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半人半神性
非鬼
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「さて、諸君が纏められている理由は分かっていると思う」
そうですね学園長先生。 小さな相談室の様な所に、主席の僕、真の主席のお姉さま、橘お姉さま、佐伯お姉さまが居るんですもの。導き出されるのは一つ。僕がお姉さまと呼んでいる人達です。正解でしょ?
「君達は現状でも少鬼を打倒出来るという事だ。教育機関の長として、大人として情けない限りだが、いざ有事があれば、一年生の中では真っ先に名が上がると思って欲しい」
そうですね学園長先生。そりゃあ僕も白蜘蛛君、もとい、今は黒蜘蛛君ですけど。楽勝に倒せましたものね。でも橘お姉さまと佐伯お姉さまが、すげえ胡散臭そうな目で僕を見てるんですよ。こいついくら金積んだんだ? みたいな? 本当に実戦に参加するつもりなんか? みたいな?
じゃあ戦って証明するって? 無理無理。そんな蛮族みたいな発言口が裂けても言えません。多分お姉さま方も同じ思いなんでしょう。それに恨み値が低い人はちょっとやりにくいんですよ。あと、全く正当性のない恨まれ値の人も。いや、呪いは親父と違って普通に掛けられるんですけど、なんかこう、悪いことしてるなあって思っちゃって。
「それで反省会だが……。まあ、君達が振り返るには少鬼は役者不足だったな。だが世界危険基準の危険、危鬼は3年生辺りが進級の確認テストに使用しているから少し間が空く。何分、危鬼から上は式神符が限られていてな。その一つ上の大きな危険、大鬼に至っては10枚程度、更にその上の非常に危険、非鬼は一枚しかないんだ。そのためどうしても順番待ちが発生する」
やっぱ式神符って難しいんすねえ。道理でちょっと、少しだけあちこち色々間違えたわけだ。でも学園長、非鬼は2枚になったかもしないです……。
「非鬼の符があるんですか?」
あ、橘お姉さまどうしました? 黒蜘蛛君いります? ただちょっと上級生達に復讐したいみたいなんですよ。ブラックカラーの職場に嫌気がさしてたのに、全身ブラックになったらなんかやる気に満ち溢れてて。むしろ殺る気?
「ああ、陰陽寮に秘匿されていた物らしい。幸い政府が貸し出してくれてね。推薦組の最終学年、その中でも優秀なグループが使っている。使っているのだが……」
「だが?」
「私の様に単独者と呼ばれる者は、非鬼を一人で倒せる者、と言う意味があるのは知っているな?」
「はい」
「私もテストとして相対したが、あれは非鬼の下位、つまり今日の白蜘蛛の様に、一つ下の大鬼の延長上で倒せる程度なのだ」
だってさ。でも今日から君はスーパー蜘蛛君なのだ。そんな延長上で倒されるような雑魚とは違うとも。うむ、その意気だ。
「本当の意味で非鬼では無いと?」
「その通り。だが……君達にも今から言っておくが、それを非鬼として扱って一人で打破出来たとしても、自分は単独者と名乗りを上げるのは正しくない。本当の非鬼とは、もっと恐ろしく、もっと凄まじいものなのだ。私が単独者と呼ばれるようになってもその認識は変わらない。常に命の危険がある。それほど大鬼と非鬼の差は大きいのだ」
「お話を聞くと、そう名乗る人がいるのですか?」
「嘆かわしい事にな。現場に出るなら現実を知る必要がある。しかし、非鬼はそうそう出現する存在ではないし、最優秀な者達とはいえ、非鬼との戦いに見学なんて悠長な事は言えないのだ。単独者の教員を全員参加させて、どれ程厳重な備えをしていても、自衛できなければあっさりと死んでしまうだろう」
蜘蛛君ヤバくね? 非鬼じゃなくて大鬼だったりしない? いやあ、でもこの感覚は、親父がこいつが非鬼だよって身動きできなくして俺に見せた奴と同じくらいだしなあ。それを小学生の俺に見せるとか親父も大分やばくね? まあ今更か。あの邪神は世界の危険どころか滅亡の危険だ。
「進路相談にもなりますがよろしいでしょうか?」
「ああ構わんとも。時間もあるし教職員として本望だ」
僕も橘お姉さまの進路に興味あります! お嫁さんとかですか!?
「単独者と呼ばれる事を目標としています。そのためにある程度非鬼の戦闘力を体験したいのですが、私がその式符を使用することは出来ますか? また、学園長が仰る本当の意味での非鬼の式符で経験を積むことが可能ですか?」
「素晴らしい向上心と目標だ。確かに順当に経験を積めば、橘が単独者と呼ばれる可能性は高いと思っている。ただ君の言う通り、その経験を積む方法が……特に単独者となると実戦の死地が殆どだ。学園としても面目が無い事に、きちんとしたステップを用意できていない……」
「やはり難しいですか……」
「うむ……。非鬼として扱っている式符も最終学年の追い込みに使われているし、そもそもあれが学園に貸し出されていること自体が奇跡なのだ。その上で本当の意味での非鬼の式符となると、陰陽寮最盛期に数枚、今では失われて久しく、まず現存する物は無いと思っていい。私も学生達に現実を教えるため切望しているが……急に現場で出くわしましたでは遅いのだ。逃げるなり対処なりを……」
これはいけるぞ蜘蛛君。元に戻すと約束して君を綺麗にしたけど、うっかりパワーアップさせてしまった責任は取らなくていいみたいだ。むしろ感謝してもらえるかもしれない。それに、学園長が真摯に生徒のことを思って、非鬼の式符を求めている事が邪神レーダーから伝わった。親父が珍しく人の携帯番号を登録しているはずだ。学園長の助けになってあげよう! そうとも! とにかく最上級生たちをボコったらいいのだ! その意気だ!
「学園として君の将来を最大限サポートさせてもらう。式符のシフトに空きがあればなるべく連絡しよう。すまないが今はそれで許してほしい」
「分かりました」
それにしても橘お姉さまって単独者になるのが目標なのかあ。不肖この四葉貴明、橘お姉さまのためにも蜘蛛君を学園に寄付させて頂きます! 頑張って倒してください! え? 蜘蛛君そりゃあないだろって? 残念ながら君との友情とお姉さまの応援は別なのだ。それはそれ、これはこれ。いいね?
「他にはないか?……よしそれでは解散しよう。残りの時間は自由時間でいい。解散」
橘お姉さまと佐伯お姉様が一緒に部屋を出て行くのを確認して……やっぱりあのお二人……。
「学園長先生! これを寄付させてください!」
元はここのだけど。
後あんた、俺が口を開いた瞬間びくってしたな? 心配しなくても誰かを呪うとかそんな話じゃないですよ。むしろとってもいい話です。本当ですよ?
あ、お姉さまのニタニタ笑いが素敵。
◆
いやあ学園長も喜んでくれていいことした!
そうですね学園長先生。 小さな相談室の様な所に、主席の僕、真の主席のお姉さま、橘お姉さま、佐伯お姉さまが居るんですもの。導き出されるのは一つ。僕がお姉さまと呼んでいる人達です。正解でしょ?
「君達は現状でも少鬼を打倒出来るという事だ。教育機関の長として、大人として情けない限りだが、いざ有事があれば、一年生の中では真っ先に名が上がると思って欲しい」
そうですね学園長先生。そりゃあ僕も白蜘蛛君、もとい、今は黒蜘蛛君ですけど。楽勝に倒せましたものね。でも橘お姉さまと佐伯お姉さまが、すげえ胡散臭そうな目で僕を見てるんですよ。こいついくら金積んだんだ? みたいな? 本当に実戦に参加するつもりなんか? みたいな?
じゃあ戦って証明するって? 無理無理。そんな蛮族みたいな発言口が裂けても言えません。多分お姉さま方も同じ思いなんでしょう。それに恨み値が低い人はちょっとやりにくいんですよ。あと、全く正当性のない恨まれ値の人も。いや、呪いは親父と違って普通に掛けられるんですけど、なんかこう、悪いことしてるなあって思っちゃって。
「それで反省会だが……。まあ、君達が振り返るには少鬼は役者不足だったな。だが世界危険基準の危険、危鬼は3年生辺りが進級の確認テストに使用しているから少し間が空く。何分、危鬼から上は式神符が限られていてな。その一つ上の大きな危険、大鬼に至っては10枚程度、更にその上の非常に危険、非鬼は一枚しかないんだ。そのためどうしても順番待ちが発生する」
やっぱ式神符って難しいんすねえ。道理でちょっと、少しだけあちこち色々間違えたわけだ。でも学園長、非鬼は2枚になったかもしないです……。
「非鬼の符があるんですか?」
あ、橘お姉さまどうしました? 黒蜘蛛君いります? ただちょっと上級生達に復讐したいみたいなんですよ。ブラックカラーの職場に嫌気がさしてたのに、全身ブラックになったらなんかやる気に満ち溢れてて。むしろ殺る気?
