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呪われたエザリア
グルドラという女 1
■□■
グルドラ三話一気に更新します。
■□■
サリバー男爵家では、シュマーが待てど暮らせど戻らないブラスとロリンに苛ついていた。
「旦那様は商談が長引いてるというから仕方ないけど、ロリンは一体どうしたのかしら」
実家の様子を見に行くと休みを取ったロリンが、それっきり戻ってこなくなったのだ。
「母さん、ロリン逃げたんじゃないわよね?」
「なぜロリンが逃げるのよ?
まだ私たち財産を手に入れてないのよ?旦那様にロズリンを後継者にすると城に届けを出させないと!そうしたらロリンが旦那様も・・・してくれることになってるんだから!計画がバレたならともかく、すべてうまくいってるのに」
ロリンがいなければ自分の計画は成功しないとシュマーは理解している。
場末の食堂でロズリンと愚痴っていた時、いい話があるとロリンが声をかけてきて知り合った。
胡散臭いと思ったが、ちょっとロリンの言うことを聞いただけでサリバー男爵家の使用人になることができ、後にブラスの後妻におさまることもできたのだ。
ロリンは本物のメイドではないから、無断で仕事を休んでもシュマーが本気で怒ることはないが、ロリンに依存するシュマーは連絡が取れないことに不安を覚えていた。
「本当にロリンはどうしたのかしら?」
ロリンことグルドラ・ルストは、赤髪の魔女と二つ名で呼ばれ、国際手配される魔導師だ。
もっとも得意とする精神操作で操った、ムユーク王国の第一王子と結婚間際で、その悪事が露見。一度は捕縛されたものの魔術を駆使して脱獄に成功した。
顔に泥を塗られたムユーク王家が許すわけもなく、魔道具師たちに金を与えてグルドラ封じの最新魔道具の開発を奨励している。
「まったくしつこいったら!」
逃げ回るグルドラは、ムユーク王族がいつまでも諦めないなら返り討ちにしてやろう!と考えるようになった。
一魔導師が一国を相手に戦うなど正気の沙汰とは言えない。グルドラも流石に自ら一騎討ちしようとは思わなかった。
どこもかしこもがムユーク王国ほど魔導に長けているわけではない。ムユークに対抗出来そうな国を操り、母国を潰してやろうと考えたのだ。
天才魔導師の自分なら、掌中に収められる国もあるだろう。自分にはその力も価値もあると信じて、疑うことはなかった。
思い立って地図を眺めると、ムユーク王国と接する国は話にならないような小国ばかりが並んでいる。
そこで選ばれたのが、ムユークに比べ魔導に遅れを取るメクリム王国だった。
メクリムまでの道中でグルドラは策を練った。
呪術を用いれば高位貴族にも容易に接近できる。それはわかっているが、身分が高くなるほど柵に縛られ、互いの監視もきつい。
身分の低い者にその座を掠め取られると決して許さず、異常な執念で追い落とすのだ。
実際にムユーク王国でも、高位貴族たちによって王子と結婚する夢を潰されている。
そこで今度は警戒が緩くて入り込みやすい下級貴族。大商会を持ち、王家に繋がりを持つ三つの貴族を狙うことにした。
ムユークとの失敗を糧に、最初に着手したパルツカ領では、グルドラは操れる人間を使うことにした。
恵まれない立場にいる、扱いやすそうな女たちを唆す。
彼女らがその気になってから精神操作をすると、相手はそれとは知らずにグルドラの忠実な下僕と化してしまうのだ。
そうして動かした手駒にサリバーやパルツカ家を奪わせ、グルドラは使用人として王家に出入りするつもりでいた。
使用人になりすますのは、目立たぬため。
適当な王族を見つけたら、姿を変えて入れ替わる。
内部に入り込めば、あとは簡単だ。操ってメクリムを掌握してしまえばいい。
メクリムにムユーク王国を侵略させ、忌々しい王族や貴族たちを、そして自分を認めなかったムユーク王国のすべてを壊滅させるつもりだった。
グルドラ三話一気に更新します。
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サリバー男爵家では、シュマーが待てど暮らせど戻らないブラスとロリンに苛ついていた。
「旦那様は商談が長引いてるというから仕方ないけど、ロリンは一体どうしたのかしら」
実家の様子を見に行くと休みを取ったロリンが、それっきり戻ってこなくなったのだ。
「母さん、ロリン逃げたんじゃないわよね?」
「なぜロリンが逃げるのよ?
