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リリアナ弟子になる
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ラサ村に到着。
駐在の人とは連日会っているので、顔見知りになった。
とりあえず依頼内容の確認と状況の説明を受ける。
西に向かう途中、ヌートボアは気性が荒く人に突進してくることや、巣の近くでは群れで襲ってくることを説明した。
普通は罠で捕獲するけれど、今回はまとめて捕獲したい。
川に出た。
上流側に少し森になっている場所がある。
あのあたりが巣だな。
「大きな音を立てたら襲ってくるかな?」
「まだかなり離れているから大丈夫」
「じゃぁちょっと見ててね」と言って走り出す。
速い!そのままの勢いで木を蹴るとへし折れた。
太い木ではないが、それにしても凄い威力だ。
「靴に増幅の術式を付与したの」
そうですか、でもF級じゃないよねその威力。
身体強化スキルとよく似ている、部分的な機能を強化するわけだ。
じゃあ俺もということで、張り合うわけではないけどお互いの技量を知るのはチームの基本。
カバンから種を取り出して、折れた個所の下の幹に向けて弾いた。
幹が砕け散った。
ここ数日、アーマリザを打ち落としていたので加速スキルのレベルは上がっていた。
「威力があがった?」
「うん」
「ヌートボアも倒せる?」
「どうかな、魔獣は致命傷を与えてもすぐ死なないから。突進に真正面でやり合うのは止めた方がいい」
「どうするの?」
「躱しながら順番に倒して行くから、距離を取ってヌートボアを停止させて欲しい」
「前衛後衛ということね、いいわ」
「触れてみて」
突然リリアナが言った。
何処にですか?マント?あっそう。
失礼して肩のあたりに触れる。
プニュとした。
これはあのテントと同じ感じ?
術式を真似て付与したらしい。
加わった力を反射するとのこと。
「自分で考えたの?」
「そうよ、でも文献は学校にあったわよ」
森から離れてリリアナ、森の傍に俺。
さっそく狩りを開始する。
亜空間で森の中を移動。
ヌートボアが群れて眠っていた。
解除してすかさずバグの実の種を弾く。
雄叫びを上げた。
一斉に飛び起きる。
森の外に脱出する。
7~8頭が俺を追って森から飛び出してきた、と同時に種を弾く。
3頭の顔を打ち抜くが、やはりそのまま突っ込んでくる。
躱しつつ、他のやつに種を弾く。
森から更に数頭が飛び出すがその場に停止した。
既に種を撃ち込んだやつは放置して、止まっているヤツらを目がけて種を浴びせた。
一旦距離を取るが、半数くらいは俺を目がけて突進してくる。
やはり丈夫だ。
その場に停止した。
止まっているヤツらを目がけて種を浴びせる。
更に何頭かが森から飛び出してきたが、後は同じこと。
森の中から叫び声が聞こえた、逃げる合図だ。
生き残ったヤツらが上流へと一斉に走って逃げて行く。
少なくともヤツらがここに戻ってくることはないだろう。
リリアナを呼んで、ヌートボアを回収した。
受付の人のところに戻った。
数を確認して駆除費用を受け取る、16頭で16Gだった。
買取価格は、傷の多いものは1Gでそうでないなら2Gということで22Gになった。
チームとして依頼を受けたので、19Gずつを受け取った。
寮費と朝夕の食事代は無料だけど、「工房の給料より少し多い」とリリアナ。
現場は村の近くが多いし、ヌートボアの駆除はお金になりやすい。
肉も毛皮も人気だから、その売買で村も駆除費用分くらいはまかなえる。
フークモバに戻る箱車の中で、マリタの話をした。
道具職人で、道具商を営んでいる。
一度遊びに来てと言っていたので、よければこのまま一緒にどうか?と誘った。
リリアナは、フークモバから遠く離れた町の出身なので、フークモバのことはまだ良く知らないそうだが、それでもマリタの店の評判は知っていると言った。
「行きたい、でもこの格好変じゃない?」
マントは変じゃない、カモフラージュに最適だ。
それにマリタが格好を気にするとは思えないと言うと、それは変と言っているのと同じだと言われた。
良く判らないけど、一緒に行くならそれでいい。
***マリタの家***
中央広場で箱車を降りて、マリタの店に行く。
武器、防具、生活道具などが雑然と並んでいる。
普通は、武器は武器屋というふうに店ごとに品は分かれるものだ。
数人の客がいた、同じチームのようだ。
一人が盾を受け取った。
袋をカウンターに置いた、ずっしりと重そう。
マリタが袋の中を見て、それで取引が成立した。
値札があるわけでもなく、袋の中身が幾らかも良く判らない。
不思議な取引だ。
客が帰ったので、リリアナを紹介した。
マリタはリリアナが脇に抱えていたマントを見せてと言った。
手に取ると手触りを確かめた。
「ふ~ん」そして、店を閉めるように言った。
俺がドアに閉店の看板をぶら下げて、鍵をかける。
そのまま3人で裏口からでて、家に向かう。
夕食を一緒にということになって、俺が準備する。
その間、2人の会話が盛り上がる。
どうやら学校のテントの術式はマリタが改変したらしい。
学校のキャンプに参加した後に、図書館に籠って蔵書を調べ続けてリリアナが見たのは改変前の古い術式だそうだ。
料理ができたので食べる。
トマトソースで蒸し焼きにした魚。
ローストした肉を酸味と香草のソースであえてサラダに乗せた一品。
後はブレッドとワイン。
マリタは俺がワインを買ってくれたと盛んに自慢する。
止めて欲しい。
それに、今飲んでいるワインじゃないし。
でも、リリアナは良いわねと言って微笑んだ。
どうやらマリタはリリアナが気に入ったみたいで、弟子にすると言った。
そんな一方的に弟子にされても困るからと言うと、2人して冷たい視線を返してきた。
何か変なこと言いました?
駐在の人とは連日会っているので、顔見知りになった。
とりあえず依頼内容の確認と状況の説明を受ける。
西に向かう途中、ヌートボアは気性が荒く人に突進してくることや、巣の近くでは群れで襲ってくることを説明した。
普通は罠で捕獲するけれど、今回はまとめて捕獲したい。
川に出た。
上流側に少し森になっている場所がある。
あのあたりが巣だな。
「大きな音を立てたら襲ってくるかな?」
「まだかなり離れているから大丈夫」
「じゃぁちょっと見ててね」と言って走り出す。
速い!そのままの勢いで木を蹴るとへし折れた。
太い木ではないが、それにしても凄い威力だ。
「靴に増幅の術式を付与したの」
そうですか、でもF級じゃないよねその威力。
身体強化スキルとよく似ている、部分的な機能を強化するわけだ。
じゃあ俺もということで、張り合うわけではないけどお互いの技量を知るのはチームの基本。
カバンから種を取り出して、折れた個所の下の幹に向けて弾いた。
幹が砕け散った。
ここ数日、アーマリザを打ち落としていたので加速スキルのレベルは上がっていた。
「威力があがった?」
「うん」
「ヌートボアも倒せる?」
「どうかな、魔獣は致命傷を与えてもすぐ死なないから。突進に真正面でやり合うのは止めた方がいい」
「どうするの?」
「躱しながら順番に倒して行くから、距離を取ってヌートボアを停止させて欲しい」
「前衛後衛ということね、いいわ」
「触れてみて」
突然リリアナが言った。
何処にですか?マント?あっそう。
失礼して肩のあたりに触れる。
プニュとした。
これはあのテントと同じ感じ?
術式を真似て付与したらしい。
加わった力を反射するとのこと。
「自分で考えたの?」
「そうよ、でも文献は学校にあったわよ」
森から離れてリリアナ、森の傍に俺。
さっそく狩りを開始する。
亜空間で森の中を移動。
ヌートボアが群れて眠っていた。
解除してすかさずバグの実の種を弾く。
雄叫びを上げた。
一斉に飛び起きる。
森の外に脱出する。
7~8頭が俺を追って森から飛び出してきた、と同時に種を弾く。
3頭の顔を打ち抜くが、やはりそのまま突っ込んでくる。
躱しつつ、他のやつに種を弾く。
森から更に数頭が飛び出すがその場に停止した。
既に種を撃ち込んだやつは放置して、止まっているヤツらを目がけて種を浴びせた。
一旦距離を取るが、半数くらいは俺を目がけて突進してくる。
やはり丈夫だ。
その場に停止した。
止まっているヤツらを目がけて種を浴びせる。
更に何頭かが森から飛び出してきたが、後は同じこと。
森の中から叫び声が聞こえた、逃げる合図だ。
生き残ったヤツらが上流へと一斉に走って逃げて行く。
少なくともヤツらがここに戻ってくることはないだろう。
リリアナを呼んで、ヌートボアを回収した。
受付の人のところに戻った。
数を確認して駆除費用を受け取る、16頭で16Gだった。
買取価格は、傷の多いものは1Gでそうでないなら2Gということで22Gになった。
チームとして依頼を受けたので、19Gずつを受け取った。
寮費と朝夕の食事代は無料だけど、「工房の給料より少し多い」とリリアナ。
現場は村の近くが多いし、ヌートボアの駆除はお金になりやすい。
肉も毛皮も人気だから、その売買で村も駆除費用分くらいはまかなえる。
フークモバに戻る箱車の中で、マリタの話をした。
道具職人で、道具商を営んでいる。
一度遊びに来てと言っていたので、よければこのまま一緒にどうか?と誘った。
リリアナは、フークモバから遠く離れた町の出身なので、フークモバのことはまだ良く知らないそうだが、それでもマリタの店の評判は知っていると言った。
「行きたい、でもこの格好変じゃない?」
マントは変じゃない、カモフラージュに最適だ。
それにマリタが格好を気にするとは思えないと言うと、それは変と言っているのと同じだと言われた。
良く判らないけど、一緒に行くならそれでいい。
***マリタの家***
中央広場で箱車を降りて、マリタの店に行く。
武器、防具、生活道具などが雑然と並んでいる。
普通は、武器は武器屋というふうに店ごとに品は分かれるものだ。
数人の客がいた、同じチームのようだ。
一人が盾を受け取った。
袋をカウンターに置いた、ずっしりと重そう。
マリタが袋の中を見て、それで取引が成立した。
値札があるわけでもなく、袋の中身が幾らかも良く判らない。
不思議な取引だ。
客が帰ったので、リリアナを紹介した。
マリタはリリアナが脇に抱えていたマントを見せてと言った。
手に取ると手触りを確かめた。
「ふ~ん」そして、店を閉めるように言った。
俺がドアに閉店の看板をぶら下げて、鍵をかける。
そのまま3人で裏口からでて、家に向かう。
夕食を一緒にということになって、俺が準備する。
その間、2人の会話が盛り上がる。
どうやら学校のテントの術式はマリタが改変したらしい。
学校のキャンプに参加した後に、図書館に籠って蔵書を調べ続けてリリアナが見たのは改変前の古い術式だそうだ。
料理ができたので食べる。
トマトソースで蒸し焼きにした魚。
ローストした肉を酸味と香草のソースであえてサラダに乗せた一品。
後はブレッドとワイン。
マリタは俺がワインを買ってくれたと盛んに自慢する。
止めて欲しい。
それに、今飲んでいるワインじゃないし。
でも、リリアナは良いわねと言って微笑んだ。
どうやらマリタはリリアナが気に入ったみたいで、弟子にすると言った。
そんな一方的に弟子にされても困るからと言うと、2人して冷たい視線を返してきた。
何か変なこと言いました?
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