87 / 172
触れてはいけない男
情勢2
しおりを挟む
魔の国 王都 王宮
「軍の準備は?」
「はい陛下。全体に目立った遅れはありません。あと一月あれば完了します」
魔の国の会議室にて、国王アレルと軍の将軍が会話していた。
国王アレルは40を超えた鳥人族の逞しい男性で、顔は人間種と変わらなかったが、翼は高貴さ、または力強さの象徴でもある鷹の特徴を持っていた。
魔の国の王家は、鳥人族の王族の世襲制であったが、その中でもアレルは鳥人族の中で最も尊いとされる鷹として生まれ、幼少時から期待を込められていた。
「長かった…」
「はい」
思わず呟いた国王の言葉に同意する将軍。
彼ら魔の国の者達からすれば、ここ数十年は忍耐の時であった。
人種的に相容れるとは思えないにも拘らず、日々強大化していく騎士の国。それに比べて北方山脈と接している魔の国は、土地が限られ人口も少ない。
勿論魔の国にも勝っている点はあった。人種全体で比べると、人間種の能力はほぼ最下位と言ってよく、個々の力では明確に勝っていた。しかし、それを考えても騎士の国の国力は圧倒的であった。
「魔法の国との外交はどうだ?」
「はっ…。申し訳ありません陛下。同盟には応じられないと」
「ふ。お前のせいではない。虫が良すぎたかな?」
「ははは」
外交を担当する大臣に国王が問うが、返って来た答えは魔法の国との同盟は結ばれなかったというものであった。しかし、国王はそれを不快に思わず茶化し、周りの者も思わず笑ってしまった。
「通行だけでもいいと一応聞いてみただけだが、私だって向こうの立場なら断る」
まず受けられることは無いと思っていたが、それでも一応同盟、それがダメなら軍の通行だけでも許可して欲しいと魔法の国に打診したが、提案した国王からしてもかなり無理筋だったのだ。叱責などとんでもなく、むしろいらない仕事を増やしたと、外務の者達に申し訳なく思っていたほどだ。
魔の国にとって最大の敵は騎士の国であったが、国境を接する人間種の多い魔法の国もまた敵性国家であった。
「それならば仕方ない。当初の予定通り魔法の国を攻めて、それから騎士の国へ雪崩れ込む」
「はっ」
魔の国にとって、明らかに弱体化した騎士の国を放置するという選択肢は無かった。
だが、剣の国を通る北からのルートは長い上に最悪の場合、未開領域から迫りくる魔物の防衛線に穴が開き、剣の国どころか、大陸の人種の存亡に関わる事態を招きかねないため却下。
また、南のルートは砂の国の大砂漠を通ることになり、とても軍が行軍できるものでは無かった。
そのため、魔法の国に攻めかかり、一直線に騎士の国を目指すことが決定した。
この場合の懸念は、様々な遺物を所持している魔法の国も強国であるという点であったが、騎士の国ほどでは無いが、魔法の国もまたバジリスクによる被害が大きかったため、まだ立て直しの最中であり勝算はあると判断されていた。
それに、これほどの好機はもう無いと思っている魔の国の首脳部は、例え魔法の国が万全であっても攻めかかるしかないと決心していた。
「それでは他に報告することは?…よし解散だ。各部署の連絡は密にするように」
「はっ」
魔の国は長い忍耐の時を終えようと動き始める。
◆
「近くに寄れ。万が一にも聞かれたくない」
「はっ」
国王は、皆が会議室を出たにも関わらず、1人残っていた情報の男に声を掛ける。
「あのジネットが身重と言うのは本当か?」
「いえ、ダークエルフの長老たちはそう言っていますが、確認が取れていません」
お互いに顔がくっ付くのではないかとういう程の至近距離にも関わらず、さらに小声で話し始める2人。
会話の内容を、闇に生きるダークエルフに聞かれるわけにはいかなかった。
「リガの街に入って消息を絶った部隊…。やったのがジネットだとすると、腹が膨らんだ今しかない」
「はっ」
凄腕の暗殺者であったダークエルフのクラウツが率いる部隊が、リガの街へ行き消息を絶った原因はジネットにあると考えていた2人にとって、やはり侮れる存在ではないと再確認すると同時に、もし妊娠が確かなら、仕留める絶好の機会であるとも考えていた。
