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日常
二段落
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ユーゴ邸 ユーゴ
よし、とりあえずこんなものか。一通り出来上がったマクシム像を見て満足する。
そろそろ夕方の買い物に行かないとな。
「あ、ルー、凜。買い物行かない?」
「あ、ご主人様!行きます!」
「はい!」
作業場から出ると、ちょうど2人と出会ったから誘う。どうも洗濯物を取り終えたらしい。
マイバックよし!必要なものを書いたメモ帳よし!では出発!
◆
今の家は大いに気に入っているが、商店街から少し離れているのは難点だな。まあ、商店街の近辺にそんなデカい家を建てれるわけも無いが。
「よう、ユーゴ。ルーちゃんもいらっしゃい」
「こんにちは!」
どうも肉屋の旦那、相変わらず逞しい腕っすな。肉切るのが大変なのは分かるが、そこらの冒険者よりもよっぽど逞しい。駆け出しの冒険者よりも強いんじゃなかろうか?すんごい偏見だが魔物切るのも躊躇しなさそう。
「えーと、これとこれを」
「はいよルーちゃん。ところでそっちの娘さんは親戚の子かい?」
ルーの注文を聞きながら、凜に目線を向けて聞いてくる。ふふふ、聞いて驚け腰抜かせ。
「紹介しますね。昨日結婚しました、妻の凜です」
「新島凜です。この度、勇吾様と結婚いたしました。どうぞよろしくお願いします」
「はあ…これはどうもご丁寧に…」
気の抜けた返事が返ってくるが、言葉の意味を理解できていないな?野菜も取らないから脳みその回転が衰えるのだ。
「お会計お願いします!」
「あ、ああルーちゃん。ルーちゃんはユーゴの…」
「奥さんです!」
馬鹿め。助けを求めようとこの場に味方は居ないぞ。
「確かお姉ちゃんも…」
「奥さんです!」
「聖女様と、金髪の嬢ちゃんと、侍女さんは…」
「奥さんです!」
大丈夫か肉屋の旦那?やっぱ肉の食い過ぎはダメだな。
「えーっと、はいお釣り?」
「ありがとうございます!」
帰りに野菜を買って帰ろう。緑黄色野菜だ。
◆
side凜
業魔の件でご厄介になっていた頃は、商店街の方には来なかったから、行く先々で妻と自己紹介することになったが、その度に顔がにやけそうになってしまった。
最後に八百屋に寄ることになったが、なかなか立派だ。色とりどりの野菜が売っている。
「おやまあ、エリーちゃんおめでたなのかい!?」
「はい!これからも旦那のトーマス共々よろしくお願いします!」
若い女性と八百屋の女将さんらしい人が話しているが、そうかおめでたか…。私もいつかは…。
ん?勇吾様の顔が引き攣っている。なんと珍しい。何かあったのだろうか?
「おやいらっしゃい。ルーちゃんと…親戚の子かい?」
「ユーゴさんお久しぶりです!」
「え、ええ。実は結婚しまして。名前は凜と言います」
「新島凜です。よろしくお願いします」
気のせいか、女将さんの目が細まり勇吾様を見ている気がした。
「そ、それよりも結婚しておめでたなのかい?」
「はい!雑貨屋のトーマスと結婚して赤ちゃんも授かりました!」
どうやら彼女とも知り合いらしい。しかし、彼女の方は満面の笑みを浮かべているが、勇吾様の顔は引き攣るばかりだ。何かあったのだろうか?
「そ、それはよかった。今度何かお祝いを送らせてもらうよ」
「え?いいんですか!?ありがとうございます!」
「あんたの所と言い、いい事が続くねえ」
「は、はははは」
そうだ、子供が大きくなったら父母のお墓参りに行こう。今はまだ一族が煩くするだろうからだめだ。うふふ。私と勇吾様の子供か。
◆
sideユーゴ
なんてことだ…あの若夫婦、実は俺の事殺しに来てるんじゃなかろうか…。俺の失われた若い頃を見せつけられている。
酒場の店主と一緒に墓場に入りそうだ。いや、霊体の店主は孫の顔を見たら、墓石を押し退けて飛び起きるだろう。リュドヴィックと骸骨もびっくりなフレッシュゾンビの出来上がりだ。
お祝いは何にしようか。マクシム像のついでに安産祈願の神の像でも作って送ろうかな?白石製は恐縮されそうだから木製か。
「ただいまー」
「ただいまです!」
「只今帰りました」
「皆様お帰りなさいませ」
カタカタカタ
玄関の扉を開けるとアリーが出迎えてくれたが、足元には例の箒が震えている。サボりを黙っていたのに見つかってしまったのか…。スペシャルブートキャンプ行きだな。哀れな。
「私、少々このブラウニーとお話がありますので」
「お構いなくー」
一応、魔力という形で給金を払っているから、大人しく連行されてくれ。この箒も他のブラウニーと同様、以前よりも道具の体は色艶がいいくらいだ。
「だんな様、お帰りなさいなのじゃ」
「ただいまセラ」
台所にセラがいたが…。
んん?そのコップの中にあるのはまさか!?
