28 / 126
呪われたエザリア
ドレイラ家にて
しおりを挟む
重大な役目を背負い、スミルは町に戻った。
「ランチのときに・・・か」
こんな込み入った話を、ランチしながら話せるものだろうか?
そんな静かな店?いや静かな店で他の客に話が聞こえてもまずいと今更気がついたが、個室やパーテーションのある店でどこか良さそうな店はあっただろうか?
考えながら馬を歩かせていると、騎士団の前についてしまった。
「ニストさん」
頭をまとめる間もなく、ジョルに声をかけられる。
どうやら思っていたより時間が経っていたらしく、待たせていたと気がついた。
「遅れて申し訳ありません!」
馬から飛び降りようとしたスミルを手で押し留め、ジョルも自分の馬に飛び乗った。
「では行こうか」
「あの、どこに行かれるのでしょうか?」
「ああ。考えたのだが、ナレスの手紙を読む限りその辺の食堂で気軽に話せることではなさそうだからな。私の屋敷に行こう」
可も不可も答える間もなく、スミルはドレイラ騎士爵家に引っ張っていかれた。
「さあ、どうぞ」
門番はいない。
高い鉄柵に囲まれた中に、小さな屋敷が建っている。
貴族の屋敷というには狭いが、平民の家と言うには広く立派な佇まい。
武功をあげて騎士爵を賜った平民にはちょうどよい家だと、スミルは判断した。
ジョルは馬を下りると自分でゲートを開けて、スミルを誘う。
驚いたことにエントランス隣りのドアを開けると馬房があり、馬を入れたあと、奥の扉を開けると室内と繋がっていた!
「そんなに驚いたか?」
「ええ、だって家の中に馬もいるんですよね?」
「ああ。馬も家族だから私にとっては当然のことだ。馬房を外に作るより、この方が早いしな」
合理的な性格らしいジョルについていくと、食堂に連れて行かれた。
(普通はまず応接じゃないか?)
スミルの心の声が聞こえたかのように、ジョルが言い訳をする。
「うちは通いの賄いがいてね、今日は昼を二人分食堂に置いておくよう伝えてあるんだ」
ジョルの言うとおり、食堂にはやや冷めかけたランチが用意されていた。
「まずは頂こう。冷めてしまう前にね」
騎士らしく、量が多い。
それをザクザクと口に放り込んでいくジョルの速さに、スミルも焦って食べ終えた。
味はまったくわからなかった。
「茶を淹れるから少し待っていてくれ」
ジョルの大きな手に持たれたティーソーサーはえらく小さく見える。
(トレーに乗せたりはしないんだな)
雑といえば雑。
でも飾り気のないジョルに、スミルは好感を抱いた。
「ニストさんはナレスが私に送ってきた手紙の内容は知っているのかな?」
「いえ。知りませんが、想像はつきます。元は俺が、私がナレスさんに知らせたことなので」
「なるほど。だから詳細はニストさんに聞けとあったんだな」
ふむふむと何かメモを取り始めた。
「ナレスから個人的かつ内密に調べてほしいと言ってきたのはふたつについてだ。一つはシュマー・サリバーの過去、人物像、最近の動向。
ふたつめは行方不明と言われているエザリア・サリバーについて。昨日騎士団の捜索届を確認したが、出されていないことは確認している」
ジョルの眉間に皺が寄った。
「ランチのときに・・・か」
こんな込み入った話を、ランチしながら話せるものだろうか?
そんな静かな店?いや静かな店で他の客に話が聞こえてもまずいと今更気がついたが、個室やパーテーションのある店でどこか良さそうな店はあっただろうか?
考えながら馬を歩かせていると、騎士団の前についてしまった。
「ニストさん」
頭をまとめる間もなく、ジョルに声をかけられる。
どうやら思っていたより時間が経っていたらしく、待たせていたと気がついた。
「遅れて申し訳ありません!」
馬から飛び降りようとしたスミルを手で押し留め、ジョルも自分の馬に飛び乗った。
「では行こうか」
「あの、どこに行かれるのでしょうか?」
「ああ。考えたのだが、ナレスの手紙を読む限りその辺の食堂で気軽に話せることではなさそうだからな。私の屋敷に行こう」
可も不可も答える間もなく、スミルはドレイラ騎士爵家に引っ張っていかれた。
「さあ、どうぞ」
門番はいない。
高い鉄柵に囲まれた中に、小さな屋敷が建っている。
貴族の屋敷というには狭いが、平民の家と言うには広く立派な佇まい。
武功をあげて騎士爵を賜った平民にはちょうどよい家だと、スミルは判断した。
ジョルは馬を下りると自分でゲートを開けて、スミルを誘う。
驚いたことにエントランス隣りのドアを開けると馬房があり、馬を入れたあと、奥の扉を開けると室内と繋がっていた!