「最早我々は動き出したのだ。不確定要素は排除したい」
「はっ」
元来プライドの高いダークエルフは、鳥人族が自分達の住む国の王であることに不満を持っていたし、国王は国王で、自分達に非協力的なダークエルフを不快に思っていた。
そのため、若いダークエルフの中には、神の御子ともいえるジネットに王冠を戴いて貰い、自分達が頂点に位置したいと考えいる者が少なからずいる事を知った国王は、何とか彼等の根幹とも言えるジネットを排除したいと常々考えていた。
「戦争となれば混乱するし、ジネットの子供が増えるのは避けたい」
「はっ」
魔法の国と騎士の国を相手取るのだ。行軍距離も長く、軍がいない間にもし足元でダークエルフが反乱を起こすと、戦争に負けるだけでなく、自分達もその地位を追われ命を落とすだろう。それは避けたかった。
それに、ジネットの子が増えると、それだけダークエルフが担ぐ神輿が増える事も危惧していた。
「ジネットを腹の子共々消せ」
「はっ」
露見すると、怒り狂ったダークエルフの暗殺者達に命を狙われることは間違いなかったが、まさしく国家の存亡を賭けた勝負に乗り出すのだ。国王は、それすらも必要な事と割り切り覚悟を決めていた。
「では一番の者を送り込みます。大勢はダークエルフに感づかれる恐れがあるので」
「分かった。頼むぞ」
しかし…
ダークエルフの怒りよりももっと恐ろしい…
ナニカの逆鱗を触れる覚悟は持っていたなかった…
◆
「儂、知-らね」
ー最高魔導士エベレッドー
「軍の準備は?」
「はい陛下。全体に目立った遅れはありません。あと一月あれば完了します」
魔の国の会議室にて、国王アレルと軍の将軍が会話していた。
国王アレルは40を超えた鳥人族の逞しい男性で、顔は人間種と変わらなかったが、翼は高貴さ、または力強さの象徴でもある鷹の特徴を持っていた。
魔の国の王家は、鳥人族の王族の世襲制であったが、その中でもアレルは鳥人族の中で最も尊いとされる鷹として生まれ、幼少時から期待を込められていた。
「長かった…」
「はい」
思わず呟いた国王の言葉に同意する将軍。
彼ら魔の国の者達からすれば、ここ数十年は忍耐の時であった。
人種的に相容れるとは思えないにも拘らず、日々強大化していく騎士の国。それに比べて北方山脈と接している魔の国は、土地が限られ人口も少ない。
勿論魔の国にも勝っている点はあった。人種全体で比べると、人間種の能力はほぼ最下位と言ってよく、個々の力では明確に勝っていた。しかし、それを考えても騎士の国の国力は圧倒的であった。
「魔法の国との外交はどうだ?」
「はっ…。申し訳ありません陛下。同盟には応じられないと」
「ふ。お前のせいではない。虫が良すぎたかな?」
「ははは」
外交を担当する大臣に国王が問うが、返って来た答えは魔法の国との同盟は結ばれなかったというものであった。しかし、国王はそれを不快に思わず茶化し、周りの者も思わず笑ってしまった。
「通行だけでもいいと一応聞いてみただけだが、私だって向こうの立場なら断る」
まず受けられることは無いと思っていたが、それでも一応同盟、それがダメなら軍の通行だけでも許可して欲しいと魔法の国に打診したが、提案した国王からしてもかなり無理筋だったのだ。叱責などとんでもなく、むしろいらない仕事を増やしたと、外務の者達に申し訳なく思っていたほどだ。
魔の国にとって最大の敵は騎士の国であったが、国境を接する人間種の多い魔法の国もまた敵性国家であった。
「それならば仕方ない。当初の予定通り魔法の国を攻めて、それから騎士の国へ雪崩れ込む」
「はっ」
魔の国にとって、明らかに弱体化した騎士の国を放置するという選択肢は無かった。
だが、剣の国を通る北からのルートは長い上に最悪の場合、未開領域から迫りくる魔物の防衛線に穴が開き、剣の国どころか、大陸の人種の存亡に関わる事態を招きかねないため却下。
また、南のルートは砂の国の大砂漠を通ることになり、とても軍が行軍できるものでは無かった。
そのため、魔法の国に攻めかかり、一直線に騎士の国を目指すことが決定した。
