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敵討ち編
蜘蛛 またの名を
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騎士の国 凜
刀を大上段に構え業魔を見やる。どうやら未だに混乱しているようで、私ではなく女の遺体とユーゴ様を交互に見ている。
これは好機だ!
一気に間合いを詰める。
数々の退魔士を退けてきた妖魔なのだ。この機、この一振りに全てを賭ける!
「いやああああ!!」
「こ、小娘!?がはっ!?」
ようやく私の姿を捉えたようだが、構うものか!そのまま上から刀を振り落とす!
今姿勢が崩れた!?このまま首に!
「ぎぎっ!?」
殺った!
業魔の首筋から胸にかけて断ち切った!
「ぎごぼっ」
断ち切った断面からは血ではなく、なにか黒く濁った粘液の様なモノが流れ出が、構うものか!このまま止めを刺す!
なんだ!?
刀を引き抜こうとしたとき、業魔の肉体があちこち瘤のように盛り上がり始めた!?
早く止めを!?
「ユーゴ様!?」
「ごめんね凜ちゃん。ちょーっとマズい感じだったから」
幾らか業魔から離れたところにユーゴ様に抱きかかえられていた。思わず赤面してしまうが業魔は!?
「あ、ああ!?そんな!?」
蜘蛛の様な体に牛の顔!?
ま、まさか牛鬼!?そんな!東方の都で封印されているはず!まさか業魔の正体は牛鬼だったのか!?
…
こうなれば、私の命を使う水草の秘術で奴を封印するしか…
ユーゴ様、凜は短い間でしたが幸せ者でした。
「ユーゴさむぐ!?」
命を捨てる覚悟を決め、今生の別れの挨拶をしようとした時、口を塞がれてしまった。
し、しかもユーゴ様の口で!?嫁入り前なのに接吻をしてしまった!いやもう嫁入りしてたから大丈夫だ!
「今なんか嫌な事言いそうになったでしょ?」
「ぷはっ。し、しかし牛鬼は殺した相手に憑りつき、その者も牛鬼となってしまうのです!」
牛鬼は封印するしかない。それにユーゴ様の御命だけでも!
「大丈夫。お任せあれ」
あう!抱き抱えられたままだったから降ろされたが、また接吻されてしまった!
ユーゴ様、一体どうやって…。
◆
sideユーゴ
危なくなったら助けるとは言ったが、最初から手助けしないとも言ってはないと思いながら業魔の膝を砕いたが、奴さんの止めを凜ちゃんが刺そうとした時に、嫌な感じがしたから凜ちゃんを下げたが案の定だ。
蜘蛛の体に牛の頭だぁ?見た瞬間、頭の海馬が電気を発したぞ。
『やっぱ最強の妖怪は牛鬼だって!殺せても殺したそいつが牛鬼になるんだぜ!?』
中学の時の友人、大輝よ。今俺の目の前にいるんだけど、お前のうんちくのおかげで下手に手を出さずに済んだぞ。中学特有の最強とか無敵とかに妙に惹かれた時期に、何故かお前は妖怪の最強に惹かれたみたいだが。
まさかお前も、俺が本物と出くわすとは思うまい。
凜ちゃんの前に出る。出来れば直接させてあげたかったけどそうもいくまい。
「ぎぎぎ貴様ああああ」
変身というより元に戻ったのかね?でけえな。普通に一軒家くらいだ。
というか膝砕いた事バレてるな。すんげえ表情で睨んでくるんだが、ほんとに屏風で書かれてるみたいな曲線の多い目なんだな。許せ。あと、牛の表情は分かりにくいぞ。
「ししし死ねえええ!!」
「お前が死ね」
「ややややってみるがいいいいい」
それこそ中学の時のやり取りをしながら牛鬼がにたりと笑う。まあ、その能力とんでもないからなあ。気持ちは分かるよ。
でもお前さん、存在そのものを消されたことはあるかい?
