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ローリスの秘密
第1話
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コーテズ王国の辺境ローリスに戻ったカーラ一行は、滞在中に使う最低限の物以外すべてシーズン公爵家に送ることにした。
これからやろうとしていることを考え、ローリスでは身軽な方がいいと、ドレスなども数枚返すことにする。
「この前の女医のところに、花茶を持って遊びに行きましょう。記録を見つけてくれていればいいけど、お体が不自由そうだったから、何ならエイミでも手伝いに置いて来ようかしらね」
「ボビンはローリス家に行って、戻って来たことを報せてきて。特にこちらへの報せもないからまだだろうけど、ノーラン様が戻られているなら連絡をくれるように念を押すこと」
「承知しました!」
「ではそれぞれ、気をつけて行動してね」
「ごきげんよう!先生」
カーラが元女医の老婆を訪ねると、この前と同じように道行く人を呼び止めて茶を付き合わせようとしている所だった。
「おや!この前のお嬢様」
「お約束の通り、お茶と菓子をお持ちしましたの。ご一緒させて頂いてもよろしいでしょうか」
「もちろん!そこにお座りよ」
「あ、先生、今日は私の侍女がお茶を淹れさせて頂いてもよろしいでしょうか?珍しいものですから」
珍しいものと聞いた老婆の目が輝く。
「いいよ、中のキッチンで湯を沸かして使っておくれ」
エイミは軽く会釈をし、家の中に入って行った。
屋敷の中はまあまあ整理されていたが、高い戸棚は手が届かなくなったらしく、埃にまみれている。
爪先立ちで覗くと、かなり古い資料が乱雑に置かれていた。
見たいのはやまやまだが、まずは花茶を淹れなければならないと湯を沸かして、美しい茶を老婆の元へ運んで行った。
「シルベスの名産品の花茶だそうですわ」
「すごい!すごくきれいだし、香りがいい!」
「お気に召しましたか先生?よろしければ茶葉を多めに差し上げますわ」
熱々のはずだが、既に口を付けて味わっていた老婆は弾んだ顔をした。
「本当に?うれしいね」
暫くはシルベスの土産話に興じていたが。
「そういえば前に、私の婚約者様がお生まれになった時の資料がお有りだと仰っていませんでしたか?」
まるで急に思い出したようにカーラが話を振ってやると、ああそうだったと、曲がり始めた腰を上げた。
室内に入り、ガサガサと音を立てながら出てくると、雑に紐で束ねた紙を持っている。
「もうさすがにいらないから、坊っちゃまにお母上様の思い出として差し上げて」
「よろしいのですか?」
「茶の御礼だよ」
カーラの頭の中で鐘の音が鳴り響いた気がした。
─まさか!まさかこんなに簡単に手に入るなんて、よかった!─
今すぐに読みたいが何とか我慢して老婆のお喋りに付き合い、解放されると急いで宿に戻った。
「見て見て!手に入れたわよ」
留守番していたトイルと、ローリス家から戻ったボビンに紙束を見せびらかすと、早速開いてテーブルに乗せる。
「うわ、すごく古いですね!」
「そりゃ17年前の物だから」
「女医先生が物もちのいい人でよかったわ」
「「「「まったく!」」」」
「ここに赤ちゃんの記述がありますね」
誰よりも早く見つけたボビンが指をさした。
これからやろうとしていることを考え、ローリスでは身軽な方がいいと、ドレスなども数枚返すことにする。
「この前の女医のところに、花茶を持って遊びに行きましょう。記録を見つけてくれていればいいけど、お体が不自由そうだったから、何ならエイミでも手伝いに置いて来ようかしらね」
「ボビンはローリス家に行って、戻って来たことを報せてきて。特にこちらへの報せもないからまだだろうけど、ノーラン様が戻られているなら連絡をくれるように念を押すこと」
「承知しました!」
「ではそれぞれ、気をつけて行動してね」
「ごきげんよう!先生」
カーラが元女医の老婆を訪ねると、この前と同じように道行く人を呼び止めて茶を付き合わせようとしている所だった。
「おや!この前のお嬢様」
「お約束の通り、お茶と菓子をお持ちしましたの。ご一緒させて頂いてもよろしいでしょうか」
「もちろん!そこにお座りよ」
「あ、先生、今日は私の侍女がお茶を淹れさせて頂いてもよろしいでしょうか?珍しいものですから」
珍しいものと聞いた老婆の目が輝く。
「いいよ、中のキッチンで湯を沸かして使っておくれ」
エイミは軽く会釈をし、家の中に入って行った。
屋敷の中はまあまあ整理されていたが、高い戸棚は手が届かなくなったらしく、埃にまみれている。
爪先立ちで覗くと、かなり古い資料が乱雑に置かれていた。
見たいのはやまやまだが、まずは花茶を淹れなければならないと湯を沸かして、美しい茶を老婆の元へ運んで行った。
「シルベスの名産品の花茶だそうですわ」
「すごい!すごくきれいだし、香りがいい!」
「お気に召しましたか先生?よろしければ茶葉を多めに差し上げますわ」
熱々のはずだが、既に口を付けて味わっていた老婆は弾んだ顔をした。
「本当に?うれしいね」
暫くはシルベスの土産話に興じていたが。
「そういえば前に、私の婚約者様がお生まれになった時の資料がお有りだと仰っていませんでしたか?」
まるで急に思い出したようにカーラが話を振ってやると、ああそうだったと、曲がり始めた腰を上げた。
室内に入り、ガサガサと音を立てながら出てくると、雑に紐で束ねた紙を持っている。
「もうさすがにいらないから、坊っちゃまにお母上様の思い出として差し上げて」
「よろしいのですか?」
「茶の御礼だよ」
カーラの頭の中で鐘の音が鳴り響いた気がした。
─まさか!まさかこんなに簡単に手に入るなんて、よかった!─
今すぐに読みたいが何とか我慢して老婆のお喋りに付き合い、解放されると急いで宿に戻った。
「見て見て!手に入れたわよ」
留守番していたトイルと、ローリス家から戻ったボビンに紙束を見せびらかすと、早速開いてテーブルに乗せる。
「うわ、すごく古いですね!」
「そりゃ17年前の物だから」
「女医先生が物もちのいい人でよかったわ」
「「「「まったく!」」」」
「ここに赤ちゃんの記述がありますね」
誰よりも早く見つけたボビンが指をさした。
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