135 / 172
お家騒動編
お家騒動
しおりを挟む
湖の国
「ごほっ…。まだ忌み子共は見つからんのか?」
「いえ、どうやらあるサーカス団に溶け込んでいることまで分かりました。もう少しでお望みの物をお見せできるでしょう」
「ごほっごほ。そうか余の命もそう長くあるまい。もし万が一の事があっても、前金を払っているのだ。必ず成し遂げよ。いいな"満月"?」
「はっ」
(あんたのためじゃねえがな)
湖の国の国王と、暗殺専門の闇組織"満月"の次期党首の1人、ルーカスは、国王の前で跪きながら、胸の中でそっと呟く。
「それでは私はこれで」
「ごほ。急げよ」
「はっ」
(分かってるっつうの)
またしても内心目の前の国王を小馬鹿にしながら、ルーカスは部屋から出て行く。
「ルーカス様。ウィルソン派も獲物を嗅ぎつけた可能性が…」
「なに!?」
城の外に停めていた馬車で待機していた従者が、つい先ほど知らされた情報をルーカスに知らせる。
「こっちの準備は終わってるな!?」
「はっ」
「なら今すぐ行くぞ!」
「はっ」
ルーカスが慌てているのは理由があった。
現在闇組織"満月"はお家騒動の真っただ中にあったのだ。
これは前党首である彼の父親が、後継者を指名せぬまま死去し、次の党首を誰かにするかで揉めていたのだ。
そしてこの話をややこしくしていたのが、前党首の息子達が双子であったことである。
彼ルーカスと、もう一人の双子のウィルソンはいがみ合う事甚だしく、もう血を流す事でしか次期当主の解決はしないのではと思う所まで来ていたが、そんなところへ秘密裏に湖の国の国王が接触し、ある依頼で莫大な前金を支払ったことで話は急転。
組織内で血を流して弱体化する事を恐れた幹部達が彼らを説得し、この依頼を先に達成した方が、次期党首に相応しいと何とか納得させたのだ。
「次期党首は俺だ!」
ルーカスは準備を整えて出発するため、すぐさま馬車を出発させる。
向かうは剣の国、リガの街、ターゲットはサーカス団に雑用として働いている5歳の双子の子供達。
◆
「ウィルソン様。ルーカス派の動きが急に慌ただしくなりました」
「ちっ。感づかれましたか」
「はっ」
一方、もう一人の次期党首候補、ウィルソンもルーカス派の動きがあったことを苦々しく思っていた。
「こうなれば時間はありません。こちらもすぐに」
「はっ」
このお家騒動。双子が絡んでいるだけでややこしいのに、更に問題を大きくしていたのが、ウィルソンもルーカスも、暗殺者としての力量が共に一流であり、能力にほとんど差が無かったことがある。
そのため、彼等に取り入って上に上り詰めようとしている、今まで中堅で燻ぶっていた者がほぼ均等に両者に集まってしまい、勢力を完全に二分化してしまったのだ。
「こちらも急ぎましょう」
「はっ」
「次期党首は私にこそ相応しい」
彼等の目指す場所も、当然リガの街であった。
………
……
…
彼等には2つの幸運があった。
1つは現在リガの街には、大勢の人種が急に集まっていた事。
もう1つは、彼等が一流と自負している暗殺者としての力量が…、いや、大陸での尺度でも確かにぎりぎり一流であったのだが、魔の国の情報部やダークエルフの達人と比べたら、二流半もいい所であったこと。
この2つの幸運のお陰で街へとたどり着き、ターゲット暗殺のための準備と、情報の収集を行う事が出来た。
ただし、その幸運と引き換えに、獲物の匂いを嗅ぎつける事が出来ず、苛立っている化け物の巣に、土足で入り込んでしまったのだ。
苛立ちのため、普段よりも刺激に対して、過敏になっている怪物の…。
◆
(全く…まさかまたマダムに会うとは…)
ユーゴは先程会った人物である、踊り子達の元締め、マダムの事を鳥肌を立てながら思い出す。
(初めて会ったのはいつだったか…。確かその時も闇組織との抗争に巻き込まれた時だったか…)
マダムが娼館を畳んだ理由と同じように、かつてユーゴも砂の国で闇組織間の抗争に巻き込まれた事があった。
