【完結】呪われ令嬢、猫になる

やまぐちこはる

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呪われたエザリア

神殿調査隊結成

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猫の姿のままのエザリアが、無事?サリバー男爵邸に帰還して二日目。

 今のところ呪いを解く方法は、コルグス教の神殿で解呪するか術者が解くかだと、魔導師ロンメルンがサリバー男爵家を訪ねて改めてエザリアに説明している。

「前に騎士団長がお話しされたと聞きましたが。
まずグルドラ・ルストが自ら術を解くというのは、本人が断固拒否しており、今の時点では考えられないかと」

 ロリンとして捕縛された女は、ムユーク王国から送られてきた魔力測定器により、その魔力が間違いなくグルドラ・ルストのものであると証明された。

 捕縛の報せを受けたムユーク王家からグルドラ引き渡しの要請を受けており、もしムユーク王国で処刑された場合、必然的に呪いは解ける。

 何らかの考えにより、そう例えば簡単に死なせたくないなどの理由で幽閉となれば、神殿で解呪するしか方法がなくなるが。
 王都の神殿には上級神官が少なく、エザリアのような高度な呪いの解呪は難しいという。
神殿に頼るとしたら、大神官に王都に来てもらうか、エザリアが辺境にある本拠地の大神殿まで行くかなのだが・・・・。






 一男爵家の令嬢と言っても、膨大な資産を持つサリバー商会の後継者である。
 無碍に見捨てることはできないと考え、国王は特別に大神官長あてに、王都に召喚することと解呪の要請を出した。

 宰相以下、今回の呪いの件を知っている高官やセメンティス、イグルス、チューグたちは、当然大神官はすぐにでも王都にきて解呪し、エザリアは令嬢の姿に戻れると簡単に考えていたのだが。



「なんだこれはっ!」



 国王リブルトロブスは神殿からの書状をバシッと床に投げつける。

 落ちて開いたそれは、からの回答。

 大切な祈祷を担う大神殿の大神官長が王都への召喚に応じることはないと書かれており、呪いの解呪は王都の神官に依頼するか、または令嬢こそが大神殿まで来られたしと書かれていたのだ。

「ふっ、不敬な!」

 屈んで書状を拾い上げた宰相ベリエールは、視線を走らせると、書状を強く握り締めた。
手の甲に血管が浮くほどに。

「こんなことは許されません!神官の者共め、二言目には神の降臨を持ち出して王家より神のほうが上だといいますが、降臨伝説より王家の歴史のほうが遥かに長いではありませんか!似非野郎どもめがっ!」

 珍しく口汚く罵るベリエールが怒るのも無理はない。

 建国千二百年、万世一系で繋がれてきた由緒正しき奇跡の王家である。
 それに対し、が降臨したと言って神殿が建てられたのは、それより七百年も後の話だ。

「何故自分たちのほうが上だと思えるのか」
「まったくだ!陛下、ここは引いてはなりませんぞ」

 宰相たちの怒りがリブルトロブスのそれを遥かに超えて燃え上がるのを見、かえってリブルトロブスは冷静になれた。

 ここで引かず、強引に大神官長を召喚すればこれから先信徒たちも含めた神殿側と、深い溝が生まれるだろう。下手をしたら信徒たちが謀反を起こしかねない。

   かと言って、ここで引くと王家の威信に傷がつく。
考え込むうちに、ふと疑問が口をついた。

「何故副神官長が返事を書いているのだろうか」

 リブルトロブスの言葉に弾かれたように、高官たちも首を傾げた。

「国王陛下からの召喚状に、別の者が返事を書いて寄越すなどとんでもないことです。もしや大神官長は病か何かでしょうか?」
「考えられなくはないな。調べてみるか」

 すわ神殿と一戦交えるか?と熱り立ったが、宰相たちにも少し冷静さが戻る。

 辺境の大神殿に影を潜ませるのは難しいとセメンティスが考えを巡らせていると、チューグが声をかけた。

「セメンティス、よかったらうちの者を使ってくれ。赤髪の魔女に対抗するために、ムユークから供与された魔道具がいろいろあるからな。助け合おうではないか」

 魔導師でなければ使い方がわからないものも多いが、影を魔導師がサポートすれば、今まで忍び込むどころではなかった場所でも潜入できるだろう。

 そうして国王とその配下は、赤髪の魔女追跡チームから神殿調査隊と名を変え、新たな調査を開始したのであった。
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