この場合の懸念は、様々な遺物を所持している魔法の国も強国であるという点であったが、騎士の国ほどでは無いが、魔法の国もまたバジリスクによる被害が大きかったため、まだ立て直しの最中であり勝算はあると判断されていた。
それに、これほどの好機はもう無いと思っている魔の国の首脳部は、例え魔法の国が万全であっても攻めかかるしかないと決心していた。
「それでは他に報告することは?…よし解散だ。各部署の連絡は密にするように」
「はっ」
魔の国は長い忍耐の時を終えようと動き始める。
◆
「近くに寄れ。万が一にも聞かれたくない」
「はっ」
国王は、皆が会議室を出たにも関わらず、1人残っていた情報の男に声を掛ける。
「あのジネットが身重と言うのは本当か?」
「いえ、ダークエルフの長老たちはそう言っていますが、確認が取れていません」
お互いに顔がくっ付くのではないかとういう程の至近距離にも関わらず、さらに小声で話し始める2人。
会話の内容を、闇に生きるダークエルフに聞かれるわけにはいかなかった。
「リガの街に入って消息を絶った部隊…。やったのがジネットだとすると、腹が膨らんだ今しかない」
「はっ」
凄腕の暗殺者であったダークエルフのクラウツが率いる部隊が、リガの街へ行き消息を絶った原因はジネットにあると考えていた2人にとって、やはり侮れる存在ではないと再確認すると同時に、もし妊娠が確かなら、仕留める絶好の機会であるとも考えていた。
「最早我々は動き出したのだ。不確定要素は排除したい」
「はっ」
元来プライドの高いダークエルフは、鳥人族が自分達の住む国の王であることに不満を持っていたし、国王は国王で、自分達に非協力的なダークエルフを不快に思っていた。
そのため、若いダークエルフの中には、神の御子ともいえるジネットに王冠を戴いて貰い、自分達が頂点に位置したいと考えいる者が少なからずいる事を知った国王は、何とか彼等の根幹とも言えるジネットを排除したいと常々考えていた。
「戦争となれば混乱するし、ジネットの子供が増えるのは避けたい」
「はっ」
魔法の国と騎士の国を相手取るのだ。行軍距離も長く、軍がいない間にもし足元でダークエルフが反乱を起こすと、戦争に負けるだけでなく、自分達もその地位を追われ命を落とすだろう。それは避けたかった。
それに、ジネットの子が増えると、それだけダークエルフが担ぐ神輿が増える事も危惧していた。
「ジネットを腹の子共々消せ」
「はっ」
露見すると、怒り狂ったダークエルフの暗殺者達に命を狙われることは間違いなかったが、まさしく国家の存亡を賭けた勝負に乗り出すのだ。国王は、それすらも必要な事と割り切り覚悟を決めていた。
「では一番の者を送り込みます。大勢はダークエルフに感づかれる恐れがあるので」
「分かった。頼むぞ」
しかし…
ダークエルフの怒りよりももっと恐ろしい…
ナニカの逆鱗を触れる覚悟は持っていたなかった…
◆
「儂、知-らね」
ー最高魔導士エベレッドー
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
Sランクパーティを引退したおっさんは故郷でスローライフがしたい。~王都に残した仲間が事あるごとに呼び出してくる~
味のないお茶
ファンタジー
Sランクパーティのリーダーだったベルフォードは、冒険者歴二十年のベテランだった。
しかし、加齢による衰えを感じていた彼は後人に愛弟子のエリックを指名し一年間見守っていた。
彼のリーダー能力に安心したベルフォードは、冒険者家業の引退を決意する。
故郷に帰ってゆっくりと日々を過しながら、剣術道場を開いて結婚相手を探そう。
そう考えていたベルフォードだったが、周りは彼をほっておいてはくれなかった。
これはスローライフがしたい凄腕のおっさんと、彼を慕う人達が織り成す物語。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
ファミ通文庫大賞 一次選考通過
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる