召喚勇者は怪人でした

丸八

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二章

33話

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 さて、自分で言うのもなんだけど、若い男女の二人旅。楽しげな会話は途切れる事もなく………なんて事は無かった。

 出発早々にあっさりと話題は尽きてしまった。

 そもそも、日本だとそんなに女性と接点が無かったから、何を話せば良いか分からない。

  手持ち無沙汰をローズを撫でる事で解消する。

  指で頭から背中を撫でるとうっとりした顔をするのが可愛い。

 手触りも良いし、魔力で出来てるのが信じられないくらいだ。

 戦闘能力はほぼ無いけど、スキルに《夜目》があるから、今回は夜営の時に警戒してもらおうと思ってる。

「良いですね、ローズちゃん可愛くて」

「え?そうですね。可愛いですよね」

 ローズはお腹を出してひっくり返っていたけど、呼ばれたと思ったのか頭を上げて小さく鳴き声をあげる。

「触ります?」

「良いんですか?」

「もちろん」

 俺は両手でローズを渡す。リコラは少しおっかなびっくりながらもローズの頭を撫でる。

 ローズもそれを嫌がらずに受け入れていた。

 街道は見晴らしの良い真っ直ぐな一本道で、通行量もさほど多くない。

  ウマコも優秀なので、少しくらい手綱から手を離しても大丈夫だろう。

 まぁ、一応辺りは警戒しているけどね。

「それにしても、魔物は全然出てこないんだなぁ」

「それはそうよ」

 俺がポツリと呟いた言葉に、リコラが返事をする。

「魔物は魔素が濃い場所に現れるらしいわ。だから、街道を通す時はなるべく魔素の少ないところから選定されるのよ」

「へぇ、そうなんだ」

「ただ、今回は途中で山越えの箇所があるから、そこはちょっと注意がいるわね」

 山越えか。日本ではトレッキングなんかはたまにしてたけど、魔物まで出るとなると注意が必要だよなぁ。

「あぁ、山越えって言ってもちゃんと道はあるのよ。高さも3合目くらいまでしか登らないし」

「ちゃんと整備されてるんだ?」

「街道だしね。ただ、魔物と山賊が現れる可能性は高いわね」

「ヤバッ!?」

「アハハ。他の道よりはってところよ。滅多に出るものじゃないわよ」

 軽く笑うリコラを見て、これがフラグにならないよう祈るのだった。
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