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プロローグ
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山本三郎が瞼を開けると、先程まで降っていた雨がやんでいた。
どうやら、古ぼけたお堂の軒先で雨宿りしていたら、知らない内にうたた寝してしまっていたようだ。
「くぁぁ……」
欠伸をひとつすると、腹が減っている事に気付く。
朝方に茶屋で買った団子を懐から取り出すと、包みを開けて一つつまんで口へ運ぶ。
もちもちとした食感と、甘辛いタレの味が口中に広がる。
「わんわん」
不意に聞こえてきた鳴き声に視線を落とすと、いつの間にか足元に一匹の犬がいた。真っ白い柔らかそうな毛をした小さな子犬だ。
「なんじゃ、おぬしも団子が欲しいのか?」
三郎が問いかけると、犬は頷いて一声ほえた。
「ほう、拙者の言葉がわかるのか」
賢いなと感心しながら、団子をつまみ上げると、犬の鼻先まで持っていく。
「では、これから鬼の征伐に付いてくるならこれをやろう」
子供の頃に読んだ絵草紙を思い出して、戯れに三郎がそう言うと、犬はまた頷いて一声ほえた。
三郎にはその鳴き声がまるで「鬼退治に付いて行きます」と言っているように聞こえた。
「そうか、付いてきてくれるか」
楽しそうに笑いながら、犬の口に団子をいれてやる。
団子を喜んで食べている犬の頭を撫でながら、自分の口にも団子を入れる。
「旨いか?それじゃあ、これからよろしく頼むぞ」
三郎の言葉に犬は「任せとけ」と言わんばかりに、力強く吠える。
犬の返事に満足そうに頷くと、しばらく団子を食べる犬の顔を見ていた。
ふと、三郎は空を見上げる。太陽は中天をかなり過ぎたところにあった。
「おっと、これはいかん。このままでは次の宿場に着くまでに夜になってしまうぞ」
急いで残りの団子を包み直すと、三郎は立ち上がって身支度を整える。太刀を腰に差し、合羽を羽織り、菅笠を被る。少しの荷物を肩に掛けると、急ぎ足で歩き出す。
日のある内に次の宿場町に着く為だ。
犬は置いて行かれたら堪らないと言わんばかりに、慌てたように付いてくる。短い足を一所懸命に動かす様に三郎は、思わず目を細める。
一人と一匹は足場の悪い坂道を下っていく。
この時、三郎がもう少し冷静であったら、雨宿りの場所を探してお堂に向かって走っていた時と今とでは、辺りの景色が違っている事に気付いたかもしれない。
しかし、思わぬ同行者を得た三郎は、木々で視界を覆われた景色の違いになど気付かないのであった。
どうやら、古ぼけたお堂の軒先で雨宿りしていたら、知らない内にうたた寝してしまっていたようだ。
「くぁぁ……」
欠伸をひとつすると、腹が減っている事に気付く。
朝方に茶屋で買った団子を懐から取り出すと、包みを開けて一つつまんで口へ運ぶ。
もちもちとした食感と、甘辛いタレの味が口中に広がる。
「わんわん」
不意に聞こえてきた鳴き声に視線を落とすと、いつの間にか足元に一匹の犬がいた。真っ白い柔らかそうな毛をした小さな子犬だ。
「なんじゃ、おぬしも団子が欲しいのか?」
三郎が問いかけると、犬は頷いて一声ほえた。
「ほう、拙者の言葉がわかるのか」
賢いなと感心しながら、団子をつまみ上げると、犬の鼻先まで持っていく。
「では、これから鬼の征伐に付いてくるならこれをやろう」
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三郎にはその鳴き声がまるで「鬼退治に付いて行きます」と言っているように聞こえた。
「そうか、付いてきてくれるか」
楽しそうに笑いながら、犬の口に団子をいれてやる。
団子を喜んで食べている犬の頭を撫でながら、自分の口にも団子を入れる。
「旨いか?それじゃあ、これからよろしく頼むぞ」
三郎の言葉に犬は「任せとけ」と言わんばかりに、力強く吠える。
犬の返事に満足そうに頷くと、しばらく団子を食べる犬の顔を見ていた。
ふと、三郎は空を見上げる。太陽は中天をかなり過ぎたところにあった。
「おっと、これはいかん。このままでは次の宿場に着くまでに夜になってしまうぞ」
急いで残りの団子を包み直すと、三郎は立ち上がって身支度を整える。太刀を腰に差し、合羽を羽織り、菅笠を被る。少しの荷物を肩に掛けると、急ぎ足で歩き出す。
日のある内に次の宿場町に着く為だ。
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