5 / 14
幕間 病院、初トイレ
しおりを挟む長い間当たり前に出来ていた事が、ある日を境に出来なくなる。そのもどかしさもまた、僕を狂わせる一因になったのかもしれません。
これは入院中、やっと合う薬が見つかって、小便の管が取れたばかりの頃____
「っ……」
病室のベッドの上、重いカラダを起こして、徐に立ち上がろうとする。
「どうしたの? トイレ?」
側に居た母がそう訊いて来たので、こくりと頷きを返す。するとよろけるその身を支える為、付き添ってくれる事に。
「無理しないで、ゆっくり、ゆっくりね」
やっとの思いで辿り着いて、多目的トイレに腰を下ろす。
「何かあったら呼んでね」
母はそう言い残してトイレから立ち去り、スライドドアを閉めた。
しんと辺りが静まる。
「はぁっ……っ、はっ……」
熱い息を吐きながら腰を浮かせ、ズボンとオムツをずり下ろした。
「っ……くぅっ……」
露出した股座が空気に触れてこそばゆさを返す。
でも乾いてます。薬は、効いてるみたい。
しかし、別の問題が。
……これ……どうやって、おしっこすればいいんだろ……。
未だ重い薬が抜け切らない。ボヤけた頭では工夫を考えるまでには至らず、その前に尿が降りて来る。
ぷしっ、しーー…………。
「あっ、ぁ…………」
間も無く、開放感と共に小水が漏れ、便器の中へ不規則に落ちていく。
えっ、なんですか、これ……水流が全くコントロール出来ませんっ。
流れ出る一部の小水が、臀部の方へ伝ってから落ちていってしまう。
不快感で顔が顰む。しかし、なってしまうものは仕方が無く、知識も無い為受け入れる他無かった。
「……くぅっ………」
水流が止まり、尻や股からぽたぽたと水滴が垂れる。得も言われぬ悔しさを噛み締めながら、トイレットペーパーを手に巻き取って濡れた箇所を拭いていく。
「っ、っ……」
こそばゆさで身体が跳ねる。尻から太腿にかけて、触り心地の良い肌を紙でなぞる度、ぞわぞわとした感覚が背筋を走って、股座の方が鋭敏になる。
だめだっ、こわいっ。
シャワーでの気絶が過って、不十分な拭き具合で手が止まった。
薬、効いてても意識するとダメなんですね……大分マシだけど、これじゃ拭けません____あっ。
閃いたのはある種、鈍麻していなければ思い付かなかったであろう手段だった。
そうだ。オムツなんだから、吸わせちゃえばいいんだ。
「っ、よいしょっ……っ」
履いた。濡れたまま、履いてしまった。
……何となく、具合は良くない、ですね。
もう一度脱いだ。
一応吸ってはくれていますね。しかし、少し臭います。
仕方ありません……恥ずかしいですけど、我慢ならない場合は母にオムツの替えを頼みましょう。それで、なんとか。
「……ふぅ」
何とかなる。そう思って一息吐くと、不意に静けさが気になった。途端、邪な考えが過る。
「…………っ」
一度染み付いた習慣のフラッシュバックだった。身体が引っ張られる。うずっ、うずっ。ダボついた患者衣の下、張り詰めた胸の先が主張し疼く。
……ここなら、安心して出来ますね。しかも、この後取り替えるなら____丁度、いいか。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる