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つややかな淡い金髪と目の覚めるような深い翠の瞳を持つ美しく侯爵令嬢パルティア・エンダラインには、同じく侯爵家の令息オートリアス・ベンベローという婚約者がいる。
オートリアスは、家同士の政略結婚であるが美男美女同士、婚約したときは社交界でも憧れの二人と言われたものだった。
ただ本人たちはあっさりしたもので。そこそこ仲よく貴族らしい家族となろうと約束を交わしていた。
茶会も夜会もオートリアスにエスコートされ、仲睦まじい姿を見せていたのに。
ある日、珍しくオートリアスから手紙だけが届けられた。
「え?オートリアス様からの手紙?手紙だけなんて珍しいわね」
そう、だいたいいつも花束やお菓子、アクセサリーなどと贈ってくれるのだが。
封を切り、手紙を取り出して目を落としたパルティアの手が震え出した。
ぐしゃりとそれを握りしめ、嗚咽を漏らすパルティアに、侍女ニーナが駆け寄った。
「パルティア様、どうされました?大丈夫ですか?」
支えようと腕を伸ばすと、パルティアはその手に握りしめた手紙をもたせてベッドに潜り込み、泣き続けた。
手紙を伸ばして目を走らせたニーナは憤怒の表情を浮かべ、もう一人の侍女ラミーを呼んでパルティアの側を守らせると、自分は侯爵の元へと駆け出していく。
途中、侍女長に見咎められたがそれどころではない!と叫び、侯爵の執務室の扉を激しく叩いた。
「なんだ?煩いぞ」
執事のベニーが顔を顰めながら重い扉を開ける。危うくベニーの顔をノックするところだったニーナに、執事が注意を与えようとしたのだが。
「大変です!パルティア様がっ!旦那様」
悲鳴を上げたニーナに、奥からエンダライン侯爵カーライル卿が顔を出した。
「パルティアがどうした?」
「こ、これをご覧ください」
パルティアが握りしめ、ニーナが伸ばした皺だらけの手紙をカーライルが受け取り、読み始める。
「な、なんだと?これはいつ届いた?」
「つい先程でございます!お読みになられたパルティア様は・・・お嘆きになられて今横になっていらっしゃいます」
「わかった、スーラを呼んでくれ。一緒にパルティアのところに向かう。パルティアには?」
「今ラミーをつけております」
「よし、ではニーナもついていてやってくれ」
カーライルはベニーに手紙を渡し、読むように促すと、怒りに震える声で言いつけた。
「ベニー、ベンベロー侯爵をすぐに呼びつけろ。もちろんオートリアスも共にとな」
オートリアスは、家同士の政略結婚であるが美男美女同士、婚約したときは社交界でも憧れの二人と言われたものだった。
ただ本人たちはあっさりしたもので。そこそこ仲よく貴族らしい家族となろうと約束を交わしていた。
茶会も夜会もオートリアスにエスコートされ、仲睦まじい姿を見せていたのに。
ある日、珍しくオートリアスから手紙だけが届けられた。
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ぐしゃりとそれを握りしめ、嗚咽を漏らすパルティアに、侍女ニーナが駆け寄った。
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支えようと腕を伸ばすと、パルティアはその手に握りしめた手紙をもたせてベッドに潜り込み、泣き続けた。
手紙を伸ばして目を走らせたニーナは憤怒の表情を浮かべ、もう一人の侍女ラミーを呼んでパルティアの側を守らせると、自分は侯爵の元へと駆け出していく。
途中、侍女長に見咎められたがそれどころではない!と叫び、侯爵の執務室の扉を激しく叩いた。
「なんだ?煩いぞ」
執事のベニーが顔を顰めながら重い扉を開ける。危うくベニーの顔をノックするところだったニーナに、執事が注意を与えようとしたのだが。
「大変です!パルティア様がっ!旦那様」
悲鳴を上げたニーナに、奥からエンダライン侯爵カーライル卿が顔を出した。
「パルティアがどうした?」
「こ、これをご覧ください」
パルティアが握りしめ、ニーナが伸ばした皺だらけの手紙をカーライルが受け取り、読み始める。
「な、なんだと?これはいつ届いた?」
「つい先程でございます!お読みになられたパルティア様は・・・お嘆きになられて今横になっていらっしゃいます」
「わかった、スーラを呼んでくれ。一緒にパルティアのところに向かう。パルティアには?」
「今ラミーをつけております」
「よし、ではニーナもついていてやってくれ」
カーライルはベニーに手紙を渡し、読むように促すと、怒りに震える声で言いつけた。
「ベニー、ベンベロー侯爵をすぐに呼びつけろ。もちろんオートリアスも共にとな」
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