その男に触れるべからず ~過去にやらかし過ぎた最強男の結婚生活 反省しているので化け物呼ばわりは勘弁してください~

福郎

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敵討ち編

拳死

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ちうーーーー

ん?何の音じゃ?

「おはようセラ」

ぬむ。わしがだんな様の首に吸いついとったか。無意識とは恐ろしいの。
む?これは暗殺者が着る様な衣装ではないか?なぜベッドの下に?

「ああ、それはジネットが若い頃に訓練で着てたやつの再現服だよ」

「なんでこんなところにあるのじゃ?」

「じゃあお風呂いこうかー」

ひょいと持ち抱えられて浴室に連れていかれる。
わーい。


「おはようございます!」

「お、おはようございます」

入浴後に脱衣所でアレクシアに髪の手入れをしてもらっていると、ルーとリンがやって来た。
しかしリンは大丈夫かの?トマトの様な赤さの顔になっておる。

「あ、あのお二人とも、特にセラ殿は結婚式場でユーゴ殿に助けられたとか」

真っ赤な顔のままリンが訪ねてくる。
あの時の話をするとわしまで顔が赤くなりそうじゃが答えよう!

「うむ!ろくでもない悪漢と結婚させられそうになっての。そ奴の奸計で、わしもアレクシアも手籠めにされそうになった時に助けてもらったのじゃ!お前にわしらは相応しくないと言ってくれての!」

「はい。あの時のユーゴ様はとても凛々しいお姿でした」

「お、おお。それでなんでも駆け落ちだとか」

興味津々なリンがさらに問うてくる。

「うむ。懲りん父が別の所に嫁がせようとしての。認めてくれんかったからどうしようかと思ったが、だんな様がわしとアレクシアを攫ってくれての。そのまま駆け落ちじゃ!」

いかん。その時の事を思い出して顔がにやける。

「か、駆け落ち…。それで、そのう、セラ殿は吸血"鬼"だとか…」

何故か途轍もない緊張感を感じさせながらリンがわしの種族を聞いて来た。
そんなに緊張する事かの?

「うむ。確かに吸血鬼じゃ。どうかしたのかの?」

「いえ…」

「それじゃあお風呂に行きましょう!」

「あ、ああ」

「ね!旦那様は凜ちゃんが鬼だって関係ないですよ!」

「ああ!」

「それに凜ちゃんの実家がなんか言って来ても駆け落ちです!」

「か、駆け落ち…」

ルーに手を引かれて浴室に向かうリンだが、何やら2人で言いながらだ。
それにしても鏡に映るわしの顔も赤くなってしまった。




「あのう、ユーゴ殿。鬼についてどう思われます?」

「鬼?確か東方の人種だよね?」

朝食が終わり、少し時間が経ってから祈りの国に行こうかと考えていた時である。凜ちゃんが恐る恐ると尋ねてきた。
ああ、凜ちゃんが普通の人間種の気配じゃないと思っていたけど鬼とのハーフかな?

「何度か会ったことあるけど特にどうとも…。強いて言えば男の人は凄い逞しいですねと、女の人は美人な人多いねとしか」

「ほんとですか!?」

「ほんとほんと」

そんな切羽詰まった声出さなくてもほんとだとも。コンプレックスでもあるのかな?
なんなら俺の方が化け物だの怪物だの、果ては歩く災害製造機扱いだ。泣きそう。

「それじゃあ私達はお洗濯に行ってきます!」

「はーい」

「ね!言ったとおりでしょ!旦那様はそんなこと気にしないって!」

「ああ!」

やっぱりコンプレックスだったみたいだ。

「それに凜ちゃんの事も美人って言ってましたね!」

「いや、あれは…そ、そうなのかな?」

「間違いないです!」

しまった!ひょっとしてセクハラ発言しちゃった!?訂正は…ダメだ傷つくかもしれん…。どうしよう…。
仕事に行くか!!



祈りの国 総長執務室

「拳死だが突き止めた」

やだ、有能過ぎない?その調子で全員見つけてくだせえ。

「こいつも廃村にいた。転移で送る」

確か拳に毒を使う男だったな。
まあ魔法使いでもないなら、生活環境がある程度整っている廃村の方が都合がいいのだろう。だからこんなに早く見つかったのもあるかもしれない。

さてお仕事だ


騎士の国 廃村

「御武運を」

「ありがとうございます」

この人も緊張してるな…。やっぱり泣きそう。
ぐすん。

さーて拳死はっと。
起きてるかあ。まあそりゃそうだ。
情報も大したこと無いだろうけど一応聞かなきゃなあ。
ちょっと雑に行くか!
婆さんのせいで毒とかちょっと怖くなったとかは無いがな!

ヒョボッ!

バン!!

特に必要ないからな、遠くから殴って廃屋ごと吹っ飛ばす。反応出来ていなかったからもろに食らったな。
まあ生きてるしよし!

「がはっ!?」

割と若い30代くらいの男があちこち骨折しながら、血反吐を吐きながら転げまわってるけど生きてるからよし!

「こんにちわ。少しお話したいことがありまして」

「ごぼっ!?」

だめだ話にならんかもしれん。

「ぎ。ぎざま゛!?」

おお流石だ!もう喋れるのか!なら好都合!

「お口開けてくださいねー」

食らえ!婆さん特性の自白薬!
所で毒使うなら解毒薬にも詳しくない?いや、この薬にビビってるわけじゃないけどさ。


祈りの国 総長執務室

「やはり他の面子の場所は知らんか」

「ええ。"7つ"か"骸骨"でなければ」

「だが魔法使いを見つけるのは少し時間がかかる…」

まあ色々遮蔽魔法とかあるからね。
所で俺の目的が業魔だってこと忘れてないよね?まあ、剣の国の隣でドンパチやられたら堪らんから対処するけど。

「先に業魔が見つかるだろうが、どうかこのまま協力をお願いしたい」

おお!覚えていてくれたか!

「勿論ですとも」

俺も街を回ってるけど、引っ掛かっても行ってみたら特級だったりしたからなあ。
早く見つけてあげたいが…。















もうずっと一緒ですからいつでもいいですよ




人物事典

ターナー:最優先抹殺対象 【特別国家脅威】 個人戦闘力最大評価

人間種、身長170cm、肌の色白、瞳の色青、毛髪金、拳に毒を塗っており、そのため拳の変色を隠すために常に何かを巻いている。似顔絵は別紙。

"拳死"のターナーを発見または、それに準ずる有力な情報を入手した場合、即座に帰還し総長に報告すること。万が一戦闘に発展した場合、すぐさま撤退。不可能な場合情報を残す事。

過去に砂の国の宰相を暗殺し、その際複数の衛兵と勇者を殺害。襲撃を生還した者も後に毒により死亡する。
国家の中枢を積極的に狙い、世界の混乱を望んでおり、そのため国家脅威度は特別。
最大級の危険因子として大陸中に手配をされており、近年は姿を隠していた。

現在は、"7つ"、"骸骨"、"蜘蛛"と行動を共にしており、最優先での対処が必要である。

総長からの追記
殺害済み


検死官からの報告
ー全身に無数の大怪我がある者の、死因は胸から背に掛けて大きな穴による物だと思われるー


ーさあ!お互い拳を使う者の同士戦いだ!…なんだそれは?小石で流星と戦うつもりか?ー

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