◆
ーミシリと世界が歪んだ音がした ただ拳を握りこんだだけなのにー
「オオオオオオ!!!」
ー牛鬼が足を上げていたが遅すぎる。その間にも既にユーゴの拳は引き絞られており、後は必殺の矢を解き放つのみー
「死ね」
ー解放された拳は世界の法則を超え、光となってちっぽけな蜘蛛の飲み込んだ。肉も骨も命も必殺の呪詛も魂も、そしてその存在その物が、ほんの一瞬だけ輝いた光に消されていく。一筋の光が夜空に昇り消えていくと、そこに牛鬼の存在はどこにもなかったー
◆
大陸の地上で水平に殴るわけにはいかないから上に向けたが、逆流れ星になっちゃったな…。川は消えなかったがベルトルド総長許してくれるかなあ。そうだ、東方から持ってきた打ち上げ花火という事に…。
「ユ、ユーゴ様」
「終わったよ凜ちゃん」
ぺたりと座り込んでいた凜ちゃんを抱きかかえて、腰ほどの岩に座らせる。
「牛鬼は…?」
「死んだよ。間違いなく。俺も何も起こってない」
「うっ…ひっく…」
事態が呑み込めたのだろう、目に涙を浮かべながら俺の胸元に頭を寄せてくる。
「ありがとうございます!これで父母も…ひっく」
「うんうん」
凜ちゃんが泣き止むまで背を摩る。重しが無くなったんだ、今は泣くと言い。
「ぐす。ユーゴ様ありがとうございました」
「いえいえ」
泣き止んだ凜ちゃんだが、どこかさっぱりした表情だ。うん、いい顔だ。
「さあ、我が家に帰ろうか」
「は、はい!」
あ、そういえば随分故郷を思い出して、忘れていることに気がついた事がある。
「そういえば凜ちゃんに、俺の名前の書き方教えてなかったね」
「あ、実は少し気になってて」
少し恥ずかしそうに言う凜ちゃんだったが、許してほしい。なんせ何十年もユーゴで通してるんだ。
「ふふ。俺の名前はね、新島 勇吾 って書くんだ」
「新島、勇吾様…」
フルネームを枝で地面に書くが、書くなんて本当にいつぶりくらいだろうか?こっちに来てから殆ど名乗りもしていない。
「それでは私も今日から新島 凜です!勇吾様!」
その言葉にポカンとして、じわじわと喜びが込み上げてくる。俺の姓まで名乗ってくれるなんて。
「あう」
「ありがとう凜」
つい抱きしめてしまう。
凜は恥ずかしがっているが、見てるのはお月さまだけだ。許してほしい。
◆
リガの街 ユーゴ邸 ユーゴ
我が家に帰ってきたが、ギリギリ日付は変わってないかな?屋敷のあちこちに明かりが灯っているが、アリーとブラウニー達には頭が下がる。
「ただいまー」
「た、ただいま帰りました」
改めて家に帰ると緊張しているらしい。
「もう凜の家でもあるんだよ?」
「は、はい!」
うん、いい笑顔。
「お帰りなさい旦那様!」
「ただいまルー。起きてくれてたのね。ありがとう」
「た、ただいま!」
わざわざ起きてくれていたらしい、ルーが出迎えてくれる。凜も仲のいいルーが迎えてくれて嬉しそうだ。
「その様子だと敵討ちも無事終わってみたいですね!今日から凜ちゃんも家族ですね!」
「う、うん」
ルーの言葉に、凜が顔を真っ赤にしながらも俺の傍に寄って来る。すんごく可愛い。
「さあ、早く中へどうぞ!お夕食温めますね!」
「ちょ!?ルー!?」
凜の手を取り中へ入るよう促すルー。
仲良きことはいい事だ。
うんうん。
◆
うん?
ルーと凜どうしたの?
初夜!?
ちょ、ちょっと落ち着こう!
あ、ちょっとルー!?
凜、お待ちになって!?
