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 「っ、えっ、あっ……」

 不満に顔を顰める。全くもって足りない。挿れた感覚が殆ど無かった。
 縮んだ逸物。それに突っ込んだ自分。悉くが、自身を惨めにさせる。

 「あーあ……ヤッちゃった❤︎」

 いや、違う。もっと奥に欲しいとか、そんな場合じゃない。僕はこんなの求めてない。僕じゃない。抜かなきゃ。抜け、腰上げろ、抜けっ、抜けっ!

 「ふっ、うううぅっ……」

 どんなに念じても腰は上がらない。寧ろ逆に、決して届かない疼く患部に何とか届かせようと、ぐりぐりぐりぐり、恥骨が痛くなる位に力強く押し付けてしまう。

 「何で目を逸らすノ?❤︎ ほら、ちゃんと見なヨ、自分の浅ましい腰の動きをサ❤︎ 自分の意思じゃないッテ? あり得ないデショ❤︎」

 淫魔は僕の顔を悪辣に歪め嗤う。「経験の無いキミじゃ、意識して努めて無いと出来ないヨ」と。
 そう言われたら、そうなのかもしれない。一瞬そう思ってしまった。そんな訳ないと否定仕切れない。分からない。恥ずかしい。顔が、カラダがアツい。きもち、イイ。

 「ハァー、残念だナー、最後まで不正解だナンテ❤︎ 全ての器に受け入れられる程の力に届いたノニ、遂に自分にすら受け入れて貰えなかったトカ。カワイソスギ❤︎」
 「でもダイジョーブ❤︎ 新しいキミはキミを受け入れるカラ❤︎ 勿論アタシも❤︎」
 「うっ、はぁっ、ぁっ、あぁっ……♡」

 割れ目を上下に動かすと、僕の身体の突起に入り口が引っ掛かって、その近辺、硬く痼った豆の様な箇所が一緒に擦れる。それだけで官能が体表から奥の芯まで灼け付いていく。未だ浅いのに深くて、底が見えない。元の身体とは次元が違う。

 「あっ、あんっ♡ んっ、んぅっ、んんっ……っっ♡」
 「アハッ❤︎ もう隠す余裕も無いカ❤︎」

 刺激が走る度、自分の口から女ったらしい媚びた声がする。頭バチバチして、ケイレンがとまらない。

 とまれっ、とまってっ……しびれて灼けるううぅっ……♡」

 「アタシそんな顔した事ないヨ?❤︎ ましてやこーんな粗チンで……はずかシ❤︎」
 「っくっ、うぅっ♡ やっ、めぇっ…………っっっ!♡」

 あっという間に張り詰めて、カッと白んで弾けた。背中は反り、腰が跳ねる。引き攣れて息が詰まる。その最中、

 「はずかシーから、ちゃんとしたの挿れるネ❤︎」

 淫魔の操る触手が蠢き、此方の尻回りを包むと、直後に肛門に圧迫感が訪れた。そして、ずりゅりゅりゅりゅっ。容赦無く侵入られて、蹂躙される。

 「ん゛っ、ん゛お゛おおぉっ……お゛ぉっ……♡」

 これもまた自分の身体の時とは違う。圧迫され空気が口から追い出される感覚すら狂おしい熱に変換され、苦痛無く全て快感として享受してしまう。

 「お゛おぉっ、おっ、くお゛おぉっ♡」
 「アハハッ❤︎ あっ、感覚共有忘れてタ❤︎ ちゃんと付けないとネ❤︎」
 「お゛っ、っっ、っっっ~~~~!♡」

 更にボゥっとお互いの下腹部淫紋が怪しい光を放つと新たに今現在は無い筈の男性器官能が加わり、得も言われぬ善がり狂った声と共に腰はまた絶頂で大きく跳ねた。

 あっ……ぇっ…………♡

 跳ねても跳ねても、尻を触手に押さえつけられていて逃れられない。寧ろ身を捩る動きに合わせて尻穴にも、逸物、割れ目、重なる肌全てにも双方向的な快感が絶え間無く襲い掛かり、すぐさま更なる絶頂へと導かれる。続けて蓋をする様に口元と柔らかな乳房にも肉触手が纏わり付けばサイクルが始まって、もう止まらない。無限に循環する。

 「アハハハハッ❤︎ 伝わってクルヨ~、キミのカイカン❤︎ そっちはドーオ?❤︎」
 「ふっ、ぉ゛っ……んお゛っ、っっ!♡」

 わかんないっ♡ くるひっ……あ゛っ、でるっ♡ おひっこでっ……っっっ♡

 「そっかそっかァ❤︎ じゃーどんどんイけイけ~❤︎」
 「っっ!♡ っ、っっ~~~~!♡」

 きもひいっっきもちいきもちいきもちいこわれりゃっ……ああ゛っ、あ゛あああああああああああああ゛ああああ────

 そうして電撃刑の如く絶え間無い快感が続き、焦げ付いた心身は真っ白になっていった。



 ────暫くシテ。

 「…………こふっ……っっ、ぅっ…………♡」

 百光に塗り潰されぐったりした所で、遂に決定的な瞬間が訪れる。

 「ぉ゛っ……っっ、っっっ?♡」
 「ぁ~~キタキタ……ちんちんが溶けていくカンカク❤︎」
 「っっ?♡ っっっ~~~~?♡」
 「コレは一生にそう何度も味わえないカラ、よーく味わった方がイイヨォ……❤︎」
 
 徐々に質量を失いながらもしつこく残っていた硬い芯の様なモノが、重なった二つの身体の中心で遂にジュワーっと跡形も無く溶けて、広がっていく。不思議と喪失感は無い。寧ろ、胸と腹の奥が満たされていく感じがする。
 
 「っ……ぉっ、んぉおおぉ……♡」
 「ハァ……っ~~❤︎」
 
 もうどちらの肉体に意識があるのか分からない。揺れる柔らかな肌も、交差する熱い吐息も殆ど一緒だ。

 「イイヨ……後は全部委ねテ。今まで否定していたジブンを受け入れテ……❤︎」

 甘やかなその一言を最後に、僕は自分と僕とが溶け合う感覚の中を揺蕩い、微睡んでいく。

 ……キモチイイ。

 快感だけで満たされて、包み込まれる。肯定され、祝福される。欲望を、行為を、結果を。それらが淫靡に形を成す。
 願いは快楽。復讐。幸福。ユウシャ。その目的の為のカタチになる。

 新しい常識が刷り込まれ、手段が注ぎ込まれる。知らない常識、知らない手段。淫魔としての己の母、故郷、存在。男の誑かし方。犯し、犯され、渇きを癒す方法。熱狂が再現され、真っ新なジブンに刻み込まれる。繰り返し、繰り返し。

 僕は……ボク、は……❤︎

 自覚した刹那、ボヤけていた境界がハッキリして、ボクは快楽の海の底から一気に浮上した。



 「…………ぷはっ」

 息を吐き出して、心地良さに身震いしつつ目蓋を開く。すると淡い光の中ゆっくりとピントが合って、愛しい存在と目が合った。

 「おはヨ❤︎」

 彼女は慈愛の眼差しを向けボクにそう言った。挨拶だ。何故か酷く懐かしい気分になって、喜びに満ち溢れ返事する。

 「おはよー、ママ❤︎」
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