【完結】私を捨てて駆け落ちしたあなたには、こちらからさようならを言いましょう。

やまぐちこはる

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 ふたりの父が教会に現れたとき、その目と鼻の頭は真っ赤に染まっていた。

「お父さま!そのお鼻どうなさったのですか」
「はは、気にするな。主役は小さなことを気にしてはいかん」

 パルティアに腕を差し出し、ふたりで歩き始める。

「いよいよだな、さびしくなる」
「あら、これからもずっと同じ屋敷におりますわよ?」
「そうだが・・・、気持ちの問題だ」

 パルティアは意外と空気が読めない性格だった。
行く手にアレクシオスが待ち受けている。

「さあ、婿殿頼む」

 エスコート役がアレクシオスに代わると、美しい新郎新婦に溜め息が漏れた。

 そのあと席を移した祝いの宴では。
王族以外でもっとも爵位が高い公爵家次男と、次期女侯爵との婚姻は贅を尽くしたものになると想像されていた。

 確かに食事は新鮮な魚介やよく熟成された肉を具材に、それは素晴らしいものであったが、よく見るとパルティアのドレスの裾がウエディングドレスにしては短めだし、トレーンもヴェールも決して長くもない。
 しかもレースを何重にすることが多いのにあっさり一重である。
さらに、結婚式のあと帰り間際に土産を持たされるのが一般的だが、それにパルティアとアレクシオスが手掛ける施設の宿泊招待状が記念品とともに入れてあって、招待客を驚かせた。

「泊まりに来いということか?」
「ええ、式に参列くださる皆様は私たちに好意的な方ばかりですから、無料でビジターで泊まって頂いたら、さぞ宣伝になるかと思って」
「しかし、予約が取れないのではないか?」

 カーライルたちは別棟に泊まるのでいつでも行かれるのだが、招待客はそうはいかない。

「招待状は期限があり、その期間はどの施設も予約を通常の七割に抑えるよう指示してありますから、どこかしらで吸収できると思います」

 パルティアの目論見は当たり、式のあと、経営中の施設は無料招待の貴族の来訪が続いて、それらが帰るたびに噂が広まり、次の来客が倍増していく。
 結婚式直前までは静養施設が三棟、一般の宿泊施設が四棟あったが、ベンベローから貰い受けた土地が増えたこともあり、さらに一般施設を三棟増設することに。

 今や社交界一の宿泊事業主として、パルティアとアレクシオスの次期エンダライン侯爵夫妻は有名になりつつあった。
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