「ああ、陰陽寮に秘匿されていた物らしい。幸い政府が貸し出してくれてね。推薦組の最終学年、その中でも優秀なグループが使っている。使っているのだが……」
「だが?」
「私の様に単独者と呼ばれる者は、非鬼を一人で倒せる者、と言う意味があるのは知っているな?」
「はい」
「私もテストとして相対したが、あれは非鬼の下位、つまり今日の白蜘蛛の様に、一つ下の大鬼の延長上で倒せる程度なのだ」
だってさ。でも今日から君はスーパー蜘蛛君なのだ。そんな延長上で倒されるような雑魚とは違うとも。うむ、その意気だ。
「本当の意味で非鬼では無いと?」
「その通り。だが……君達にも今から言っておくが、それを非鬼として扱って一人で打破出来たとしても、自分は単独者と名乗りを上げるのは正しくない。本当の非鬼とは、もっと恐ろしく、もっと凄まじいものなのだ。私が単独者と呼ばれるようになってもその認識は変わらない。常に命の危険がある。それほど大鬼と非鬼の差は大きいのだ」
「お話を聞くと、そう名乗る人がいるのですか?」
「嘆かわしい事にな。現場に出るなら現実を知る必要がある。しかし、非鬼はそうそう出現する存在ではないし、最優秀な者達とはいえ、非鬼との戦いに見学なんて悠長な事は言えないのだ。単独者の教員を全員参加させて、どれ程厳重な備えをしていても、自衛できなければあっさりと死んでしまうだろう」
蜘蛛君ヤバくね? 非鬼じゃなくて大鬼だったりしない? いやあ、でもこの感覚は、親父がこいつが非鬼だよって身動きできなくして俺に見せた奴と同じくらいだしなあ。それを小学生の俺に見せるとか親父も大分やばくね? まあ今更か。あの邪神は世界の危険どころか滅亡の危険だ。
「進路相談にもなりますがよろしいでしょうか?」
「ああ構わんとも。時間もあるし教職員として本望だ」
僕も橘お姉さまの進路に興味あります! お嫁さんとかですか!?
「単独者と呼ばれる事を目標としています。そのためにある程度非鬼の戦闘力を体験したいのですが、私がその式符を使用することは出来ますか? また、学園長が仰る本当の意味での非鬼の式符で経験を積むことが可能ですか?」
「素晴らしい向上心と目標だ。確かに順当に経験を積めば、橘が単独者と呼ばれる可能性は高いと思っている。ただ君の言う通り、その経験を積む方法が……特に単独者となると実戦の死地が殆どだ。学園としても面目が無い事に、きちんとしたステップを用意できていない……」
「やはり難しいですか……」
「うむ……。非鬼として扱っている式符も最終学年の追い込みに使われているし、そもそもあれが学園に貸し出されていること自体が奇跡なのだ。その上で本当の意味での非鬼の式符となると、陰陽寮最盛期に数枚、今では失われて久しく、まず現存する物は無いと思っていい。私も学生達に現実を教えるため切望しているが……急に現場で出くわしましたでは遅いのだ。逃げるなり対処なりを……」
これはいけるぞ蜘蛛君。元に戻すと約束して君を綺麗にしたけど、うっかりパワーアップさせてしまった責任は取らなくていいみたいだ。むしろ感謝してもらえるかもしれない。それに、学園長が真摯に生徒のことを思って、非鬼の式符を求めている事が邪神レーダーから伝わった。親父が珍しく人の携帯番号を登録しているはずだ。学園長の助けになってあげよう! そうとも! とにかく最上級生たちをボコったらいいのだ! その意気だ!
「学園として君の将来を最大限サポートさせてもらう。式符のシフトに空きがあればなるべく連絡しよう。すまないが今はそれで許してほしい」
「分かりました」
それにしても橘お姉さまって単独者になるのが目標なのかあ。不肖この四葉貴明、橘お姉さまのためにも蜘蛛君を学園に寄付させて頂きます! 頑張って倒してください! え? 蜘蛛君そりゃあないだろって? 残念ながら君との友情とお姉さまの応援は別なのだ。それはそれ、これはこれ。いいね?
「他にはないか?……よしそれでは解散しよう。残りの時間は自由時間でいい。解散」
橘お姉さまと佐伯お姉様が一緒に部屋を出て行くのを確認して……やっぱりあのお二人……。
「学園長先生! これを寄付させてください!」
元はここのだけど。
後あんた、俺が口を開いた瞬間びくってしたな? 心配しなくても誰かを呪うとかそんな話じゃないですよ。むしろとってもいい話です。本当ですよ?
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