まだ私たち財産を手に入れてないのよ?旦那様にロズリンを後継者にすると城に届けを出させないと!そうしたらロリンが旦那様も・・・してくれることになってるんだから!計画がバレたならともかく、すべてうまくいってるのに」
ロリンがいなければ自分の計画は成功しないとシュマーは理解している。
場末の食堂でロズリンと愚痴っていた時、いい話があるとロリンが声をかけてきて知り合った。
胡散臭いと思ったが、ちょっとロリンの言うことを聞いただけでサリバー男爵家の使用人になることができ、後にブラスの後妻におさまることもできたのだ。
ロリンは本物のメイドではないから、無断で仕事を休んでもシュマーが本気で怒ることはないが、ロリンに依存するシュマーは連絡が取れないことに不安を覚えていた。
「本当にロリンはどうしたのかしら?」
ロリンことグルドラ・ルストは、赤髪の魔女と二つ名で呼ばれ、国際手配される魔導師だ。
もっとも得意とする精神操作で操った、ムユーク王国の第一王子と結婚間際で、その悪事が露見。一度は捕縛されたものの魔術を駆使して脱獄に成功した。
顔に泥を塗られたムユーク王家が許すわけもなく、魔道具師たちに金を与えてグルドラ封じの最新魔道具の開発を奨励している。
「まったくしつこいったら!」
逃げ回るグルドラは、ムユーク王族がいつまでも諦めないなら返り討ちにしてやろう!と考えるようになった。
一魔導師が一国を相手に戦うなど正気の沙汰とは言えない。グルドラも流石に自ら一騎討ちしようとは思わなかった。
どこもかしこもがムユーク王国ほど魔導に長けているわけではない。ムユークに対抗出来そうな国を操り、母国を潰してやろうと考えたのだ。
天才魔導師の自分なら、掌中に収められる国もあるだろう。自分にはその力も価値もあると信じて、疑うことはなかった。
思い立って地図を眺めると、ムユーク王国と接する国は話にならないような小国ばかりが並んでいる。
そこで選ばれたのが、ムユークに比べ魔導に遅れを取るメクリム王国だった。
メクリムまでの道中でグルドラは策を練った。
呪術を用いれば高位貴族にも容易に接近できる。それはわかっているが、身分が高くなるほど柵に縛られ、互いの監視もきつい。
身分の低い者にその座を掠め取られると決して許さず、異常な執念で追い落とすのだ。
実際にムユーク王国でも、高位貴族たちによって王子と結婚する夢を潰されている。
そこで今度は警戒が緩くて入り込みやすい下級貴族。大商会を持ち、王家に繋がりを持つ三つの貴族を狙うことにした。
ムユークとの失敗を糧に、最初に着手したパルツカ領では、グルドラは操れる人間を使うことにした。
恵まれない立場にいる、扱いやすそうな女たちを唆す。
彼女らがその気になってから精神操作をすると、相手はそれとは知らずにグルドラの忠実な下僕と化してしまうのだ。
そうして動かした手駒にサリバーやパルツカ家を奪わせ、グルドラは使用人として王家に出入りするつもりでいた。
使用人になりすますのは、目立たぬため。
適当な王族を見つけたら、姿を変えて入れ替わる。
内部に入り込めば、あとは簡単だ。操ってメクリムを掌握してしまえばいい。
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