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第1話
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政略結婚、それは貴族として生まれた者は避けることのできない宿命。
親が決めた婚約者がどれほど嫌いであっても、諦めるしかないのだとシューラ・レインスル男爵令嬢は受け止めていた。
残念なことにシューラの婚約者ズーミー・ソネイル子爵令息は、世界にズーミーしか男がいなくとも絶対自らが選ぶことはないと自信を持って言い切れる相手であった。
見た目だけは良い。
さららとした金髪に深い青い瞳、整った顔立ちをして、すらりと背の高い騎士見習いだ。
しかし徹底的に性格や好みが合わない。
家格の低いシューラを下に見て、まるでメイドのように用事を言いつけた。
「おい、レストランに行くぞ!ついてこい」
引きずられるようにズーミーに乗せられた馬車で、最高級と言われるレストランに連れて行かれたシューラは、下女のようにレストランの控室で待機させられた。
勝手に帰ったら何をされるかわからないが、ズーミーは一向に来る気配もなく、さすがに待ちくたびれて腰を上げた時。
「食事が終わったから金を払ってこい!おまえなど金を出すくらいしか使い途がないんだ、しかし俺様のためにおまえが役に立てることがあってよかったと、感謝して払えよ」
そう、ズーミーの飲食代を支払うように強要された。
一口の水すら飲んでいないのに何故と、不満がシューラの顔に浮かぶと、ズーミーはあろうことか拳を振り上げたのだ。
「は、払います」
だからといって、ただの一度だって礼を言ったことも、勿論返してくれたこともない。
金だけ払わされ、乗り合いの馬車に詰め込まれて家に帰される。
こんなことが何度も続いていた。
シューラの父マイクス・レインスル男爵は、一人で起ち上げた商会を国で十本の指に入る大商会に育て上げた成り上がりだ。庶民にまで広く流通を改革し、雇用を広げた功績を認められ男爵を叙爵した元平民で、そんなレインスル家には金だけはある。
そんな出自を馬鹿にした、貧乏子爵の次男ズーミーは、シューラを財布代わりに扱っていたのだ。
「またたかられた!」
しっかり者のシューラは小遣い帳をつけているが、ズーミーと婚約して以来、出る金の大半は贅沢なズーミーの飲食や服飾費に消えている。
「あんなのが婿入りしてきたら、我が家の身代は傾いてしまうのではないかしら・・・」
何かというと「おまえは元平民、私は由緒正しき貴族」と言うズーミーが、どれほどに心底嫌いでも、ソネイル子爵に頼み込まれた婚約を解消することは、男爵家からは叶わず、ひたすら毟り取られるだけの日々であった。
親が決めた婚約者がどれほど嫌いであっても、諦めるしかないのだとシューラ・レインスル男爵令嬢は受け止めていた。
残念なことにシューラの婚約者ズーミー・ソネイル子爵令息は、世界にズーミーしか男がいなくとも絶対自らが選ぶことはないと自信を持って言い切れる相手であった。
見た目だけは良い。
さららとした金髪に深い青い瞳、整った顔立ちをして、すらりと背の高い騎士見習いだ。
しかし徹底的に性格や好みが合わない。
家格の低いシューラを下に見て、まるでメイドのように用事を言いつけた。
「おい、レストランに行くぞ!ついてこい」
引きずられるようにズーミーに乗せられた馬車で、最高級と言われるレストランに連れて行かれたシューラは、下女のようにレストランの控室で待機させられた。
勝手に帰ったら何をされるかわからないが、ズーミーは一向に来る気配もなく、さすがに待ちくたびれて腰を上げた時。
「食事が終わったから金を払ってこい!おまえなど金を出すくらいしか使い途がないんだ、しかし俺様のためにおまえが役に立てることがあってよかったと、感謝して払えよ」
そう、ズーミーの飲食代を支払うように強要された。
一口の水すら飲んでいないのに何故と、不満がシューラの顔に浮かぶと、ズーミーはあろうことか拳を振り上げたのだ。
「は、払います」
だからといって、ただの一度だって礼を言ったことも、勿論返してくれたこともない。
金だけ払わされ、乗り合いの馬車に詰め込まれて家に帰される。
こんなことが何度も続いていた。
シューラの父マイクス・レインスル男爵は、一人で起ち上げた商会を国で十本の指に入る大商会に育て上げた成り上がりだ。庶民にまで広く流通を改革し、雇用を広げた功績を認められ男爵を叙爵した元平民で、そんなレインスル家には金だけはある。
そんな出自を馬鹿にした、貧乏子爵の次男ズーミーは、シューラを財布代わりに扱っていたのだ。
「またたかられた!」
しっかり者のシューラは小遣い帳をつけているが、ズーミーと婚約して以来、出る金の大半は贅沢なズーミーの飲食や服飾費に消えている。
「あんなのが婿入りしてきたら、我が家の身代は傾いてしまうのではないかしら・・・」
何かというと「おまえは元平民、私は由緒正しき貴族」と言うズーミーが、どれほどに心底嫌いでも、ソネイル子爵に頼み込まれた婚約を解消することは、男爵家からは叶わず、ひたすら毟り取られるだけの日々であった。
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