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006 誰も悪くないけれど、疎外感を感じる
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その日私は、珍しく王都にあるローズ公爵家のタウンハウスにいた。
タウンハウスには、妻が妊娠中のため領地を離れられないと頑なに主張したという、一番上の兄をのぞく私の家族が一堂に会している。
なぜなら、本日行われる国王陛下主催の「建国三百八年を祝う舞踏会」に家族揃って参加するためだ。
前日から母の指示によりタウンハウスに呼び出されていた私は、朝から侍女達にこれでもかと飾り付けられ磨かれた。
『さすが私の娘。可愛いわよ。二十歳だろうと、まだまだ諦めちゃだめよ』
母から親の贔屓目たっぷりな太鼓判をもらい、私は家族と共に馬車に揺られ王城へ向かう。
(もはや私の実家みたいなものなのに)
馬車の窓から見える白亜の城を眺め、正門から馬車で入る事に不思議な気分になる。
「久しぶりに、姉さんの本気のドレス姿を見た気がする。というか、早くこの役目を俺も卒業したいんだけど」
王城に到着した馬車から先に降り、私に手を差し出すジュリアン。私の着飾った姿と損な役回りに対し、遠回しに嫌味を口にした。
「ジュリアン、余計な事を言わないで頂戴」
すかさず母のお叱りが入る。
「そうだぞ。久々巣穴から出てやる気になってくれたんだ。アリシアの気を削ぐような事を言うものではない」
「巣穴だなんて、あなたもですわ」
キリリと母が父を睨みつける。
「す、すまない」
父がシュンと体を縮める。相変わらず我が家は母が、生態ピラミッドを表す三角形の頂点に君臨しているようだ。
「いいことアリシア。あなたは二十歳になってしまった。だから自分を惨めな「いき遅れ」だと卑下し、こういった会に尻込みしてしまう。その気持ちはわからなくもないわ」
母に肩を抱かれ、私はゆっくりと会場となるホールへと続く階段をのぼる。
「けれど、そうなったのは出会いを求めず仕事ばかりしていたあなたのせい」
「……はい」
「ですからしっかりと周囲からの厳しい視線に耐え、背筋を伸ばし戦い抜きなさい。そして願わくはツガイシステムに引っかかる素敵な男性を見つけること。いいわね?」
「……はい」
「声が小さい!」
パシリと背中に一発。気合のこもる扇子攻撃を母から食らう。
「はい、頑張ります」
「よろしい」
満足気な表情を私に向ける母。言いたい事を吐き出し、すっきりした様子の母は、私のエスコートをジュリアンに任せご機嫌な様子で父の腕を取る。
「た、助かった」
代々騎士を多く輩出してきた脳筋系一家出身の母。よって娘への愛情表現も昔から拳で語り合う系を得意とするため、容赦ない。
「何だかんだ、お母様の言葉が一番堪えるんだけど……」
私は思わず薄目になった。すでに疲労困憊といった感じだ。
「ま、頑張れよ」
「お互いね」
私はいまだツガイシステムに引っかからない同士でもある、ジュリアンにちくりと仕返しをする。
「ローズ公爵家一同様、おなーりー」
頭に古き良きカールしまくりの白いカツラを被った、損な役回りとしか思えない男性職員が、我が家の登城を大きな声で告げる。
その声に導かれるように、私達は会場となる大ホールに入場したのであった。
***
十六歳で花嫁学校を卒業すると同時に就職。そして人生に一度きりであるデビュタントの年を仕事に追われあっけなく終えた私は、現在二十歳。
この国における女性の婚姻平均年齢が十八歳である事から予測するに、私は「いき遅れ」だと胸を張って言えるだろう。
「全然お変わりなくて」
「本当に。すぐにアリシア様だとわかりましたわ」
「今日の銀糸のドレスは、御髪の色と相まって、まるで妖精のようですわ」
「ほんと、変わらず素敵です」
主要な所への挨拶周りを終えた私は、すっかり時候の挨拶を交わすだけの仲となってしまった、花嫁学校時代の友人達が作る輪に参加しているところだ。
(だって他に知り合いがいないし)
仕事で仲良くなった女子の友人達はこぞって出産ラッシュ中。そのため今回は、というか「今回も」堂々と欠席が許されている。それに同僚となる彼らの夫となる男性達と会話を交わした所でどうせ仕事の話になるだろうし、何より既婚者に興味はない。
よってこういった場で私が身を寄せる……もとい、私を受け入れてくれるのは、花嫁学校時代の同級生。今やすっかり奥様の座に収まった面々しかいない。というのが現状であり私を取り巻く切ない現実だ。
「私なんて出産後、横にほら」
友人の一人が大げさにウエストの脇に手を置いた。
「わかるわ。私も毎年ドレスの仕立て直しをしていますもの」
「出産すると、骨盤がどうしたって広がるから、独身時代のようにはいかないわよ。それよりメルダの所のおちびちゃん、どう?喘息は良くなった?」
「えぇ、あなたのオススメ通り、百合根のスープを飲ませみたら、随分とマシになった気がするわ」
「役に立てて、良かった」
デビュタント後に相次いで結婚した友人達の、目下の関心事は育児である。
(デビューする前は、騎士学校との非公式の舞踏会で「あの人素敵」だなんて、みんなで騒いでいたのになぁ)
それは遥か昔のこと。今は夢見る乙女な言葉を吐き出していた口から、夫の愚痴やおのろけ。それから子ども可愛いの話ばかりが飛び出している。
(別に彼女たちが悪い訳じゃないんだけど)
それは重々承知しているし、卒業して四年ほど。彼女達は結婚生活に、私は仕事に。それぞれ同じくらい真摯に取り組み生きていることに変わりない。
(でもなんかなぁ)
私は輪に参加しながらも、疎外感を感じずにはいられない。けれどそんな気持ちを悟られると居場所もないわけで。
「そういえば、メルダの一番下の子。とってもあなたにそっくりで可愛かったわ」
私は最近届いたばかり。記憶に新しい産まれたばかりといった感じ。小さな赤ちゃんの魔法写真付きの葉書きについて口にする。
「アリシア様。もしかしてお忙しい中、私の葉書きをご覧になって下さったのですか?」
「勿論よ。みんなからの葉書きは一つ残らず目を通してるわよ」
私は目にして数秒。無表情で机の引き出しにしまい込んだ葉書きの束を思い出しながら答える。
(正直赤ちゃんって、みんな同じに見えるんだけど)
可愛くないとは思わない。小動物を愛でる感じで十分可愛いとは思う。けれど「ふーん、可愛い」以上の感想がわかないというのが正直なところだ。
(だからって捨てるわけにもいかないし)
溜まっていく一方なのは困りもの。かといって「いらない」と言えるほど私は強くない。
(だって、子どもの誕生を私にもまだちゃんと教えてくれるってことは、仲間に入れてもらえているということだから)
その事実は私を安心させる。だから便りは嬉しい。けれどみんなが幸せそうな分、焦る気持ちになるのも確かだ。
独身も拗らせるとわりと繊細で厄介なのである。
「わたくしも拝見しましたわ」
「あぁ、あれね。うん、確かにメルダに似てると私も思いましたわ」
「ねぇ、今度会う時は魔法写真を持ち合わない?」
「私もとっておきがあるの。あ、じゃ、今度はみんなで子ども達と並んで魔法写真を撮りましょうよ」
キャッキャウフフと楽しそうな会話は続く。
(もう挨拶は済んだし、いいかな)
私は相槌を打ちつつ、そっと輪から外れた。
そして迷わず軽食コーナーに向かうため、その場をあとにしたのであった。
タウンハウスには、妻が妊娠中のため領地を離れられないと頑なに主張したという、一番上の兄をのぞく私の家族が一堂に会している。
なぜなら、本日行われる国王陛下主催の「建国三百八年を祝う舞踏会」に家族揃って参加するためだ。
前日から母の指示によりタウンハウスに呼び出されていた私は、朝から侍女達にこれでもかと飾り付けられ磨かれた。
『さすが私の娘。可愛いわよ。二十歳だろうと、まだまだ諦めちゃだめよ』
母から親の贔屓目たっぷりな太鼓判をもらい、私は家族と共に馬車に揺られ王城へ向かう。
(もはや私の実家みたいなものなのに)
馬車の窓から見える白亜の城を眺め、正門から馬車で入る事に不思議な気分になる。
「久しぶりに、姉さんの本気のドレス姿を見た気がする。というか、早くこの役目を俺も卒業したいんだけど」
王城に到着した馬車から先に降り、私に手を差し出すジュリアン。私の着飾った姿と損な役回りに対し、遠回しに嫌味を口にした。
「ジュリアン、余計な事を言わないで頂戴」
すかさず母のお叱りが入る。
「そうだぞ。久々巣穴から出てやる気になってくれたんだ。アリシアの気を削ぐような事を言うものではない」
「巣穴だなんて、あなたもですわ」
キリリと母が父を睨みつける。
「す、すまない」
父がシュンと体を縮める。相変わらず我が家は母が、生態ピラミッドを表す三角形の頂点に君臨しているようだ。
「いいことアリシア。あなたは二十歳になってしまった。だから自分を惨めな「いき遅れ」だと卑下し、こういった会に尻込みしてしまう。その気持ちはわからなくもないわ」
母に肩を抱かれ、私はゆっくりと会場となるホールへと続く階段をのぼる。
「けれど、そうなったのは出会いを求めず仕事ばかりしていたあなたのせい」
「……はい」
「ですからしっかりと周囲からの厳しい視線に耐え、背筋を伸ばし戦い抜きなさい。そして願わくはツガイシステムに引っかかる素敵な男性を見つけること。いいわね?」
「……はい」
「声が小さい!」
パシリと背中に一発。気合のこもる扇子攻撃を母から食らう。
「はい、頑張ります」
「よろしい」
満足気な表情を私に向ける母。言いたい事を吐き出し、すっきりした様子の母は、私のエスコートをジュリアンに任せご機嫌な様子で父の腕を取る。
「た、助かった」
代々騎士を多く輩出してきた脳筋系一家出身の母。よって娘への愛情表現も昔から拳で語り合う系を得意とするため、容赦ない。
「何だかんだ、お母様の言葉が一番堪えるんだけど……」
私は思わず薄目になった。すでに疲労困憊といった感じだ。
「ま、頑張れよ」
「お互いね」
私はいまだツガイシステムに引っかからない同士でもある、ジュリアンにちくりと仕返しをする。
「ローズ公爵家一同様、おなーりー」
頭に古き良きカールしまくりの白いカツラを被った、損な役回りとしか思えない男性職員が、我が家の登城を大きな声で告げる。
その声に導かれるように、私達は会場となる大ホールに入場したのであった。
***
十六歳で花嫁学校を卒業すると同時に就職。そして人生に一度きりであるデビュタントの年を仕事に追われあっけなく終えた私は、現在二十歳。
この国における女性の婚姻平均年齢が十八歳である事から予測するに、私は「いき遅れ」だと胸を張って言えるだろう。
「全然お変わりなくて」
「本当に。すぐにアリシア様だとわかりましたわ」
「今日の銀糸のドレスは、御髪の色と相まって、まるで妖精のようですわ」
「ほんと、変わらず素敵です」
主要な所への挨拶周りを終えた私は、すっかり時候の挨拶を交わすだけの仲となってしまった、花嫁学校時代の友人達が作る輪に参加しているところだ。
(だって他に知り合いがいないし)
仕事で仲良くなった女子の友人達はこぞって出産ラッシュ中。そのため今回は、というか「今回も」堂々と欠席が許されている。それに同僚となる彼らの夫となる男性達と会話を交わした所でどうせ仕事の話になるだろうし、何より既婚者に興味はない。
よってこういった場で私が身を寄せる……もとい、私を受け入れてくれるのは、花嫁学校時代の同級生。今やすっかり奥様の座に収まった面々しかいない。というのが現状であり私を取り巻く切ない現実だ。
「私なんて出産後、横にほら」
友人の一人が大げさにウエストの脇に手を置いた。
「わかるわ。私も毎年ドレスの仕立て直しをしていますもの」
「出産すると、骨盤がどうしたって広がるから、独身時代のようにはいかないわよ。それよりメルダの所のおちびちゃん、どう?喘息は良くなった?」
「えぇ、あなたのオススメ通り、百合根のスープを飲ませみたら、随分とマシになった気がするわ」
「役に立てて、良かった」
デビュタント後に相次いで結婚した友人達の、目下の関心事は育児である。
(デビューする前は、騎士学校との非公式の舞踏会で「あの人素敵」だなんて、みんなで騒いでいたのになぁ)
それは遥か昔のこと。今は夢見る乙女な言葉を吐き出していた口から、夫の愚痴やおのろけ。それから子ども可愛いの話ばかりが飛び出している。
(別に彼女たちが悪い訳じゃないんだけど)
それは重々承知しているし、卒業して四年ほど。彼女達は結婚生活に、私は仕事に。それぞれ同じくらい真摯に取り組み生きていることに変わりない。
(でもなんかなぁ)
私は輪に参加しながらも、疎外感を感じずにはいられない。けれどそんな気持ちを悟られると居場所もないわけで。
「そういえば、メルダの一番下の子。とってもあなたにそっくりで可愛かったわ」
私は最近届いたばかり。記憶に新しい産まれたばかりといった感じ。小さな赤ちゃんの魔法写真付きの葉書きについて口にする。
「アリシア様。もしかしてお忙しい中、私の葉書きをご覧になって下さったのですか?」
「勿論よ。みんなからの葉書きは一つ残らず目を通してるわよ」
私は目にして数秒。無表情で机の引き出しにしまい込んだ葉書きの束を思い出しながら答える。
(正直赤ちゃんって、みんな同じに見えるんだけど)
可愛くないとは思わない。小動物を愛でる感じで十分可愛いとは思う。けれど「ふーん、可愛い」以上の感想がわかないというのが正直なところだ。
(だからって捨てるわけにもいかないし)
溜まっていく一方なのは困りもの。かといって「いらない」と言えるほど私は強くない。
(だって、子どもの誕生を私にもまだちゃんと教えてくれるってことは、仲間に入れてもらえているということだから)
その事実は私を安心させる。だから便りは嬉しい。けれどみんなが幸せそうな分、焦る気持ちになるのも確かだ。
独身も拗らせるとわりと繊細で厄介なのである。
「わたくしも拝見しましたわ」
「あぁ、あれね。うん、確かにメルダに似てると私も思いましたわ」
「ねぇ、今度会う時は魔法写真を持ち合わない?」
「私もとっておきがあるの。あ、じゃ、今度はみんなで子ども達と並んで魔法写真を撮りましょうよ」
キャッキャウフフと楽しそうな会話は続く。
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