『私たち、JKプロレスラーズ3 ~マチルダ女王様覚醒!C-MARTを壊滅せよ編~』

あらお☆ひろ

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「取引場所」

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「取引場所」

 車は大通りを抜け、郊外の倉庫団地へ向かった。車が停まり、デビッドは袋を被ったまま降ろされた。
ガチャンっ!と重い扉が開く音がして、中へ通された。
「おい、照明をつけろ!」
と「D」が一人の男に指示を出した。デビッドは袋を外され、徐々に明るくなっていく水銀灯の明かりの中、周辺を見まわした。バスケットボールのコートが8面ほど取れそうな、空き倉庫だった。入口は入ってきたであろうドアと、大きなシャッターが2面、かなり離れたところにもう一枚のドアがあった。

 「D」が携帯で電話を入れると離れた方のドアが開き、2人の男に連れられて小さな女の子がでてきた。写真で見たナンシーに間違いはなかった。(ほっ、今のところ無事でよかった・・・。)
「D」は男から黒いファイルを受け取ると
「ナンシー・ルース、女の子、5歳、白人、血液型A、既往症なし・・・・。」
と無表情で読み上げた。
「トルーマンさん、よろしいですか?なかなかの器量良しの子ですよ。あぁ、トルーマンさんには器量の良し悪しは関係なかったですね・・・。」
デビッドは黙って頷いた。
「では、契約書にサインを。」
大きい男が倉庫内にあった折りたたみ式のテーブルを開き、「D」が書類とペンを置いた。
書類にサインを終えると、「D」はサインを確認し、三つ折りにして内ポケットにしまった。
「では、明日にはお嬢様の移植のためのマッチングテストをしますので、明日の夕刻までにお嬢様をお連れ下さい。それまで、この子は、我々の方で大切に預からせていただきます。(ナンシーは2人の男に連れられて、離れたドアのほうに歩いていった。)トルーマンさんとお嬢様はお泊りのホテルまでお迎えに上がりますので・・・。失礼ですが、再び、袋を被させていただきます。」
と黒い袋を取り出した。

 大男が運転席に乗り込み、後席にもう一人の大男と「D」に挟まれ、デビッドが乗り込んだ。運転席の男が車のスターターのキーをひねる。キュルキュルキュルキュル、セルモーターは勢いよくまわるがエンジンがかかる気配がない。
「おい、どうした!」
「D」がいらだった声で言う。
「いや、エンジンがかからなくて・・・。」
と運転席の男がキーを射し直し、再度キーを回した。

 コンコンコン、運転席の窓をたたく音に3人の男たちが一斉に視線を向ける。
「お困りですか~?」
とプロレスマスクを被った男が窓をノックしている。
「なんだ、てめぇ!」
と大男2人が内ポケットに手を入れる。その瞬間、「バンっ!バリン!」と助手席側のガラスが砕け散り、何やら黒っぽい缶のようなものが社内に放り込まれた。1秒もすると缶から白い煙が立ち上り、車内は真っ白になった。3人の男は、目を抑え、咳き込みながら我先にと車外へ飛び出してきた。
 3人が車から転がり出た後、黒い袋を被ったデビッドが
「はいはい、ご苦労さん。息止めて、目つぶっててもきついな~、この催涙ガス。」
と言いながら、袋を頭から脱ぎ去る。
 もんどりうつ大男2人にマスクを被ったセシルとデビッドがエルボードロップを落とし、背後にまわり、スリーパーホールドで堕とした。
 目をかきむしりながら、何とか逃げようとする「D」に
「この腐れ野郎!」
とマスク姿のアグネスの後ろまわし蹴りが後頭部に決まった。[D」はその場に崩れ落ちた。

 時を同じくして、裏口の車ではマスク姿のユジンとマチルダが待ち構えていた。セシル、アグネスと同様にユジンがノックして、マチルダが助手席の窓をぶち破った。
「ナンシー!マチルダよ!水泳の時のようにギュッと目をつぶって息を止めて!」
と叫んだ。瞬間的にナンシーは目をつぶり、右手で鼻をつまんだ。マチルダは間髪あけず、催涙ガスの缶を車内に投げ込んだ。後部座席から目を抑え、出てきた男に一本背負いをぶちかました。男はくるりと弧を描き、背中から、アスファルトにたたきつけられた。
「ナンシー!」
すぐに奥の席からナンシーを救出した。泣き叫ぶナンシーをやさしく抱きしめるマチルダの背中に強烈な蹴りが入った。マチルダは、前のめりに倒れこんだ。

 男は目を真っ赤にして
「ふざけやがって・・・、殺してやる!」
とナンシーを後ろから左手で抱きかかえ、右手でズボンの後ろポケットからバタフライナイフを取り出しナンシーに喉元に押し当てた。ユジンともう一人の男は前席あたりで取っ組み合いになっている。
「待って!ナンシーを放して!」
とうつ伏せで首を上げ右手を伸ばすマチルダ。身体の自由が利かず、一瞬立ち上がるタイミングが遅れた。(ごめん!間に合わない!)
ぽきっ!。「グワッ!」、「ぎゃーっ!」と男が叫んだ。羽交い絞めにされていたナンシーが、男の左手小指を両手で手の甲側に着くほど押し曲げ、親指の付け根に噛みついている。
男はナンシーを放り投げ、右手のナイフを落とし、プラプラにぶらさがる小指と血がにじんだ歯形のついた左手を押さえ、片膝をついている。マチルダはさっと立ち上がり覚えたてのアグネス直伝「中段蹴り」を男のわき腹に叩き込み、三角締めで男を堕とした。
「おーい、大丈夫か?」とユジンが戻ってきた。大の字に伸びた男と抱き合うマチルダとナンシーを横目に、ポケットから出した結束バンドで男の両手首と足首を縛った。

「マチルダお姉ちゃんに教えてもらった通りできたでしょ!」
とナンシーは泣き笑いしながら、マチルダに話しかける。
「怖い思いさせてごめんね・・・。よく頑張ったわね、えらいぞナンシー・・・。」
とナンシーを抱きしめ、頭をくちゃくちゃに撫でまわした。

 すっかりと薄暗くなった倉庫周辺。照明のともった倉庫の中、4人の男たちが背中合わせに縛り付けられている。少し離れたところに「D」がひとり後ろ手と胡坐状で足首を結束バンドで縛られ座らされている。セシルがカメラを持って、男たちを撮影している中、デビッドが尋問を繰り返している。しかし、一向に口を割る様子はない。
 マチルダはナンシーにハンバーガーを食べさせた。ナンシーは安心したのか眠ってしまったので、ユジンの車に寝かせた。
 ユジンがアグネスに聞いた。
「ところで、エンストの件はどうやったんだ?ほんの数秒、こちょこちょっと車の後ろ触っただけだったよな?」
「あれはね~、ユーチューブのいたずらチャンネルで見たんだけど、黒いタオルをマフラーに詰めただけなのよ。電気自動車では使えない手なんだけど、ガソリン車だと、マフラーにモノ詰められちゃうと、エンジン掛かんなくなっちゃうんだって!「家の前にいつも違法駐車する奴に仕返し!」っていう番組で見たの。うまくいってよかったわ。」
「へーえ、アイフォーンに続いて、ユーチューブ様々だな。」
「いや、ユジンさんそれは違うでしょ!ここはアグネス様々でしょ!?」

「どうだ、デビッド!?そのチビのおっさん何か吐いたか?」
「いや、セシル、ダメダメだ。貝みたいに口閉じちまって・・・。あぁ、このままケネス警部に引き渡しても、ジョセフの言う通り「トカゲのしっぽ」で終わりか。なんか癪だなぁ。」
「まぁ、今回のミッションはナンシーちゃんの救出が目的だったんで、良しとしようや。」
「あぁ、いったん、ゴングだな。」
アグネスとマチルダがそそくさとデビッドの横に来た。マチルダが聞いた。
「いったい、何を聞き出せばいいの?」
「そりゃ、C-MARTの組織のアジトやメンバー・・・、特に首謀者だな・・・。」
マチルダは、もじもじしながら、デビッドの耳元で囁いた。
「ひとつ、試したい事あるんだけど・・・・。」

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