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呪われたエザリア
白猫からの指示
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「サリバー商会の本店で店員が噂話をしているのを耳にしたんだ」
猫がパタンと音を立てて尻尾を振った。
「まずエザリアは家出したことになっているらしい。シュマーという人が後妻かい?」
メモを見ながらセインが訊ねると、猫が頷く。
「その後妻がね、君が後妻たちを虐め、お父さんが戻る前に逃げ出したと言ってるらしいんだが、店員のひとりは信じていないようだった。逆だろうから避難してるに違いないって言っていたよ」
猫がこくこくする。
「栗毛の髪をまとめた若い男性で」
猫の目がくりんと動いたと思うと、前足で文字盤をささっと指す。
『すみる』
「彼はスミルさんというの?」
「ニャッ」
そうらしい。
セインは髪をまとめた男の絵を書いていた、そこにスミルと書き入れる。
「もうひとりはどうかな?くるくるの癖毛で眉も真っ黒で」
最後まで言い追わないうちに、また文字盤を使い始めた猫。
『もいとす』
「モイトス?」
「ニャッ」
「彼らは君のお父さんに知らせたほうがいいって言ってたよ」
こくこく。
「しらせる いう すみるに」
文字盤を使いこなす猫、いや、猫ではないが。
エザリアをじっと見るセインの視線に気づき、顔を上げた猫。
いや、猫ではないが。
「ああ、ごめんよ不躾にジロジロ見て。どうしてこんなに完璧に猫なんだろうと思って。どんな魔導師がこの呪いをかけたんだろうな」
セインの言葉にエザリアもハッとした。
(確かに。そんな魔導師の噂も私は聞いたことないけど、シュマーはどこで繋がってるんだろう)
首を傾げる可愛らしい猫を堪能しながらセインは続ける。
「後妻が犯人だとしても自分で呪いをかけられたわけじゃないと思うから、のちの安全を考えたら魔導師も押さえないと」
(本当にそうだ!セイン、いいこと言う!そこまで考えてなかったわ)
エザリアは新しい気づきを与えてくれた、その礼の代わりにセインに頭を擦りつけながら考える。
(スミルとモイトスか。それならスミルよね。突拍子もないことでも面白がってくれるタイプだから。でも信じてくれるかな?)
エザリアは決断した。
『すみる あう』
「え?大丈夫?今の君を見てもスミルさんは大丈夫な人かい?」
一瞬の間のあと、猫はこくんと頷いた。
「わかった。じゃあ、明日もう一度町に行ってみる。うまく彼だけに接触できるといいんだけど」
うんうん。
『おねがい』
─不思議な気持ちだ。猫に指図されて人に会いに行くなんて─
セインは今もどこかで、やっぱりエザリアは魔猫かなにかで自分は騙されてたりしてないだろうかと思ったりしている。
何しろ完璧な猫なのだ。
どこからどう見ても猫だ。
しかもとびきり可愛い猫だ。
─呪いが解けたら、人間に戻っちゃうんだなぁ。エザリアって人間のときどんなだったんだろうな。
ん?人間に戻るときってどう戻るんだろう?いや、いかんいかん、余計なことを考えるなよセイン!─
ひとり森の中を歩きながら、笑ったりハッとしたり、首をぷるぷると振ったりしょぼんとしたり、誰かがいたら不審者に間違えられそうなセインは、あと少しで町に着くというところでふと思いついた。
エザリアに呪いをかけた後妻の顔を見てみたくなったのだ。
しかし、商会の場所はわかっても自宅まではわからない。
「そこはエザリアに聞いてみよう。まずはスミルさんだ、セイン!」
■□■
お読み頂きありがとうございます。
当面は6時、12時、18時で一日三話更新しますのでサクサク読み進めて頂けると思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
※【最新話を読む】機能を使うと読み飛ばす可能性がありますので、【しおりから読む】をお勧めします。
【お気に入り】にも是非ポチっとお願いいたします(_ _)
猫がパタンと音を立てて尻尾を振った。
「まずエザリアは家出したことになっているらしい。シュマーという人が後妻かい?」
メモを見ながらセインが訊ねると、猫が頷く。
「その後妻がね、君が後妻たちを虐め、お父さんが戻る前に逃げ出したと言ってるらしいんだが、店員のひとりは信じていないようだった。逆だろうから避難してるに違いないって言っていたよ」
猫がこくこくする。
「栗毛の髪をまとめた若い男性で」
猫の目がくりんと動いたと思うと、前足で文字盤をささっと指す。
『すみる』
「彼はスミルさんというの?」
「ニャッ」
そうらしい。
セインは髪をまとめた男の絵を書いていた、そこにスミルと書き入れる。
「もうひとりはどうかな?くるくるの癖毛で眉も真っ黒で」
最後まで言い追わないうちに、また文字盤を使い始めた猫。
『もいとす』
「モイトス?」
「ニャッ」
「彼らは君のお父さんに知らせたほうがいいって言ってたよ」
こくこく。
「しらせる いう すみるに」
文字盤を使いこなす猫、いや、猫ではないが。
エザリアをじっと見るセインの視線に気づき、顔を上げた猫。
いや、猫ではないが。
「ああ、ごめんよ不躾にジロジロ見て。どうしてこんなに完璧に猫なんだろうと思って。どんな魔導師がこの呪いをかけたんだろうな」
セインの言葉にエザリアもハッとした。
(確かに。そんな魔導師の噂も私は聞いたことないけど、シュマーはどこで繋がってるんだろう)
首を傾げる可愛らしい猫を堪能しながらセインは続ける。
「後妻が犯人だとしても自分で呪いをかけられたわけじゃないと思うから、のちの安全を考えたら魔導師も押さえないと」
(本当にそうだ!セイン、いいこと言う!そこまで考えてなかったわ)
エザリアは新しい気づきを与えてくれた、その礼の代わりにセインに頭を擦りつけながら考える。
(スミルとモイトスか。それならスミルよね。突拍子もないことでも面白がってくれるタイプだから。でも信じてくれるかな?)
エザリアは決断した。
『すみる あう』
「え?大丈夫?今の君を見てもスミルさんは大丈夫な人かい?」
一瞬の間のあと、猫はこくんと頷いた。
「わかった。じゃあ、明日もう一度町に行ってみる。うまく彼だけに接触できるといいんだけど」
うんうん。
『おねがい』
─不思議な気持ちだ。猫に指図されて人に会いに行くなんて─
セインは今もどこかで、やっぱりエザリアは魔猫かなにかで自分は騙されてたりしてないだろうかと思ったりしている。
何しろ完璧な猫なのだ。
どこからどう見ても猫だ。
しかもとびきり可愛い猫だ。
─呪いが解けたら、人間に戻っちゃうんだなぁ。エザリアって人間のときどんなだったんだろうな。
ん?人間に戻るときってどう戻るんだろう?いや、いかんいかん、余計なことを考えるなよセイン!─
ひとり森の中を歩きながら、笑ったりハッとしたり、首をぷるぷると振ったりしょぼんとしたり、誰かがいたら不審者に間違えられそうなセインは、あと少しで町に着くというところでふと思いついた。
エザリアに呪いをかけた後妻の顔を見てみたくなったのだ。
しかし、商会の場所はわかっても自宅まではわからない。
「そこはエザリアに聞いてみよう。まずはスミルさんだ、セイン!」
■□■
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