「それトマトジュース?」
「うむ!アレクシアが作ってくれての!これなら大丈夫じゃ」
そう言ってチビチビとトマトジュースを飲むセラ。ちょっと違うような気がするが可愛いからよし!
「凜。ちょっと卵焼きに挑戦してみようか?」
「は、はい!喜んで!」
凜が来てから故郷の味が懐かしくなってしまった。いつの間にか米の味も忘れてパン生活だしなあ。それで凜と一緒に卵焼きを作ることにした。卵焼きくらい多分大丈夫だよな?
「それではやりましょう。味付けは…適量で」
「はい!」
◆
side凜
「あれ?砂糖と塩ってどれくらい?」
勇吾様と一緒に卵焼きを作っているが、家族と一緒に料理をするのがこんなに幸せだなんて思いもしなかった。
母上、父上。凜はこの方と一緒に生きていきます。どうか見守っていてください。
「醤油は港の国から入って来るから持ってるけど、一体分量は…」
母上、母上の言った通りでした。幸せはどこに転がっているか分からないものです。
きっと顔を見せに行きます。
◆
sideユーゴ
うーん。味はぎりぎり及第点!
人物事典
水草凜改め、新島凜
東の国の名門、水草家に生を受けた少女で、名前の通り凛とした美少女。しかし、父方の鬼の血のせいか、時折、傾国と表現できるような妖しい色気を出すことがある。
母は水草家の宗家の生まれであったが、人間種ではない人種の鬼の男性と結婚。凜を授かる。
しかし、父を業魔に殺害されてしまい、母は女で一つで凜を育てるも生来体が丈夫ではなく、体調の悪い時は1人寂しく暮らしていた。その上、実家の水草の一族は鬼との間に生まれた凜の事を忌避しており、肩身の狭い思いをしていた。
母が亡くなったことが切っ掛けとなり、凜を忌々しく思っていた叔父の命により、業魔討伐のために大陸に来訪。これは実際には追放と同じであった。
その際にユーゴと出会い、敵討ちの手助けをしてもらっているうちに、恩から次第に恋心へと変わっていく。
業魔討伐後はユーゴと結婚。姓も彼のものに改める。父母の墓参りをしたいと思っているが、東の国を発ってすぐに戻ると一族が煩いと判断。自分に子供が生まれ、大きくなったら顔見せも兼ねて訪れようと考えている。
ー忌避され続けた鈴の音はようやく安住の地を見つけ出した 故あって再び東の国に訪れた時も変わらず清廉な音であったが、忌避していた者達にとっては地獄の鐘の音となっていたー
よし、とりあえずこんなものか。一通り出来上がったマクシム像を見て満足する。
そろそろ夕方の買い物に行かないとな。
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「あ、ご主人様!行きます!」
「はい!」
作業場から出ると、ちょうど2人と出会ったから誘う。どうも洗濯物を取り終えたらしい。
マイバックよし!必要なものを書いたメモ帳よし!では出発!
◆
今の家は大いに気に入っているが、商店街から少し離れているのは難点だな。まあ、商店街の近辺にそんなデカい家を建てれるわけも無いが。
「よう、ユーゴ。ルーちゃんもいらっしゃい」
「こんにちは!」
どうも肉屋の旦那、相変わらず逞しい腕っすな。肉切るのが大変なのは分かるが、そこらの冒険者よりもよっぽど逞しい。駆け出しの冒険者よりも強いんじゃなかろうか?すんごい偏見だが魔物切るのも躊躇しなさそう。
「えーと、これとこれを」
「はいよルーちゃん。ところでそっちの娘さんは親戚の子かい?」
ルーの注文を聞きながら、凜に目線を向けて聞いてくる。ふふふ、聞いて驚け腰抜かせ。
「紹介しますね。昨日結婚しました、妻の凜です」
「新島凜です。この度、勇吾様と結婚いたしました。どうぞよろしくお願いします」
「はあ…これはどうもご丁寧に…」
気の抜けた返事が返ってくるが、言葉の意味を理解できていないな?野菜も取らないから脳みその回転が衰えるのだ。
「お会計お願いします!」
「あ、ああルーちゃん。ルーちゃんはユーゴの…」
「奥さんです!」
馬鹿め。助けを求めようとこの場に味方は居ないぞ。
「確かお姉ちゃんも…」
「奥さんです!」
「聖女様と、金髪の嬢ちゃんと、侍女さんは…」
「奥さんです!」
大丈夫か肉屋の旦那?やっぱ肉の食い過ぎはダメだな。
「えーっと、はいお釣り?」
「ありがとうございます!」
帰りに野菜を買って帰ろう。緑黄色野菜だ。
◆
side凜
業魔の件でご厄介になっていた頃は、商店街の方には来なかったから、行く先々で妻と自己紹介することになったが、その度に顔がにやけそうになってしまった。
最後に八百屋に寄ることになったが、なかなか立派だ。色とりどりの野菜が売っている。
「おやまあ、エリーちゃんおめでたなのかい!?」
「はい!これからも旦那のトーマス共々よろしくお願いします!」
若い女性と八百屋の女将さんらしい人が話しているが、そうかおめでたか…。私もいつかは…。
ん?勇吾様の顔が引き攣っている。なんと珍しい。何かあったのだろうか?
「おやいらっしゃい。ルーちゃんと…親戚の子かい?」
「ユーゴさんお久しぶりです!」
「え、ええ。実は結婚しまして。名前は凜と言います」
「新島凜です。よろしくお願いします」
気のせいか、女将さんの目が細まり勇吾様を見ている気がした。
「そ、それよりも結婚しておめでたなのかい?」
「はい!雑貨屋のトーマスと結婚して赤ちゃんも授かりました!」
どうやら彼女とも知り合いらしい。しかし、彼女の方は満面の笑みを浮かべているが、勇吾様の顔は引き攣るばかりだ。何かあったのだろうか?
「そ、それはよかった。今度何かお祝いを送らせてもらうよ」
「え?いいんですか!?ありがとうございます!」
「あんたの所と言い、いい事が続くねえ」
「は、はははは」
そうだ、子供が大きくなったら父母のお墓参りに行こう。今はまだ一族が煩くするだろうからだめだ。うふふ。私と勇吾様の子供か。
◆
sideユーゴ
なんてことだ…あの若夫婦、実は俺の事殺しに来てるんじゃなかろうか…。俺の失われた若い頃を見せつけられている。
酒場の店主と一緒に墓場に入りそうだ。いや、霊体の店主は孫の顔を見たら、墓石を押し退けて飛び起きるだろう。リュドヴィックと骸骨もびっくりなフレッシュゾンビの出来上がりだ。
お祝いは何にしようか。マクシム像のついでに安産祈願の神の像でも作って送ろうかな?白石製は恐縮されそうだから木製か。
「ただいまー」
「ただいまです!」
「只今帰りました」
「皆様お帰りなさいませ」
カタカタカタ
玄関の扉を開けるとアリーが出迎えてくれたが、足元には例の箒が震えている。サボりを黙っていたのに見つかってしまったのか…。スペシャルブートキャンプ行きだな。哀れな。
「私、少々このブラウニーとお話がありますので」
「お構いなくー」
一応、魔力という形で給金を払っているから、大人しく連行されてくれ。この箒も他のブラウニーと同様、以前よりも道具の体は色艶がいいくらいだ。
「だんな様、お帰りなさいなのじゃ」
「ただいまセラ」
台所にセラがいたが…。
んん?そのコップの中にあるのはまさか!?
「それトマトジュース?」
「うむ!アレクシアが作ってくれての!これなら大丈夫じゃ」
そう言ってチビチビとトマトジュースを飲むセラ。ちょっと違うような気がするが可愛いからよし!
「凜。ちょっと卵焼きに挑戦してみようか?」
「は、はい!喜んで!」
凜が来てから故郷の味が懐かしくなってしまった。いつの間にか米の味も忘れてパン生活だしなあ。それで凜と一緒に卵焼きを作ることにした。卵焼きくらい多分大丈夫だよな?
「それではやりましょう。味付けは…適量で」
「はい!」
◆
side凜
「あれ?砂糖と塩ってどれくらい?」
勇吾様と一緒に卵焼きを作っているが、家族と一緒に料理をするのがこんなに幸せだなんて思いもしなかった。
母上、父上。凜はこの方と一緒に生きていきます。どうか見守っていてください。
「醤油は港の国から入って来るから持ってるけど、一体分量は…」
母上、母上の言った通りでした。幸せはどこに転がっているか分からないものです。
きっと顔を見せに行きます。
◆
sideユーゴ
うーん。味はぎりぎり及第点!
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水草凜改め、新島凜
東の国の名門、水草家に生を受けた少女で、名前の通り凛とした美少女。しかし、父方の鬼の血のせいか、時折、傾国と表現できるような妖しい色気を出すことがある。
母は水草家の宗家の生まれであったが、人間種ではない人種の鬼の男性と結婚。凜を授かる。
しかし、父を業魔に殺害されてしまい、母は女で一つで凜を育てるも生来体が丈夫ではなく、体調の悪い時は1人寂しく暮らしていた。その上、実家の水草の一族は鬼との間に生まれた凜の事を忌避しており、肩身の狭い思いをしていた。
母が亡くなったことが切っ掛けとなり、凜を忌々しく思っていた叔父の命により、業魔討伐のために大陸に来訪。これは実際には追放と同じであった。
その際にユーゴと出会い、敵討ちの手助けをしてもらっているうちに、恩から次第に恋心へと変わっていく。
業魔討伐後はユーゴと結婚。姓も彼のものに改める。父母の墓参りをしたいと思っているが、東の国を発ってすぐに戻ると一族が煩いと判断。自分に子供が生まれ、大きくなったら顔見せも兼ねて訪れようと考えている。
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