗れないサイズのロケットは、なんとかかんとか生産に成功してるんだ。
勿論わたしが錬金術系術法で創ったわけじゃないよ。設計図はわたしが書いたけど、実機は技術者陣ががんばったんだ。わたしも構造とかチェックしてみたけど、ちっちゃな人工衛星を軌道に乗せる事ぐらいは可能だね」
「それは凄いわね。そうすると気象衛星とかも近いうちに?」
「まだ課題は多いけど、近い将来にね」
さあて、コンザウ大陸南岸の開発、忙しくなるぞ。並行してボーカッド山の登頂隊を編成して、ロケット打ち上げの準備もしなきゃ。ミズホとザウエルがこちらへ向かい、歩いて来る。わたしは右手を挙げて、彼らを迎えた。
『親愛なる我が民よ! バルゾラ大陸、アーカル大陸、そして此度新たに我が版図に加わったコンザウ大陸南岸に居る全ての民よ! 既にTVやラジオで知っている者もいるだろうが……。
この度我が『JOKER剣魔国』の軍は……。元帥魔獣大将ガウルグルク率いるコンザウ大陸侵攻軍は、ついにコンザウ大陸南岸に残っていた最後の1国、『ジアンク王国』を『降伏』させることに成功した!
そう、『陥落』させたのではない。『降伏』させたのだ! コンザウ大陸の諸国家の盟主、『リューム・ナアド神聖国』および『神教』は、魔物に対して降伏する事を許してはいない。その様な事をすれば、地獄に落ちるなどと説いているのだ。』
わたしはひと息吐いた。うん、つい昨日の話なんだがね。とうとうガウルグルクが『ジアンク王国』を降伏に追い込んだんだよね。乾坤一擲の最後の決戦を挑んで来た『ジアンク王国』と、その兄弟国『シアンフ王国』の残党による連合軍……。
それを要塞からの砲撃と、機械化歩兵の機動力や機甲部隊の火力で、あっさりと叩き潰したんだよね。逃亡を図った者達もいた様だが、それらも1人たりとて逃がさず捕らえた模様。
敵軍は、完璧な全滅を喫した。軍事用語の、30%の損失で全滅と見なされるアレじゃない。一般的なイメージで言う、100%の損耗を受けたんだ。まあ、全員が死傷したわけじゃなく、今回で言えば捕らえた者も多かったらしい。
そしてガウルグルクは、奇跡的に無傷で生き残った敵将に降伏を勧告する文書を持たせて、『ジアンク王国』へと返してやった。オルトラムゥの前足に引っ掴ませて。
オルトラムゥはオルトラムゥで、『ジアンク王国』首都ジアルターンの王宮前で敵将を解放してやると、『今ここで、貴様らの王宮を俺の吐炎で吹き飛ばすのは容易な事だ。だが慈悲深き我が魔王様は、それを望んではおらん。悪いようにはせんから、降伏しろ』……って言い放ったらしい。
そしてオルトラムゥはガウルグルクの居る本陣への帰途に着いたんだが……。そのついでに、『神教』の教会を見つけると、さっきの王宮を吹き飛ばすのが簡単だって言葉が嘘でない事を示すためもあってか、吐炎で吹っ飛ばしたらしい。
退避勧告はして、その建物に居た全員が慌てて逃げ出したのを確認した、その上での話らしいんだけどね。ちなみに『神教』の教会には王宮を超える強固な結界が張られている。けどオルトラムゥの吐炎は、結界ごと『神教』の教会をサクっと吹き飛ばした、らしい。
それで『ジアンク王国』の指導者層は心が折れたらしい。翌朝早くには、夜を徹して馬を乗り継いで駆けた王宮からの使者が、標準降伏旗を掲げて国王の親書を持って、ガウルグルク達が詰めてる要塞へとやって来たとの事だ。
『……まったく馬鹿な事だ。魔物に降伏したから地獄に落ちるなど……。『リューム・ナアド神聖国』の、『神教』の奴らが魔物たちをどの様に考えているか、よくわかる。そしてコンザウ大陸諸国家の者達は、『神教』の教えを絶対の物としているのだ。
だが! 前回の『カンザ・アド王国』の併合願い! 今回の『ジアンク王国』の降伏! 敵の盟主、『リューム・ナアド神聖国』の威光にも陰りが見えて来たと言えよう!
我々は、やつらの膝元であるコンザウ大陸に、橋頭保を築いた! これも諸君ら国民の尽力と貢献、そして団結の賜物である! コンザウ大陸は桁外れに広く、まだ先の道のりは長い。
なれど我らなら出来る……。我らなら出来る!! コンザウ大陸全土を支配下に置き……。わたしの! 諸君らの! 我らの生きる、我らの世界を創り上げ! 共に繁栄を享受しようではないか! 生きとし生けるものたちの、未来のために!!』
直接にわたしの前で演説を聞いていた魔物たちや一部人間種族たちが、一斉に歓声を上げる。うん、バルゾラ大陸にも人間種族、入ってきてるんだよね。
いや以前にもコンザウ大陸から売られて来た元奴隷とか居たけどさ。アーカル大陸で『JOKER剣魔国』軍に志願した人間種族とか、かなりバルゾラ大陸でも人間種族の割合が増えてるんだ。
わたしは彼らに手を振りつつ、演壇を降りた。アオイがドリンクを持って来てくれる。
「魔王様、演説ご苦労様」
「うん、ありがとう。さて、あの演説を聞いてコンザウ大陸の諸国家はどう思うかな」
「すぐにでも攻めると思うんじゃないかな」
「実は違うんだけどね」
うん、これからはコンザウ大陸の占領済み地域に資本を投下して、大規模な開発を行う予定なんだ。侵攻そのものはしばらく停止。そして魔王支配下と土地の豊かさと、コンザウ大陸諸国家の土地の貧しさ、その格差を徹底的に思い知らせてやる。
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「国内向けには? 国民たちも、一時侵攻を停止するとか思ってないんじゃないかな」
「国内向けは、アーカル大陸にある世界最高峰ボーカッド山への登頂成功で、少し目を逸らさせてもらおう。本当はコンザウ大陸侵攻よりも先に、ボーカッド山へ挑むはずだったけどね」
「そっか、『ヴィザー・ル新王国』の魔法銃士隊のせいで、作戦を急いだんだっけ」
わたしはアオイに頷く。
「あとはそれが終わったら、世界初の人工衛星打ち上げ成功もイベントとして用意してある。有人衛星はまだまだ無理だけど、小型の人がとても乗れないサイズのロケットは、なんとかかんとか生産に成功してるんだ。
勿論わたしが錬金術系術法で創ったわけじゃないよ。設計図はわたしが書いたけど、実機は技術者陣ががんばったんだ。わたしも構造とかチェックしてみたけど、ちっちゃな人工衛星を軌道に乗せる事ぐらいは可能だね」
「それは凄いわね。そうすると気象衛星とかも近いうちに?」
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本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
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