ぬあああああああ
◆
「先手必勝、相手に何もさせない、急がばぶち破れ。いい言葉だ」
ー"来訪者" 新島 勇吾ー
◆
人物事典
ミリア:最優先抹殺対象 国家脅威度最大 【個人戦闘力特別評価】
身長160㎝ 毛髪赤色 瞳の色赤色 鮮やかな赤色の髪が特徴的、似顔絵は別紙。
"7つ"のミリアを発見または、それに準ずる有力な情報を入手した場合、即座に帰還し総長に報告すること。万が一戦闘に発展した場合、すぐさま撤退。不可能な場合情報を残す事。
"7つ"のミリアは魔法の国出身で、若くして才能を認められ自分の研究室を与えられるほどであったが、唱える魔法の数を増やすために人体実験や禁忌の研究にのめりこむ様になり、魔法の国を追放される。
どうやら実験は成功していたようで、現在大陸で確認される唯一の7つの呪文を唱えれる人物であり、戦闘能力は計り知れない。
特に炎の魔法に関しては他の追随を許さず、対処する場合には備えが必要である。
現在は"蜘蛛"、【死亡済み】、【死亡済み】、【死亡済み】、と行動を共にしており、最優先での対処が必要である。
総長の追記
殺害済み
すまんがあの怪物に、騎士の国で発生した、光が夜空に打ちあがった事に心当たりがないか聞いてくれないか?
検死官からの報告
ー膝の上からが無くなっている。一体何があったんだ?ー
副総長からの通達
ユーゴ殿から"蜘蛛"の詳細を聞いた総長が倒れられたので、臨時に私が職の一部を代行する。
魔物辞典
業魔、またの名を"牛鬼"
かつて東の国に存在した最強の妖魔の一体で、蜘蛛の胴体に牛の頭を持ち、一つの家ほどの巨体さを誇る。
恐るべき点はその身に宿した呪詛で、自らを殺した者に憑りつき、その者も牛鬼と化してしまう事である。
討伐することが不可能であると判断した当時の退魔士たちは、封印するしかないと判断。多大な犠牲を払いながらも牛鬼の封印に成功する。
しかし、時が経つにつれて結界が弱まり、また牛鬼の存在が風化し結界の維持も怠ってしまったため、密かに脱出に成功。再び東の国で暴れだすも、自分を封印した退魔士の子孫達がある程度勢力を維持していると分かると、人に化けて船に乗り大陸へと渡る。
まさしく最強の妖魔名を冠するに足る存在であったが、最後は存在そのものを消し飛ばされた。
ーおっと踏んづけてしまった。毒蜘蛛だったかな?ー
◆
よかったね凜ちゃん
刀を大上段に構え業魔を見やる。どうやら未だに混乱しているようで、私ではなく女の遺体とユーゴ様を交互に見ている。
これは好機だ!
一気に間合いを詰める。
数々の退魔士を退けてきた妖魔なのだ。この機、この一振りに全てを賭ける!
「いやああああ!!」
「こ、小娘!?がはっ!?」
ようやく私の姿を捉えたようだが、構うものか!そのまま上から刀を振り落とす!
今姿勢が崩れた!?このまま首に!
「ぎぎっ!?」
殺った!
業魔の首筋から胸にかけて断ち切った!
「ぎごぼっ」
断ち切った断面からは血ではなく、なにか黒く濁った粘液の様なモノが流れ出が、構うものか!このまま止めを刺す!
なんだ!?
刀を引き抜こうとしたとき、業魔の肉体があちこち瘤のように盛り上がり始めた!?
早く止めを!?
「ユーゴ様!?」
「ごめんね凜ちゃん。ちょーっとマズい感じだったから」
幾らか業魔から離れたところにユーゴ様に抱きかかえられていた。思わず赤面してしまうが業魔は!?
「あ、ああ!?そんな!?」
蜘蛛の様な体に牛の顔!?
ま、まさか牛鬼!?そんな!東方の都で封印されているはず!まさか業魔の正体は牛鬼だったのか!?
…
こうなれば、私の命を使う水草の秘術で奴を封印するしか…
ユーゴ様、凜は短い間でしたが幸せ者でした。
「ユーゴさむぐ!?」
命を捨てる覚悟を決め、今生の別れの挨拶をしようとした時、口を塞がれてしまった。
し、しかもユーゴ様の口で!?嫁入り前なのに接吻をしてしまった!いやもう嫁入りしてたから大丈夫だ!
「今なんか嫌な事言いそうになったでしょ?」
「ぷはっ。し、しかし牛鬼は殺した相手に憑りつき、その者も牛鬼となってしまうのです!」
牛鬼は封印するしかない。それにユーゴ様の御命だけでも!
「大丈夫。お任せあれ」
あう!抱き抱えられたままだったから降ろされたが、また接吻されてしまった!
ユーゴ様、一体どうやって…。
◆
sideユーゴ
危なくなったら助けるとは言ったが、最初から手助けしないとも言ってはないと思いながら業魔の膝を砕いたが、奴さんの止めを凜ちゃんが刺そうとした時に、嫌な感じがしたから凜ちゃんを下げたが案の定だ。
蜘蛛の体に牛の頭だぁ?見た瞬間、頭の海馬が電気を発したぞ。
『やっぱ最強の妖怪は牛鬼だって!殺せても殺したそいつが牛鬼になるんだぜ!?』
中学の時の友人、大輝よ。今俺の目の前にいるんだけど、お前のうんちくのおかげで下手に手を出さずに済んだぞ。中学特有の最強とか無敵とかに妙に惹かれた時期に、何故かお前は妖怪の最強に惹かれたみたいだが。
まさかお前も、俺が本物と出くわすとは思うまい。
凜ちゃんの前に出る。出来れば直接させてあげたかったけどそうもいくまい。
「ぎぎぎ貴様ああああ」
変身というより元に戻ったのかね?でけえな。普通に一軒家くらいだ。
というか膝砕いた事バレてるな。すんげえ表情で睨んでくるんだが、ほんとに屏風で書かれてるみたいな曲線の多い目なんだな。許せ。あと、牛の表情は分かりにくいぞ。
「ししし死ねえええ!!」
「お前が死ね」
「ややややってみるがいいいいい」
それこそ中学の時のやり取りをしながら牛鬼がにたりと笑う。まあ、その能力とんでもないからなあ。気持ちは分かるよ。
でもお前さん、存在そのものを消されたことはあるかい?
◆
ーミシリと世界が歪んだ音がした ただ拳を握りこんだだけなのにー
「オオオオオオ!!!」
ー牛鬼が足を上げていたが遅すぎる。その間にも既にユーゴの拳は引き絞られており、後は必殺の矢を解き放つのみー
「死ね」
ー解放された拳は世界の法則を超え、光となってちっぽけな蜘蛛の飲み込んだ。肉も骨も命も必殺の呪詛も魂も、そしてその存在その物が、ほんの一瞬だけ輝いた光に消されていく。一筋の光が夜空に昇り消えていくと、そこに牛鬼の存在はどこにもなかったー
◆
大陸の地上で水平に殴るわけにはいかないから上に向けたが、逆流れ星になっちゃったな…。川は消えなかったがベルトルド総長許してくれるかなあ。そうだ、東方から持ってきた打ち上げ花火という事に…。
「ユ、ユーゴ様」
「終わったよ凜ちゃん」
ぺたりと座り込んでいた凜ちゃんを抱きかかえて、腰ほどの岩に座らせる。
「牛鬼は…?」
「死んだよ。間違いなく。俺も何も起こってない」
「うっ…ひっく…」
事態が呑み込めたのだろう、目に涙を浮かべながら俺の胸元に頭を寄せてくる。
「ありがとうございます!これで父母も…ひっく」
「うんうん」
凜ちゃんが泣き止むまで背を摩る。重しが無くなったんだ、今は泣くと言い。
「ぐす。ユーゴ様ありがとうございました」
「いえいえ」
泣き止んだ凜ちゃんだが、どこかさっぱりした表情だ。うん、いい顔だ。
「さあ、我が家に帰ろうか」
「は、はい!」
あ、そういえば随分故郷を思い出して、忘れていることに気がついた事がある。
「そういえば凜ちゃんに、俺の名前の書き方教えてなかったね」
「あ、実は少し気になってて」
少し恥ずかしそうに言う凜ちゃんだったが、許してほしい。なんせ何十年もユーゴで通してるんだ。
「ふふ。俺の名前はね、新島 勇吾 って書くんだ」
「新島、勇吾様…」
フルネームを枝で地面に書くが、書くなんて本当にいつぶりくらいだろうか?こっちに来てから殆ど名乗りもしていない。
「それでは私も今日から新島 凜です!勇吾様!」
その言葉にポカンとして、じわじわと喜びが込み上げてくる。俺の姓まで名乗ってくれるなんて。
「あう」
「ありがとう凜」
つい抱きしめてしまう。
凜は恥ずかしがっているが、見てるのはお月さまだけだ。許してほしい。
◆
リガの街 ユーゴ邸 ユーゴ
我が家に帰ってきたが、ギリギリ日付は変わってないかな?屋敷のあちこちに明かりが灯っているが、アリーとブラウニー達には頭が下がる。
「ただいまー」
「た、ただいま帰りました」
改めて家に帰ると緊張しているらしい。
「もう凜の家でもあるんだよ?」
「は、はい!」
うん、いい笑顔。
「お帰りなさい旦那様!」
「ただいまルー。起きてくれてたのね。ありがとう」
「た、ただいま!」
わざわざ起きてくれていたらしい、ルーが出迎えてくれる。凜も仲のいいルーが迎えてくれて嬉しそうだ。
「その様子だと敵討ちも無事終わってみたいですね!今日から凜ちゃんも家族ですね!」
「う、うん」
ルーの言葉に、凜が顔を真っ赤にしながらも俺の傍に寄って来る。すんごく可愛い。
「さあ、早く中へどうぞ!お夕食温めますね!」
「ちょ!?ルー!?」
凜の手を取り中へ入るよう促すルー。
仲良きことはいい事だ。
うんうん。
◆
うん?
ルーと凜どうしたの?
初夜!?
ちょ、ちょっと落ち着こう!
あ、ちょっとルー!?
凜、お待ちになって!?
ぬあああああああ
◆
「先手必勝、相手に何もさせない、急がばぶち破れ。いい言葉だ」
ー"来訪者" 新島 勇吾ー
◆
人物事典
ミリア:最優先抹殺対象 国家脅威度最大 【個人戦闘力特別評価】
身長160㎝ 毛髪赤色 瞳の色赤色 鮮やかな赤色の髪が特徴的、似顔絵は別紙。
"7つ"のミリアを発見または、それに準ずる有力な情報を入手した場合、即座に帰還し総長に報告すること。万が一戦闘に発展した場合、すぐさま撤退。不可能な場合情報を残す事。
"7つ"のミリアは魔法の国出身で、若くして才能を認められ自分の研究室を与えられるほどであったが、唱える魔法の数を増やすために人体実験や禁忌の研究にのめりこむ様になり、魔法の国を追放される。
どうやら実験は成功していたようで、現在大陸で確認される唯一の7つの呪文を唱えれる人物であり、戦闘能力は計り知れない。
特に炎の魔法に関しては他の追随を許さず、対処する場合には備えが必要である。
現在は"蜘蛛"、【死亡済み】、【死亡済み】、【死亡済み】、と行動を共にしており、最優先での対処が必要である。
総長の追記
殺害済み
すまんがあの怪物に、騎士の国で発生した、光が夜空に打ちあがった事に心当たりがないか聞いてくれないか?
検死官からの報告
ー膝の上からが無くなっている。一体何があったんだ?ー
副総長からの通達
ユーゴ殿から"蜘蛛"の詳細を聞いた総長が倒れられたので、臨時に私が職の一部を代行する。
魔物辞典
業魔、またの名を"牛鬼"
かつて東の国に存在した最強の妖魔の一体で、蜘蛛の胴体に牛の頭を持ち、一つの家ほどの巨体さを誇る。
恐るべき点はその身に宿した呪詛で、自らを殺した者に憑りつき、その者も牛鬼と化してしまう事である。
討伐することが不可能であると判断した当時の退魔士たちは、封印するしかないと判断。多大な犠牲を払いながらも牛鬼の封印に成功する。
しかし、時が経つにつれて結界が弱まり、また牛鬼の存在が風化し結界の維持も怠ってしまったため、密かに脱出に成功。再び東の国で暴れだすも、自分を封印した退魔士の子孫達がある程度勢力を維持していると分かると、人に化けて船に乗り大陸へと渡る。
まさしく最強の妖魔名を冠するに足る存在であったが、最後は存在そのものを消し飛ばされた。
ーおっと踏んづけてしまった。毒蜘蛛だったかな?ー
◆
よかったね凜ちゃん
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そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
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