20 / 126
呪われたエザリア
長い睫毛
あたたかな夕食に好みのハーブを使わせることができ、ご満悦のエザリアは満腹の腹を天井に向けて転がっている。
ただ転がっているわけではなく、ちゃんと考え事をしている。
(スミルが言うように、シュマーの言うことをお父様が何でも信じてしまって、シュマーのやることを全部許すとしたら?その理由はシュマーにぞっこんか、もしくは魔法で操られてる?)
後妻に迎えたくらいだ。
それなりに好意はあるのだろう。
なのだが、その再婚はエザリアにとり随分と唐突なものだった。
ある日、前置きの一言も言わず、下働きだったはずのシュマーとその娘ロズリンに贅沢な服を着せたと思うと言ったのだ。
「今日からおまえのお母様と妹だ」
驚いたが、それでも屋敷や商会の権限をシュマーたちには与えず、エザリアが後継者として扱われていた。
今までは。
(お父様はシュマーの願いを無条件に何でも許してなどいなかった。だめはだめってちゃんと言う方よ!)
でもスミルの心配を、エザリアは聞き流すことができない何かを感じている。
(もしお父様が、調べればわかるようなことで、私よりシュマーを信じてしまうとしたら、やっぱり魔法か何かで操作されている可能性もあるわね。私をこんな姿にできるほどの魔導師がついてるのだから)
白猫は、うんしょっと体を起こしてセインの隣に座る。
帰らせるのは危ない時間だからと今夜はスミルも泊まっているが、スミルは客室を充てがわれているのでここにはいない。
エザリアは隣りで寝入るセインを見た。
暗くてもよくみえるのが、猫になってみて気に入ったことの一つである。
栗色のやわらかそうな髪はさらさらとしていて、寝ているときは顔の向きに合わせて髪も流れ、仰向けの今は目も眉も額も全開だ。
(睫毛ながーい)
小首を傾げてエザリアはセインの顔の全貌をしげしげと見つめた。
伸ばし放題の前髪に隠された瞳は、今は閉じているが、大きく切れ長で長い睫毛がびっしりと生えている。
(この世の女性たちみんなが欲しがりそうな睫毛だわ!羨ましい)
起きているときは、この睫毛に縁取られたブラウンの瞳がエザリアを見守ってくれている。
輪郭は面長、鼻筋は高過ぎずスッと通っていて、整った健康そうなピンク色の唇。
(髪をもう少しだけ短くして瞳を見せたら、女の子に追いかけ回されそうだわ)
この容姿にやさしい人柄、料理もうまい!それに若くして魔法医薬師だなんて。
魔法は、エザリアもだが使えない者が多い。
薬を調合するだけの魔力があり、魔法を使いこなしているのは凄いことなのだ。
それに魔法医薬師の標榜が許されるだけの知識もあるなんて。
(考えたらセインってすごい優良物件じゃないかしら!)
そう気づいた時、エザリアは急にセインの胸の上で眠るのが恥ずかしくなった。
いくら猫の姿だからといって、お腹を見せて仰向けで寝ていたりとか、なんなら口が開いていたこともある。
貴族の令嬢なのに、なんて遠慮のない言動だったのかとカッと頬が熱くなった。
(せめて、セインにくっつくのはやめて、ソファで寝ることにしよう)
猫暮らしが板につき始め、忘れかけていた恥じらいをエザリアは久しぶりに取り戻していた。
■□■
お読み頂きありがとうございます。
今日は6時、12時、18時、21時で4話更新しています。今日の更新はこれで終わりとなりますので、また明日よろしくお願いします。
明日も4話更新予定です(*^^*)
※【最新話を読む】機能を使うと読み飛ばす可能性がありますので、【しおりから読む】をお勧めします。
【お気に入り】にも是非ポチっとお願いいたします(_ _)
ただ転がっているわけではなく、ちゃんと考え事をしている。
(スミルが言うように、シュマーの言うことをお父様が何でも信じてしまって、シュマーのやることを全部許すとしたら?その理由はシュマーにぞっこんか、もしくは魔法で操られてる?)
後妻に迎えたくらいだ。
それなりに好意はあるのだろう。
なのだが、その再婚はエザリアにとり随分と唐突なものだった。
ある日、前置きの一言も言わず、下働きだったはずのシュマーとその娘ロズリンに贅沢な服を着せたと思うと言ったのだ。
「今日からおまえのお母様と妹だ」
驚いたが、それでも屋敷や商会の権限をシュマーたちには与えず、エザリアが後継者として扱われていた。
今までは。
(お父様はシュマーの願いを無条件に何でも許してなどいなかった。だめはだめってちゃんと言う方よ!)
でもスミルの心配を、エザリアは聞き流すことができない何かを感じている。
(もしお父様が、調べればわかるようなことで、私よりシュマーを信じてしまうとしたら、やっぱり魔法か何かで操作されている可能性もあるわね。私をこんな姿にできるほどの魔導師がついてるのだから)
白猫は、うんしょっと体を起こしてセインの隣に座る。
帰らせるのは危ない時間だからと今夜はスミルも泊まっているが、スミルは客室を充てがわれているのでここにはいない。
エザリアは隣りで寝入るセインを見た。
暗くてもよくみえるのが、猫になってみて気に入ったことの一つである。
栗色のやわらかそうな髪はさらさらとしていて、寝ているときは顔の向きに合わせて髪も流れ、仰向けの今は目も眉も額も全開だ。
(睫毛ながーい)
小首を傾げてエザリアはセインの顔の全貌をしげしげと見つめた。
伸ばし放題の前髪に隠された瞳は、今は閉じているが、大きく切れ長で長い睫毛がびっしりと生えている。
(この世の女性たちみんなが欲しがりそうな睫毛だわ!羨ましい)
起きているときは、この睫毛に縁取られたブラウンの瞳がエザリアを見守ってくれている。
輪郭は面長、鼻筋は高過ぎずスッと通っていて、整った健康そうなピンク色の唇。
(髪をもう少しだけ短くして瞳を見せたら、女の子に追いかけ回されそうだわ)
この容姿にやさしい人柄、料理もうまい!それに若くして魔法医薬師だなんて。
魔法は、エザリアもだが使えない者が多い。
薬を調合するだけの魔力があり、魔法を使いこなしているのは凄いことなのだ。
それに魔法医薬師の標榜が許されるだけの知識もあるなんて。
(考えたらセインってすごい優良物件じゃないかしら!)
そう気づいた時、エザリアは急にセインの胸の上で眠るのが恥ずかしくなった。
いくら猫の姿だからといって、お腹を見せて仰向けで寝ていたりとか、なんなら口が開いていたこともある。
貴族の令嬢なのに、なんて遠慮のない言動だったのかとカッと頬が熱くなった。
(せめて、セインにくっつくのはやめて、ソファで寝ることにしよう)
猫暮らしが板につき始め、忘れかけていた恥じらいをエザリアは久しぶりに取り戻していた。
■□■
お読み頂きありがとうございます。
今日は6時、12時、18時、21時で4話更新しています。今日の更新はこれで終わりとなりますので、また明日よろしくお願いします。
明日も4話更新予定です(*^^*)
※【最新話を読む】機能を使うと読み飛ばす可能性がありますので、【しおりから読む】をお勧めします。
【お気に入り】にも是非ポチっとお願いいたします(_ _)
あなたにおすすめの小説
掃除婦に追いやられた私、城のゴミ山から古代兵器を次々と発掘して国中、世界中?がざわつく
タマ マコト
ファンタジー
王立工房の魔導測量師見習いリーナは、誰にも測れない“失われた魔力波長”を感じ取れるせいで奇人扱いされ、派閥争いのスケープゴートにされて掃除婦として城のゴミ置き場に追いやられる。
最底辺の仕事に落ちた彼女は、ゴミ山の中から自分にだけ見える微かな光を見つけ、それを磨き上げた結果、朽ちた金属片が古代兵器アークレールとして完全復活し、世界の均衡を揺るがす存在としての第一歩を踏み出す。
【完結】令嬢は売られ、捨てられ、治療師として頑張ります。
まるねこ
ファンタジー
魔法が使えなかったせいで落ちこぼれ街道を突っ走り、伯爵家から売られたソフィ。
泣きっ面に蜂とはこの事、売られた先で魔物と出くわし、置いて逃げられる。
それでも挫けず平民として仕事を頑張るわ!
【手直しての再掲載です】
いつも通り、ふんわり設定です。
いつも悩んでおりますが、カテ変更しました。ファンタジーカップには参加しておりません。のんびりです。(*´꒳`*)
Copyright©︎2022-まるねこ
笑い方を忘れた令嬢
Blue
恋愛
お母様が天国へと旅立ってから10年の月日が流れた。大好きなお父様と二人で過ごす日々に突然終止符が打たれる。突然やって来た新しい家族。病で倒れてしまったお父様。私を嫌な目つきで見てくる伯父様。どうしたらいいの?誰か、助けて。
転生悪役令嬢に仕立て上げられた幸運の女神様は家門から勘当されたので、自由に生きるため、もう、ほっといてください。今更戻ってこいは遅いです
青の雀
ファンタジー
公爵令嬢ステファニー・エストロゲンは、学園の卒業パーティで第2王子のマリオットから突然、婚約破棄を告げられる
それも事実ではない男爵令嬢のリリアーヌ嬢を苛めたという冤罪を掛けられ、問答無用でマリオットから殴り飛ばされ意識を失ってしまう
そのショックで、ステファニーは前世社畜OL だった記憶を思い出し、日本料理を提供するファミリーレストランを開業することを思いつく
公爵令嬢として、持ち出せる宝石をなぜか物心ついたときには、すでに貯めていて、それを原資として開業するつもりでいる
この国では婚約破棄された令嬢は、キズモノとして扱われることから、なんとか自立しようと修道院回避のために幼いときから貯金していたみたいだった
足取り重く公爵邸に帰ったステファニーに待ち構えていたのが、父からの勘当宣告で……
エストロゲン家では、昔から異能をもって生まれてくるということを当然としている家柄で、異能を持たないステファニーは、前から肩身の狭い思いをしていた
修道院へ行くか、勘当を甘んじて受け入れるか、二者択一を迫られたステファニーは翌早朝にこっそり、家を出た
ステファニー自身は忘れているが、実は女神の化身で何代前の過去に人間との恋でいさかいがあり、無念が残っていたので、神界に帰らず、人間界の中で転生を繰り返すうちに、自分自身が女神であるということを忘れている
エストロゲン家の人々は、ステファニーの恩恵を受け異能を覚醒したということを知らない
ステファニーを追い出したことにより、次々に異能が消えていく……
4/20ようやく誤字チェックが完了しました
もしまだ、何かお気づきの点がありましたら、ご報告お待ち申し上げておりますm(_)m
いったん終了します
思いがけずに長くなってしまいましたので、各単元ごとはショートショートなのですが(笑)
平民女性に転生して、下剋上をするという話も面白いかなぁと
気が向いたら書きますね
追放聖女35歳、拾われ王妃になりました
真曽木トウル
恋愛
王女ルイーズは、両親と王太子だった兄を亡くした20歳から15年間、祖国を“聖女”として統治した。
自分は結婚も即位もすることなく、愛する兄の娘が女王として即位するまで国を守るために……。
ところが兄の娘メアリーと宰相たちの裏切りに遭い、自分が追放されることになってしまう。
とりあえず亡き母の母国に身を寄せようと考えたルイーズだったが、なぜか大学の学友だった他国の王ウィルフレッドが「うちに来い」と迎えに来る。
彼はルイーズが15年前に求婚を断った相手。
聖職者が必要なのかと思いきや、なぜかもう一回求婚されて??
大人なようで素直じゃない2人の両片想い婚。
●他作品とは特に世界観のつながりはありません。
●『小説家になろう』に先行して掲載しております。
幸せなお飾りの妻になります!
風見ゆうみ
恋愛
私、アイリス・ノマド男爵令嬢は、幼い頃から家族のイタズラ癖に悩まされ、少しでも早く自立しようと考えていた。
婚約者のロバート・デヴァイスと、家族と共に出席した夜会で、ロバートから突然、婚約破棄を宣言された上に、私の妹と一緒になりたいと言われてしまう。
ショックで会場を出ようとすると引き止められ、さっきの発言はいつものイタズラだと言われる。
イタズラにも程があると会場を飛び出した私の前に現れたのは、パーティーの主催者であるリアム・マオニール公爵だった。
一部始終を見ていた彼は、お飾りの妻を探しているといい、家族から逃げ出したかった私は彼の元へと嫁ぐ事になった。
屋敷の人もとても優しくて、こんなに幸せでいいの?
幸せを感じていたのも束の間、両親や妹、そして元婚約者が私に戻ってこいと言い出しはじめて――。
今更、後悔されても知らないわ!
※作者独自の異世界の世界観であり、設定はゆるゆるで、ご都合主義です。
※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。
伯爵令嬢アンマリアのダイエット大作戦
未羊
ファンタジー
気が付くとまん丸と太った少女だった?!
痩せたいのに食事を制限しても運動をしても太っていってしまう。
一体私が何をしたというのよーっ!
驚愕の異世界転生、始まり始まり。
【完結】レイハート公爵夫人の時戻し
風見ゆうみ
恋愛
公爵夫人である母が亡くなったのは、私、ソラリアが二歳になり、妹のソレイユが生まれてすぐのことだ。だから、母の記憶はないに等しい。
そんな母が私宛に残していたものがあった。
青色の押し花付きの白い封筒に入った便箋が三枚。
一枚目には【愛するソラリアへ】三枚目に【母より】それ以外、何も書かれていなかった。
父の死後、女性は爵位を継ぐことができないため、私は公爵代理として、領民のために尽くした。
十九歳になった私は、婚約者に婿入りしてもらい、彼に公爵の爵位を継いでもらった。幸せな日々が続くかと思ったが、彼との子供を授かったとわかった数日後、私は夫と実の妹に殺されてしまう。
けれど、気がついた時には、ちょうど一年前になる初夜の晩に戻っており、空白だったはずの母からの手紙が読めるようになっていた。
殺されたことで羊の形をした使い魔が見えるようになっただけでなく『時戻しの魔法』を使えるようになった私は、爵位を取り返し、妹と夫を家から追い出すことに決める。だが、気弱な夫は「ソラリアを愛している。別れたくない」と泣くばかりで、離婚を認めてくれず――。