大歓楽街があることでも有名な砂の国は、その利権を争って日夜裏の世界で暗闘が起こっており、表と裏の顔が激しい場所でもあるのだ。
(悪い人ではないんだが、俺の体を触りながらくねくねされても困る…)
そんな場所で長らく、大きな娼館を経営して来たマダムだ。
表にも裏にも伝手があり、娼館で気の緩んだ男が漏らした情報も持っている、油断のならない人物であるのだが、根が善性の人なのだろう。特に嫌な気配を感じる事も無かった。
「グレン、これ重いんだけど」
「文句言うなよジェナ」
(はん?えらく変装している子供達だな)
小さな5歳ほどの男の子と女の子が、大道芸に使うであろう小道具を腕一杯にして歩いて来るのを、ユーゴは妙な子供達がいるなと思っていた。
「おじいちゃんも手伝ってくれるはずだったのに」
「マダムに呼ばれてたよ」
「手伝ってあげようか」
(妖精族か。どおりで外見の割にしっかり喋っている)
ユーゴはその子供達に手伝いを申し出ながら、観察していた。
じっと観察すると、髪と目が魔法で染色されており、骨格も少し違うように見える。
「いやいいよ」
「うん。っあ」
「ほら、落としちゃったじゃないか」
急な申し出に不審を抱いたのか、断った子供達だが、女の子の方が持っていた幾つかのボールが地面に落ちてしまい、ユーゴはそれを拾って持っていくとジェスチャーする。
「うーん。じゃあお願い」
「正直無理があったの」
「お任せあれ」
(えらく変装させてるが、どっかの偉い手の子がお忍びか?それにしちゃあ慣れてる様子だな)
もうこれは仕方ないと子供達も納得して歩き出す。
一方ユーゴは、子供達がどこかの貴種ではないかと思ったが、慣れた様子で小道具を持ち運び、指の爪も特に手入れをされていないのを見て、素性がよく分からないと悩んでいた。
「そういえば、今日の晩御飯何か知ってる?」
「シチューって言ってたぜ」
「やった」
(多分双子だな。ふふ、コレットとクリスも、成長したらこんなふうに仲良くお話しするだろうな)
よく似ている2人を見て、ユーゴは自分達の子共達を重ねながら、彼等の後を追うのであった。
◆
「マダム。お話とは?」
「ああ、ダンさん。ちょっとこっちへ」
一方、ユーゴと別れたマダムは、自分が呼んだ年老いた老人、ダンを小道具が積まれている、隅の目立たない場所に引き連れる。
「さっき連絡があったのだけど、どうやらあの子達がここに居る事がバレたらしいの」
「なっ!?」
年老いた、かつての名を捨てた老人は、マダムから聞かされた内容に絶句する。
こうならない様に、各地を転々とする大道芸の一団に身を潜めていたのに、自分達の存在が露見したのだ。
「今すぐ支度をした方がいいわ。今から昔の伝手を使って、かなり遠回りになるけど、港の国から船で北の国に行けるよう手配するから」
「何から何まで…。本当に感謝します」
「いいのよん。あんな幼い子達を死なせるわけにはいかないわ」
そう言って、マダムの手を取って深く頭を下げるダン老人。
ある理由で身を潜めている彼等を、マダムは今まで手厚く支援してくれていたのだ。
「今すぐあの方たちを」
「ええ。私も急いで…」
「あ!お爺ちゃんこんなとこにいた!」
「爺ちゃん、これ重いんだけど」
「ぬお!?マ、マダム!?」
そんな彼等の下へ、小道具を運んで来た子供達と、さっそくマダムの記憶を封印して、気配を忘れていたユーゴがやって来る。
「…グレン、ジェナ。この人は?」
「さっき会った人。道具を持ってくれたんだ」
「そうそう。腕から溢れちゃったの」
(ありゃ。やっぱりどこかの貴種かね?というかマダムの視線が痛い)
「…」
酷く警戒した老人を見て、子供達の生まれがやはり貴いのではないかと考えているユーゴを、マダムがじっと見ていた。
「…ねえユーゴちゃん。実は折り入ってお願いがあるのだけど」
「マダム?」
「はあ、なんでしょうか」
不審げなダン老人をあえて無視して、マダムはある意味一世一代の賭けに出ていた。
「この子供達なんだけど、命を狙われていてね」
ピクリ
(勝った)
マダムは賭けの勝利を確信した。
この場の老人と子供達は気づいていなかったが、ユーゴの気配がピり付いたのを感じ取ったのだ。
恐らく今のユーゴの気配を察せられるのは、彼の妻達とドロテアだけなことを考えると、はっきりと偉業といってよかった。
「マダム!?」
「え?どういうこと?」
「お爺ちゃん?」
血相を変えているダン老人と、困惑気な子供達を無視し続け、マダムは話を続ける。
ユーゴの強さを直接見ているマダムではなかったが、今まで数々の修羅場を潜り抜けた彼の女の勘?が、ユーゴに子供達の事を託すべきだとささやいていた。
「お話を聞かせて貰ってよろしいですか?」
「ええ。ごめんなさいダンさん。この人ならきっと大丈夫」
「いやしかし!?」
勝手に話を付け、ユーゴにも厄介ごとを押し付ける事になるのは、マダムとしても非常に心苦しかった。
しかし、何の咎無き子供達が死の危機に瀕しているのを、マダムは黙って受け入れる訳にはいかなかったのだ。
「少し奥でお話しするわね。さあ、2人もいらっしゃい」
「ええ」
ユーゴだけでなく、当事者である子供達のも話す時が来たと、マダムはそう思った。出来れば来て欲しくなかったとも思いながら…。
◆
もう一つだけ運が悪い事があった。
怪物がターゲットである子供達に、同じ男女の、ある意味双子といっていい自分の子らを重ね合わせていたのだ…。
「ごほっ…。まだ忌み子共は見つからんのか?」
「いえ、どうやらあるサーカス団に溶け込んでいることまで分かりました。もう少しでお望みの物をお見せできるでしょう」
「ごほっごほ。そうか余の命もそう長くあるまい。もし万が一の事があっても、前金を払っているのだ。必ず成し遂げよ。いいな"満月"?」
「はっ」
(あんたのためじゃねえがな)
湖の国の国王と、暗殺専門の闇組織"満月"の次期党首の1人、ルーカスは、国王の前で跪きながら、胸の中でそっと呟く。
「それでは私はこれで」
「ごほ。急げよ」
「はっ」
(分かってるっつうの)
またしても内心目の前の国王を小馬鹿にしながら、ルーカスは部屋から出て行く。
「ルーカス様。ウィルソン派も獲物を嗅ぎつけた可能性が…」
「なに!?」
城の外に停めていた馬車で待機していた従者が、つい先ほど知らされた情報をルーカスに知らせる。
「こっちの準備は終わってるな!?」
「はっ」
「なら今すぐ行くぞ!」
「はっ」
ルーカスが慌てているのは理由があった。
現在闇組織"満月"はお家騒動の真っただ中にあったのだ。
これは前党首である彼の父親が、後継者を指名せぬまま死去し、次の党首を誰かにするかで揉めていたのだ。
そしてこの話をややこしくしていたのが、前党首の息子達が双子であったことである。
彼ルーカスと、もう一人の双子のウィルソンはいがみ合う事甚だしく、もう血を流す事でしか次期当主の解決はしないのではと思う所まで来ていたが、そんなところへ秘密裏に湖の国の国王が接触し、ある依頼で莫大な前金を支払ったことで話は急転。
組織内で血を流して弱体化する事を恐れた幹部達が彼らを説得し、この依頼を先に達成した方が、次期党首に相応しいと何とか納得させたのだ。
「次期党首は俺だ!」
ルーカスは準備を整えて出発するため、すぐさま馬車を出発させる。
向かうは剣の国、リガの街、ターゲットはサーカス団に雑用として働いている5歳の双子の子供達。
◆
「ウィルソン様。ルーカス派の動きが急に慌ただしくなりました」
「ちっ。感づかれましたか」
「はっ」
一方、もう一人の次期党首候補、ウィルソンもルーカス派の動きがあったことを苦々しく思っていた。
「こうなれば時間はありません。こちらもすぐに」
「はっ」
このお家騒動。双子が絡んでいるだけでややこしいのに、更に問題を大きくしていたのが、ウィルソンもルーカスも、暗殺者としての力量が共に一流であり、能力にほとんど差が無かったことがある。
そのため、彼等に取り入って上に上り詰めようとしている、今まで中堅で燻ぶっていた者がほぼ均等に両者に集まってしまい、勢力を完全に二分化してしまったのだ。
「こちらも急ぎましょう」
「はっ」
「次期党首は私にこそ相応しい」
彼等の目指す場所も、当然リガの街であった。
………
……
…
彼等には2つの幸運があった。
1つは現在リガの街には、大勢の人種が急に集まっていた事。
もう1つは、彼等が一流と自負している暗殺者としての力量が…、いや、大陸での尺度でも確かにぎりぎり一流であったのだが、魔の国の情報部やダークエルフの達人と比べたら、二流半もいい所であったこと。
この2つの幸運のお陰で街へとたどり着き、ターゲット暗殺のための準備と、情報の収集を行う事が出来た。
ただし、その幸運と引き換えに、獲物の匂いを嗅ぎつける事が出来ず、苛立っている化け物の巣に、土足で入り込んでしまったのだ。
苛立ちのため、普段よりも刺激に対して、過敏になっている怪物の…。
◆
(全く…まさかまたマダムに会うとは…)
ユーゴは先程会った人物である、踊り子達の元締め、マダムの事を鳥肌を立てながら思い出す。
(初めて会ったのはいつだったか…。確かその時も闇組織との抗争に巻き込まれた時だったか…)
マダムが娼館を畳んだ理由と同じように、かつてユーゴも砂の国で闇組織間の抗争に巻き込まれた事があった。
大歓楽街があることでも有名な砂の国は、その利権を争って日夜裏の世界で暗闘が起こっており、表と裏の顔が激しい場所でもあるのだ。
(悪い人ではないんだが、俺の体を触りながらくねくねされても困る…)
そんな場所で長らく、大きな娼館を経営して来たマダムだ。
表にも裏にも伝手があり、娼館で気の緩んだ男が漏らした情報も持っている、油断のならない人物であるのだが、根が善性の人なのだろう。特に嫌な気配を感じる事も無かった。
「グレン、これ重いんだけど」
「文句言うなよジェナ」
(はん?えらく変装している子供達だな)
小さな5歳ほどの男の子と女の子が、大道芸に使うであろう小道具を腕一杯にして歩いて来るのを、ユーゴは妙な子供達がいるなと思っていた。
「おじいちゃんも手伝ってくれるはずだったのに」
「マダムに呼ばれてたよ」
「手伝ってあげようか」
(妖精族か。どおりで外見の割にしっかり喋っている)
ユーゴはその子供達に手伝いを申し出ながら、観察していた。
じっと観察すると、髪と目が魔法で染色されており、骨格も少し違うように見える。
「いやいいよ」
「うん。っあ」
「ほら、落としちゃったじゃないか」
急な申し出に不審を抱いたのか、断った子供達だが、女の子の方が持っていた幾つかのボールが地面に落ちてしまい、ユーゴはそれを拾って持っていくとジェスチャーする。
「うーん。じゃあお願い」
「正直無理があったの」
「お任せあれ」
(えらく変装させてるが、どっかの偉い手の子がお忍びか?それにしちゃあ慣れてる様子だな)
もうこれは仕方ないと子供達も納得して歩き出す。
一方ユーゴは、子供達がどこかの貴種ではないかと思ったが、慣れた様子で小道具を持ち運び、指の爪も特に手入れをされていないのを見て、素性がよく分からないと悩んでいた。
「そういえば、今日の晩御飯何か知ってる?」
「シチューって言ってたぜ」
「やった」
(多分双子だな。ふふ、コレットとクリスも、成長したらこんなふうに仲良くお話しするだろうな)
よく似ている2人を見て、ユーゴは自分達の子共達を重ねながら、彼等の後を追うのであった。
◆
「マダム。お話とは?」
「ああ、ダンさん。ちょっとこっちへ」
一方、ユーゴと別れたマダムは、自分が呼んだ年老いた老人、ダンを小道具が積まれている、隅の目立たない場所に引き連れる。
「さっき連絡があったのだけど、どうやらあの子達がここに居る事がバレたらしいの」
「なっ!?」
年老いた、かつての名を捨てた老人は、マダムから聞かされた内容に絶句する。
こうならない様に、各地を転々とする大道芸の一団に身を潜めていたのに、自分達の存在が露見したのだ。
「今すぐ支度をした方がいいわ。今から昔の伝手を使って、かなり遠回りになるけど、港の国から船で北の国に行けるよう手配するから」
「何から何まで…。本当に感謝します」
「いいのよん。あんな幼い子達を死なせるわけにはいかないわ」
そう言って、マダムの手を取って深く頭を下げるダン老人。
ある理由で身を潜めている彼等を、マダムは今まで手厚く支援してくれていたのだ。
「今すぐあの方たちを」
「ええ。私も急いで…」
「あ!お爺ちゃんこんなとこにいた!」
「爺ちゃん、これ重いんだけど」
「ぬお!?マ、マダム!?」
そんな彼等の下へ、小道具を運んで来た子供達と、さっそくマダムの記憶を封印して、気配を忘れていたユーゴがやって来る。
「…グレン、ジェナ。この人は?」
「さっき会った人。道具を持ってくれたんだ」
「そうそう。腕から溢れちゃったの」
(ありゃ。やっぱりどこかの貴種かね?というかマダムの視線が痛い)
「…」
酷く警戒した老人を見て、子供達の生まれがやはり貴いのではないかと考えているユーゴを、マダムがじっと見ていた。
「…ねえユーゴちゃん。実は折り入ってお願いがあるのだけど」
「マダム?」
「はあ、なんでしょうか」
不審げなダン老人をあえて無視して、マダムはある意味一世一代の賭けに出ていた。
「この子供達なんだけど、命を狙われていてね」
ピクリ
(勝った)
マダムは賭けの勝利を確信した。
この場の老人と子供達は気づいていなかったが、ユーゴの気配がピり付いたのを感じ取ったのだ。
恐らく今のユーゴの気配を察せられるのは、彼の妻達とドロテアだけなことを考えると、はっきりと偉業といってよかった。
「マダム!?」
「え?どういうこと?」
「お爺ちゃん?」
血相を変えているダン老人と、困惑気な子供達を無視し続け、マダムは話を続ける。
ユーゴの強さを直接見ているマダムではなかったが、今まで数々の修羅場を潜り抜けた彼の女の勘?が、ユーゴに子供達の事を託すべきだとささやいていた。
「お話を聞かせて貰ってよろしいですか?」
「ええ。ごめんなさいダンさん。この人ならきっと大丈夫」
「いやしかし!?」
勝手に話を付け、ユーゴにも厄介ごとを押し付ける事になるのは、マダムとしても非常に心苦しかった。
しかし、何の咎無き子供達が死の危機に瀕しているのを、マダムは黙って受け入れる訳にはいかなかったのだ。
「少し奥でお話しするわね。さあ、2人もいらっしゃい」
「ええ」
ユーゴだけでなく、当事者である子供達のも話す時が来たと、マダムはそう思った。出来れば来て欲しくなかったとも思いながら…。
◆
もう一つだけ運が悪い事があった。
怪物がターゲットである子供達に、同じ男女の、ある意味双子といっていい自分の子らを重ね合わせていたのだ…。
0
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
ファミ通文庫大賞 一次選考通過
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
辺境の最強魔導師 ~魔術大学を13歳で首席卒業した私が辺境に6年引きこもっていたら最強になってた~
日の丸
ファンタジー
ウィーラ大陸にある大国アクセリア帝国は大陸の約4割の国土を持つ大国である。
アクセリア帝国の帝都アクセリアにある魔術大学セルストーレ・・・・そこは魔術師を目指す誰もが憧れそして目指す大学・・・・その大学に13歳で首席をとるほどの天才がいた。
その天才がセレストーレを卒業する時から物語が始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる