その男に触れるべからず ~過去にやらかし過ぎた最強男の結婚生活 反省しているので化け物呼ばわりは勘弁してください~

福郎

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ちょっとしたサプライズ

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sideユーゴ

「いや、それにしても大きくなったな!へっへっへっへ」

「パパ!?ちょっとやめてよ!」

「次はコレットだ!」

「絶景かな」

屋敷に入る前に庭で、恥ずかしがって嫌がっているクリスと、特に拒否しないコレットを交互に持ち上げると、手に確かな成長の重みを感じた。
大体12,3歳くらいか?一足先に子供の成長を実感するとは思わなかったが、2人とも元気なようで何よりだ。

「パパ!クーも!」

「コーも!たかいたかい!」

未来の自分を羨ましがって、俺の足元で飛び跳ねている、この小さな子供達がなあ…。ちょっと涙出そう。
だが嬉しさも倍!そおれ高い高い。

「えへへ!」

「えっへ!」

パパ幸せ!

「あ、箒再訓練兵だ」

「…コレットお嬢様。今何と?」

「え? あそこの木の下に、箒再訓練兵がいるなーって」

「…左様でございますか」

俺が幸せを感じていると、コレットから爆弾発言が飛び出し、アリーの目がギラリと光ったのを俺は見逃さなかった。

カタカタ

再訓練兵も感じ取ったのだろう。日向ぼっこしていた再訓練兵は、突如として震えだして真面目に掃除し始めたが、お前さん10年後も再訓練兵のままなのか…。
ブラシ中尉は着々とキャリアを重ねているというのに…。

「…まあ未来の話です。今は見逃しましょう。私、お茶を入れてまいります」

「俺も手伝うよ」

「ありがとうございます」

お茶を入れるアリーを手伝うために席をちょっと外そう。
ジネットとリリアーナも、未来の我が子達を可愛がりたくてたまらないようだし。



「不思議な事もあるものですね」

「だねえ」

「コレットちゃん…私よりも背が高く…」

「ひょっとして未来じゃわしが一番小さい…? いや、他にも生まれた子がいるやもしれんし…」

俺とアリーがお茶を入れている傍ら、手伝いに来てくれたルーとセラが、ショックを受けた様に呟きながら、食器を準備してくれている。
どうやら、将来子供達に背を追い抜かれてしまう事がショックだったようで、リビングに向かう最中も虚ろな目をしていた。

「うふふ。クリスがこんなに大きくなるなんて」

⦅匂いが一緒!やっぱりクリスだ!⦆

「ママ止めてよ!恥ずかしいってば!ポチもくすぐったい!」

「ママ!クーも!」

「はいクリス。ぎゅー」

「えへへ!」

リビングに戻ると、ソファに座っていた未来のクリスが、リリアーナに抱きしめられて、ポチに臭いを嗅がれまくっていた。
だが恥ずかしくて堪らないのだろう、何とか引き離そうとしていたが、残念ながら位階や種族的にリリアーナの筋力に抗えず、そのまま母に埋もれていた。
どうやら未来のクリスは恥ずかしがり屋さんらしい。まあ、年頃の男の子なんだ。ああいうものだろう。

「ほらコレット、後ろを向きなさい。髪を梳くから。ちゃんと手入れしてるんでしょうね?」

「面倒だからしてない。それに私は元々サラサラヘアー」

「全く…。じっとしてなさい」

「えっへ」

「ママ!コーも!」

「いいわよコレット」

「えっへ!」

⦅右にコレット、左にコレット⦆

一方コレットの方は、ジネットに後ろを向かされて、櫛で髪を梳かされていた。
口ではめんどくさそうに言っていたが、いざ母に髪を梳かされると、嬉しそうに小さく笑っていたので、触れ合いが好きなのは、今のコレットと変わりないらしい。

「どう婆さん? 何か分かった?」

「ああそうだね。多分だが2,3日で勝手に戻ると思うよ」

「おや、そんなもんか」

そんな子供達と母親達を微笑ましそうに見ていた婆さんに、この不可思議な現象について聞くと、どうやら思ったよりも大事では無いらしい。

「本当お婆ちゃん!?」

「よかったよかった。流石お婆ちゃん」

「ああ」

未来の子供達もほっとしたようにしていたが、やっぱり未来で頼れるお婆ちゃんポジションに収まってやがるな!?
パパも頼りになりますからね!?

「ちょっと未来で起こった、何か大きな事件とか大事を言ってごらん」

「え?……言えない!?」

「……私も」

「やっぱりね」

何が起こっているか分からないが、未来の子供達が黙った後に驚愕していた。
何かの制限か?

「指でいいから書くことは?」

「動かないよお婆ちゃん!?」

「私も。何か制限とか条件がある遺物なの?」

「ああ、やっぱりね。どうやら私の知っている時神の遺物で間違いないらしい」

流石だ婆さん!やっぱり頼れる婆だ!
あっ。

「ドロテア様。その時神様というのは?」

「聖女のあんたでも知らないくらい無名の神さ。名前に時が付いている癖に、それはもう弱かった」

「でもこうして過去にこの子達が」

そうそう。ぼろくそに貶しているが能力は非常に強いんだが。

「時間逆行とは聞こえはいいけど、実質出来るのは時間旅行なのさ。大事に関われない、知らせれないときた。当時の神々は本当に色々試して、現在の危機を過去に知らせようとしたみたいだけど、そもそも行けなかったりして何もかも失敗した上、一番の大事、神々と竜の戦争では真っ先に戦死してね。まあ、誰も万が一の切り札として逃がさなかった辺り、当時の評価が知れるってもんだ」

「じゃあボク達は?」

「その神はどんなに頑張っても3日程度しか能力を使えなかったから、そのうち自然と帰れるさ」

「よかったー」

本当にぼろくその評価だ。時間なんてどう考えても凄い能力なのに…。

「フェッフェッ。神でも侵せない領分はあるのさ」

さよけ

「でもお婆ちゃん。私たちが帰ったら、その遺物は封印した方がいいのかな? 今の技術ならどうにか出来ちゃうかもだし」

「フェッフェッ、賭けてもいいがね、お前さん達が帰ったら目にするのは、壊れて砂にでもなった遺物さ」

いっそ清々しいまでのぼろくそぶりだ。今でも残っている神々は、非常に強力な存在ばかりだから、そんな神は非常に新鮮だ。

「じゃあそれまで僕たち…」

「お世話になります」

「クリスとコレットの家なんだから、いるのは当たり前だ!」

だからそんな伺う様な表情をするんじゃない!

「うん!」

「ありがとうパパ」

うむ。子供は笑顔じゃないとな!

さて…写真を早速…。
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