【完結】呪われ令嬢、猫になる

やまぐちこはる

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呪われたエザリア

セイン探りに行く

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 セインはエザリアを休ませると、魔法薬を作りながらこのあとの予定を立て直す。


 ギルドには行こう。
 薬を売って、そのあとサリバー商会の様子を探ってみようと。
商会長の娘が姿を消したのだ、それなりに騒ぎになっているだろう。
 まあセインの元にいるのだからいくら捜索しても無駄なのだが、エザリアが言うように本当に後妻に呪われたのなら、捜し方を見るだけでもその真偽を知ることができるかもしれない。

「エザリア?」

 白猫は仰向けで腹を出し、鼻をすぴすぴ鳴らしながら眠っている。

「気持ち良さそうだなあ」

 そのリラックスした姿は呪われたようには見えないが。

 もし自分が呪われて、明日目が覚めると猫になっていたらとセインは考える。
 言葉も通じず、どうやって猫として生きていけるだろうか。
 お嬢様育ちだろうエザリアの頭の切り替えの良さ、気持ちの強さや柔軟さ、そしてその逞しさに敬服する。

 小さな猫に心から尊敬の念を抱いた。





「エザリア、ちょっと町に行ってくるよ」

 起こすのはかわいそうだと、小さな声で囁やきメモを書いて。
茹でたとり肉を皿に乗せ、魔法薬を詰めたリュックを背負って外に出ると、店の前に「ただいま外出中」と札をかけて歩き出した。

 町までは大人の足なら一時間もかからない。
薬草の採取がてら、歩いて行くのがいつものセインのスタイルだが、今日は早く帰りたいので馬に乗った。




 まずはギルドに行く。

「こんちわ」
「セインさん、ちょうどよかった!」

 ギルドは担当が決まっている。
セインの担当はいないようだが、顔見知りのギルド職員サリュールが手招きしていた。

「なんていいときに来てくれたんだ!騎士団に頼まれていたものが足りなくなってね。今日傷薬持ってるかな?」

 こくこくして、リュックから二種の傷薬、バームとスプレータイプのものを引っ張り出すと、サリュールはバームを受け取った。

「おお、これこれ!助かったぁ!何個あるかな?」
「バームは十個あるけど足りる?」
「足りる~!助かる!恩に着る!」

 なんとも調子のいい男である。
セインは他の薬もカウンターに乗せながら、サリュールにサリバー商会について訊いてみた。

「サリバー商会?セインさん取引してるのか?」
「いや、したことはないんだけど。北方で織物を仕入れてるって聞いて、冬に備えて暖かな絨毯がほしいなって思っていてね」

 適当に思いついて言ったが、サリュールは「ああ!」と納得している。

「セインさんのところ、冬は寒そうだもんな」

 歩いて一時間ほどの距離だが、その距離が気候を大きく分けている。
町は冬でも滅多に雪が降らないが、森では雪が積もることがしばしばあった。

「俺サリバー商会に友だちがいるから、よかったら紹介しようか?俺の紹介なら安くしてくれるからさ」

 セインにとって渡りに舟のようなサリュールの提案!

「助かるよ、ぜひお願いしたい」
「今日は互いに助け合いの日だな!またいいタイミングで頼むよ」

 ニッと笑うサリュール。

「本店じゃなくて二番街の支店にいるんだが、場所わかるかな?友だちは黒髪でひょろっと背が高いからすぐにわかると思うけど、名前はヨラン。いつも店番してるから俺の紹介だって言ってくれ。必ずギルドのイーノの紹介って言うんだぞ」
「イーノ?」
「ああ、イーノ・サリュールか、イーノって言ってくれ」

 そう言うと、サリュールはさらさらと地図を書いて渡してくれた。



■□■

 お読み頂きありがとうございます。

当面は6時、12時、18時で一日三話更新しますのでサクサク読み進めて頂けると思います。
どうぞよろしくお願いいたします。

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