『イケメンイスラエル大使館員と古代ユダヤの「アーク探し」の5日間の某国特殊部隊相手の大激戦!なっちゃん恋愛小説シリーズ第1弾!』

あらお☆ひろ

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「ソロモンの秘宝」

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「ソロモンの秘宝」

 羽藤が、ここまでの経緯をMKに手短に説明し、稀世が解析した暗号分析の解読書の一枚をMKに見せた。
「えー、これが八咫鏡の裏に書かれていた言葉の本当の意味なんですか…。まさかの結果です…。」
と絶句した。
「えっ、MK君、なんて書いてあったん?お宝はどこにあんの?お宝は日本に埋まってんの?」
と稀世が顔を紅潮させてMKに尋ねた。皆がMKの次の言葉を待った。

 「まず一つは、ソロモン王が所有していたと言われる「純金の大盾200と小盾300」はエジプトの王|《ファラオ》「シェションク1世」に奪われたので、国民総出で回収すべし。もう一つの財宝はメネリク1世の為にラス・デシェンの山頂に残すのでエチオピア建国の際の費用とすべし。」そして最後はよくわかりませんが「7」と記されています。」
とMKが読み終えた。
「えっ?半分はエジプトに取られちゃったってこと?それで残りはラス何とかって山に残ってる可能性はあるの?」
と稀世が聞くと、MKは首を振り、がくんと席に腰を下ろし黙り込んだ。
 何も言わなくなったMKに代わり羽藤が解説を続けた。エジプトのシェションク1世に奪われた純金の大小の盾500枚は、おそらくその後のエジプトの黄金文化を考えると全て溶かされ別の工芸品になっているため回収は不可能であるという事だった。
 エチオピアのメネリク1世というのは、古代イスラエルで最も栄えさせて、その後、一気に衰退させた張本人と言われる第三代目の王であるソロモン王が、今のイエメンの位置にあったシバの女王と恋に落ち、男の子を身ごもった。帰国したシバの女王とソロモン王の直接の息子である。成人したメネリク1世が紅海を挟んだ向かいにある現在のエチオピアに「ソロモン朝エチオピア」を建国するために、多額の援助をしたとされたことを説明した。エチオピア最高峰のエチオピア読みでは「ラス・デシェン」とされるラスタジャン山は標高4550メートルあるアフリカ大陸では第4位の山であり、1841年にフランス人士官が初登頂とされる。
 エチオピア北部のシミエン国立公園に位置するシミエン山地は地方によっては旧約聖書で記されている「シナイ山」に発音が似ており、古代イスラエル滅亡後、失われた南の2つの支族がエチオピアに入ったことは歴史的な根拠も多い。アフリカ人にしては「ホリ」が深く鼻が高い顔立ちは、明らかに他国のアフリカ人の顔と違いユダヤ人の顔つきであると同時に、ヨーロッパの列強国がエチオピアに入植した際に「ユダヤ教」が布教されていたことも、エチオピアにユダヤの血が入っていたことを証明している。
 今では一大観光地のラリベラの岩窟教会群は、12世紀から13世紀にかけて聖地エルサレムがイスラム民族に占領され巡礼ができないために、時のエチオピアのトップであるラベリア王が「第二のエルサレムにするように」と多額の費用をかけて、一枚岩を掘り下げ作られたエチオピア正教の教会群は、石工職人が多い「ユダヤ人」によるものとされる。十字架の形の「聖キオルギス教会」、「聖マリア教会」、「聖救世主教会」などが有名である。そこから1974年のエチオピア革命まで、当時の日本の皇室の2634年を超える承継王朝が途切れるまでの間に、当然のように使い切っているだろうと説明した。

 「あーあ、結局、お宝は無しか…。まあ、東に移動した昔のイスラエルの支族の人たちも暗号化されたヘブライ文字を神の言葉と信じて、石板や銅鏡に書きこんで後世に伝えようとしただけやろうから文句言われへんけど、ちょっとがっかりやな…。」
と稀世が残念がった。
「でも、結構おもろかったかもしれへんな。羽藤さんの知り合いのイスラエルの特殊部隊の人たちも暗号解読して残念がってんのとちゃうか?」
と稀世が付け加えて言うと、MKが
「そうそう、アブラハム・サイモン司令から聞きましたけど、「モーゼの十戒の石板」と「八咫鏡」の偽物と言うかフライパンと鉄板を渡したそうじゃないですか!僕がネコババしたと疑われて大変だったんですよ。いったい誰が…?」
とMKがみんなの顔を見回すと、陽菜が首をすくめて手を挙げた。
「ごめんなさい…。たくさんの兵隊さんが現れて、羽藤さんから石板と銅鏡を渡すように言われた時、「モーゼの石板」はともかく、「八咫鏡」は日本の大事な宝ものやろ?ほんまに外人に渡してええんかわからんかったから、伊勢神宮での「なっちゃん奪還戦」の前に防弾チョッキ代わりに山岳ショップで買ってきた、お腹を守る用のパエリア鍋と背中を守る用のバーベキュー用の鉄板が同じくらいの大きさやったから、菊のご紋の入った錦に包んで渡したんよ。そりゃ、銅鏡は、稀世姉さんがマシンガンの弾避けに使ったから、銃痕でぼこぼこになってはいたけど、「取られるよりまし」って思ってやってしもたんやけど、後で伊勢神宮の宮司さん達も喜んでくれてたんやで。あらぬ疑惑をかけられたMK君には悪いけど、きちんと確認せえへんかったアブラハムさんたちの責任やろ。」
と悪びれずに言うとみんな爆笑した。羽藤が
「まあ、アブラハムが古代ヘブライ文字の解析をしても結果は同じだから、ここは、陽菜さんの機転に拍手しましょう。おかげで、写真は撮らせてはもらえませんでしたが本物の八咫鏡…、いや、形代かたしろにしても本物を見られたんですから。」
と言うと、尾崎も声を大にして
「そりゃそうや。天皇陛下でも見られへんもんをわしら十人は拝ませてもろたんやからな。ありがたいこっちゃ。」
と誇らしげに言った。
「まあ、なっちゃんのお告げのおかげで、いろいろとありましたが貴重な経験させてもらいましたもんね。それはそれで良しとしましょう。」
と三朗が続いた。

 「ちなみに、今、羽藤さんが言った「形代」ってなになん?私も三種の神器のほんまもんを弾避けにしてべこべこにしてしもたからもっと怒られるんかなって思ってたら、意外とお咎めなしやったから不思議に思っててん。」
と稀世が尋ねると、まりあが
「「形代かたしろ」っていうのは、簡単に言うと三種の神器のレプリカに魂を入れたものやねん。源平合戦で壇ノ浦に沈んだ「草薙剣くさなごのつるぎ」と一緒やな。
 まあ、伊勢神宮もいざというときの火事や盗難に備えて、ほんまもんやなくて「形代」を祀ってたんやろな。」
と説明をした。
「じゃあ、本物の八咫鏡はどこにあんの?」
と稀世が聞くと
「そんなもん、知らん方がええ。今回は、運よくけが人なしで済んだけど、それこそ奇跡やぞ。東宝殿は爆薬で後ろの壁吹っ飛ばされて、壁は銃弾の跡だらけや。わしらにも箝口令を敷かれたように、こんなことがあったってことは、忘れてしまうことや。陽菜!くれぐれもユーチューブにあげたりすんなよ!」
と直が釘を刺した。

 「大丈夫!いつもの「ひなちゃんねる」じゃなく、サブチャンネルの「都市伝説・オカルト」の「歴史チャンネル」でアップさせるからまさかほんまの話やとは分からへんやろ!」
と陽菜が悪気無く答えると、羽藤が慌てて
「陽菜さん、それは絶対にやめてください。日本にも宗教的な秘密組織が存在します。そんなことしたら、今度は陽菜さんが消されますよ!」
と陽菜に注意すると
「あー、日本の秘密結社「八咫烏やたがらす」ってやつですよね!それもネタ的にありかな?」
と言った瞬間、まりあに脳天にエルボーを入れられた。夏子以外のみんなが笑った。

 馬鹿笑いで盛り上がる向日葵寿司で一人真剣な顔をしている夏子の手を取り、MKがポケットから指輪のケースを出した。(えっ、この状況でプロポーズなん?みんな見てる前で?きゃー、ここで「MKと一緒にイスラエル行き」を即決せなあかんの?どうしよう…?)夏子が真っ赤になると、みんなが注目する中、指輪のケースを開くと淡路島で拾った二つの指輪が入っていた。
「今、一度チャネリングしてみてもらえませんか?なっちゃんが本当に「神の巫女」であれば、本国に戻ればまだまだアーク探しや失われた12支族が持ち出した財宝探しも残っているはずです。僕と一緒に古代イスラエルの秘物と秘宝探しに行きましょう。まずは、マナの壺とアロンの杖の場所のお告げをお願いします。」
と指輪を二つ取り出し夏子の右手に握らせた。
 夏子は大きく息を吸い込み、息を止めるとぎゅっと指輪を握り込み、まぶたを閉じ、意識を集中した。
 
 店の中で起こるはずのない空気の流れが感じられ、夏子の髪が逆立った。みんなが夏子に集中した。5秒、10秒、15秒…。
「あかん、なんも降りてけえへんわ。まあ、いろいろと怖い思いして、この指輪にはいい思い出あれへんから、これは最初に拾ったひまちゃんに返すわな。ひまちゃんも、もう3歳やからこれからお嫁さんごっこの時にでも使えるやろ。はい、ひまちゃん、手を出して。」
と直にだっこされたひまわりの手に二つの指輪を手渡した。
 再び、店内につむじ風が起こり、ひまわりの髪が逆立ち、何語かわからない言葉をしゃべりだした。MKと羽藤が真っ青な顔になる。約5分、ひまわりは一方的に話すとそのまま寝入ってしまった。
「おい、一志、MK君、何青い顔してんねん!ひまちゃん、今何をしゃべっとったんや?なんか「モノノベ」いう言葉が入ってたような気がしたんやけど…。」
と直が尋ねる。
 何も言葉が出ない羽藤に代わりMKが信じられないといった顔で呟いた。
「いま、ひまわりちゃんは古代ヘブライ語でユダヤの三種の神器の一つの「マナの壺」が日本に運ばれてきて、そのありかを話していました。日本国内に隠されているそうです。それも、この近くです…。」
「マナの壺っていうたら、食べモノに困ったときに天から落ちてきた「マナ」っていう食べ物を入れたっていう壺やな?そんでひまちゃんはなんて言ってたんや?」
と直が尋ねた。MKはグラスのビールを一気にあおって、一息ついて話し出した。
「マナの壺は、聖徳太子、秦河勝一行がモーゼの墓から奪った後に、大阪の物部氏を使って堺市の仁徳天皇陵に埋蔵したって言ってました。
 凄いですよ、3歳児の女の子が知る由もない古代ヘブライ語を話し、その内容が古代神話に記されてる伝説と一致している。もしかしたら、巫女はひまわりちゃんだったのかも。旧約聖書の中にも自らお告げを受けて発言するシャーマンと呼ばれる「発信者」である「巫女」と「巫女の思考を受けて発言する」いわゆるレシーバーと呼ばれる「代弁者」の巫女が存在したそうです。」とMKが熱く語り、寝ているひまわりの頬を優しくなでた。
「じゃあ、ひまちゃんが「発信者」で、なっちゃんが「代弁者」やったってこと?そういえば、なっちゃんより先に指輪を見つけて、最初のホテルも神明神社も諏訪大社もモーゼの墓でもなっちゃんより先にひまちゃんがその場所に居ったもんな!」
と稀世が言うと、
「そうですよ!稀世さん、ひまわりちゃんが神から選ばれた巫女だったんですよ。実際に伊勢神宮でもなっちゃんだけでは東宝殿の前でお告げは無かったのに、ひまわりちゃんが合流してからあの奇跡が起こったんですよ!これは凄いことですよ!」
とMKも盛り上がっている。

 「でも、仁徳天皇陵の中ってことやったら、探しに行くことはできへんよな。」
と稀世が残念がると
「いやいや、ひまわりちゃんのお告げによると、八咫鏡の裏のメッセージに書かれていた「7」と言うのは、モーゼが12の支族が国を出る際に、12のメッセージを各々に残したってことですから、残り11枚の銅鏡には別の秘宝の隠し場所が描かれている可能性があるんですよ!日本には少なくとも紀元前7世紀ごろ九州着き四国、関西広がった帆船の紋を持つゼブルン族の阿波忌部氏に鹿の紋を持つナフタリ族の物部氏、紀元1世紀に福井県に到着した物部氏と同様に鹿のナフタリ族の越前忌部氏、長野氏、そして、今回の八咫鏡を聖徳太子と一緒に奪ったとされる秦河勝の先祖に当たる4世紀頃に中国を経由して渡来した太陽の紋章のルベン族の秦氏の3支族が来ていますし、それ以外にも、京都の賀茂氏や九州の島津なども、12支族で独自の言い伝えを持っているかもしれないですよね!
 チベットやロシアやアメリカみたいに日本以外でも世界中にまだまだユダヤの秘物の伝説はたくさんあるそうです。よかったら、今度、ひまわりちゃん連れてイスラエルに来てくださいよ!一緒に世界をまわりましょう!」
と話がひまわり中心に進み始めていることに焦りを感じた夏子が意を決して立ち上がった。突然の夏子の動きに、みんなが注目をした。
「MK、私、あなたと一緒にイスラエルに行くわ。イスラエルに行って、あなたのご両親にきちんと挨拶する。MKが日本を立つ明日には間に合わないけど、ビザやパスポートの準備ができ次第、私、MKについていくわ!」
と夏子はMKに向かって宣言した。みんな「おーっ!」っと声をあげた中、MKだけが冷静に
「なっちゃん…もういいです。巫女は「ひまわりちゃん」だって分かったんで…。無理してイスラエルに来る必要は無いですよ。まあ、観光で来られるのであれば、観光案内くらいはさせてもらいますけどね…。」
と夏子から目をそらせてMKは呟いた。
「ぎゃはははは!MK君が必要としてたんは「巫女」としての夏子やったってことやな!はいはい、いつの通りの「夏子オチ」やったな!じゃあ、今から、MK君の送別会と「勘違い夏子の失恋残念会」でも始めるか!三朗、もうじき商店街のみんなも新装開店のお祝いに来る時間やから、準備に入れや!わしらは、先にビールで盛り上がらせてもらうわな!」
と直が笑いながら大きな声を出すと、夏子は大粒の涙をぽろぽろとこぼして声を殺して泣き始めた。稀世とまりあが笑いながら夏子を慰めるが夏子は泣き止むことは無かった。



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