「そんなに驚いたか?」
「ええ、だって家の中に馬もいるんですよね?」
「ああ。馬も家族だから私にとっては当然のことだ。馬房を外に作るより、この方が早いしな」
合理的な性格らしいジョルについていくと、食堂に連れて行かれた。
(普通はまず応接じゃないか?)
スミルの心の声が聞こえたかのように、ジョルが言い訳をする。
「うちは通いの賄いがいてね、今日は昼を二人分食堂に置いておくよう伝えてあるんだ」
ジョルの言うとおり、食堂にはやや冷めかけたランチが用意されていた。
「まずは頂こう。冷めてしまう前にね」
騎士らしく、量が多い。
それをザクザクと口に放り込んでいくジョルの速さに、スミルも焦って食べ終えた。
味はまったくわからなかった。
「茶を淹れるから少し待っていてくれ」
ジョルの大きな手に持たれたティーソーサーはえらく小さく見える。
(トレーに乗せたりはしないんだな)
雑といえば雑。
でも飾り気のないジョルに、スミルは好感を抱いた。
「ニストさんはナレスが私に送ってきた手紙の内容は知っているのかな?」
「いえ。知りませんが、想像はつきます。元は俺が、私がナレスさんに知らせたことなので」
「なるほど。だから詳細はニストさんに聞けとあったんだな」
ふむふむと何かメモを取り始めた。
「ナレスから個人的かつ内密に調べてほしいと言ってきたのはふたつについてだ。一つはシュマー・サリバーの過去、人物像、最近の動向。
ふたつめは行方不明と言われているエザリア・サリバーについて。昨日騎士団の捜索届を確認したが、出されていないことは確認している」
ジョルの眉間に皺が寄った。
10
あなたにおすすめの小説
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
『処刑されるたびに12歳に戻る悪役令嬢、7回目の人生は「何もせず寝て過ごす」ことに決めたら、なぜか周囲が勝手に勘違いして聖女扱いされています
六角
恋愛
公爵令嬢リリアーナは、18歳の誕生日に必ず断罪・処刑されては12歳に戻るという地獄のループを6回も繰り返していた。 真面目に努力しても、剣を極めても、裏社会を支配しても、結局は殺される運命。 心折れた彼女は、7回目の人生でついに決意する。 「もう頑張らない。どうせ死ぬなら、今回はひたすら寝て過ごそう」と。
しかし、安眠を求めて「うるさい」と敵を黙らせれば『王者の覇気』と恐れられ、寝ぼけて放った魔法は『神の奇跡』と崇められ、枕への異常なこだわりは『深遠なる儀式』と誤解されてしまう。 気がつけば、ストーカー気味のヤンデレ王子、パン屋の元ヒロイン、狂犬の如きライバル令嬢、元部下の暗殺者、そして不眠症の魔王までもが彼女の信者となり、リリアーナは意図せずして国を、そして世界を救う「最強の聖女」へと祭り上げられていく。
「お願いだから、私を寝かせて!」 睡眠欲だけで運命(システム)さえもねじ伏せる、無気力悪役令嬢の痛快勘違いサクセス(?)ストーリー!
【完結】パパ、私は犯人じゃないよ ~処刑予定の私、冷徹公爵(パパ)に溺愛されるまで~
チャビューヘ
ファンタジー
※タイトル変更しました。
「掃除(処分)しろ」と私を捨てた冷徹な父。生き残るために「心を無」にして媚びを売ったら。
「……お前の声だけが、うるさくない」
心の声が聞こえるパパと、それを知らずに生存戦略を練る娘の物語。
-----
感想送っていただいている皆様へ
たくさんの嬉しい言葉や厳しい意見も届いており一つ一つがすごく嬉しいのと頑張ろうと感じています。ご意見を元に修正必要な部分は随時更新していきます。
成長のため感想欄を閉じませんが公開はする予定ありません。ですが必ず全て目を通しています。拙作にお時間を頂きありがとうございます。これからもよろしくお願いします。
美男美女の同僚のおまけとして異世界召喚された私、ゴミ無能扱いされ王城から叩き出されるも、才能を見出してくれた隣国の王子様とスローライフ
さら
恋愛
会社では地味で目立たない、ただの事務員だった私。
ある日突然、美男美女の同僚二人のおまけとして、異世界に召喚されてしまった。
けれど、測定された“能力値”は最低。
「無能」「お荷物」「役立たず」と王たちに笑われ、王城を追い出されて――私は一人、行くあてもなく途方に暮れていた。
そんな私を拾ってくれたのは、隣国の第二王子・レオン。
優しく、誠実で、誰よりも人の心を見てくれる人だった。
彼に導かれ、私は“癒しの力”を持つことを知る。
人の心を穏やかにし、傷を癒す――それは“無能”と呼ばれた私だけが持っていた奇跡だった。
やがて、王子と共に過ごす穏やかな日々の中で芽生える、恋の予感。
不器用だけど優しい彼の言葉に、心が少しずつ満たされていく。
【完結】転生したら悪役継母でした
入魚ひえん@発売中◆巻き戻り冤罪令嬢◆
恋愛
聖女を優先する夫に避けられていたアルージュ。
その夜、夫が初めて寝室にやってきて命じたのは「聖女の隠し子を匿え」という理不尽なものだった。
しかも隠し子は、夫と同じ髪の色。
絶望するアルージュはよろめいて鏡にぶつかり、前世に読んだウェブ小説の悪妻に転生していることを思い出す。
記憶を取り戻すと、七年間も苦しんだ夫への愛は綺麗さっぱり消えた。
夫に奪われていたもの、不正の事実を着々と精算していく。
◆愛されない悪妻が前世を思い出して転身したら、可愛い継子や最強の旦那様ができて、転生前の知識でスイーツやグルメ、家電を再現していく、異世界転生ファンタジー!◆
*旧題:転生したら悪妻でした
【完結】旦那様、どうぞ王女様とお幸せに!~転生妻は離婚してもふもふライフをエンジョイしようと思います~
魯恒凛
恋愛
地味で気弱なクラリスは夫とは結婚して二年経つのにいまだに触れられることもなく、会話もない。伯爵夫人とは思えないほど使用人たちにいびられ冷遇される日々。魔獣騎士として人気の高い夫と国民の妹として愛される王女の仲を引き裂いたとして、巷では悪女クラリスへの風当たりがきついのだ。
ある日前世の記憶が甦ったクラリスは悟る。若いクラリスにこんな状況はもったいない。白い結婚を理由に円満離婚をして、夫には王女と幸せになってもらおうと決意する。そして、離婚後は田舎でもふもふカフェを開こうと……!
そのためにこっそり仕事を始めたものの、ひょんなことから夫と友達に!?
「好きな相手とどうやったらうまくいくか教えてほしい」
初恋だった夫。胸が痛むけど、お互いの幸せのために王女との仲を応援することに。
でもなんだか様子がおかしくて……?
不器用で一途な夫と前世の記憶が甦ったサバサバ妻の、すれ違い両片思いのラブコメディ。
※5/19〜5/21 HOTランキング1位!たくさんの方にお読みいただきありがとうございます
※他サイトでも公開しています。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
隣国が戦を仕掛けてきたので返り討ちにし、人質として三国の王女を貰い受けました
しろねこ。
恋愛
三国から攻め入られ、四面楚歌の絶体絶命の危機だったけど、何とか戦を終わらせられました。
つきましては和平の為の政略結婚に移ります。
冷酷と呼ばれる第一王子。
脳筋マッチョの第二王子。
要領良しな腹黒第三王子。
選ぶのは三人の難ありな王子様方。
宝石と貴金属が有名なパルス国。
騎士と聖女がいるシェスタ国。
緑が多く農業盛んなセラフィム国。
それぞれの国から王女を貰い受けたいと思います。
戦を仕掛けた事を後悔してもらいましょう。
ご都合主義、ハピエン、両片想い大好きな作者による作品です。
現在10万字以上となっています、私の作品で一番長いです。
基本甘々です。
同名キャラにて、様々な作品を書いています。
作品によりキャラの性格、立場が違いますので、それぞれの差分をお楽しみ下さい。
全員ではないですが、イメージイラストあります。
皆様の心に残るような、そして自分の好みを詰め込んだ甘々な作品を書いていきますので、よろしくお願い致します(*´ω`*)
カクヨムさんでも投稿中で、そちらでコンテスト参加している作品となりますm(_ _)m
小説家になろうさん、ネオページさんでも掲載中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる