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三つの顔の月と、何かを企む男
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あるマンションの最上階の部屋に住む男、夜になると度々カーテンを広げ、窓から大きくなってくる月と会話する。
「今はラックの月のようだな。教えてくれ、俺は一体どこにいる少女を排除したらいい?」
「やれやれ、デスの月から聞いていないのですか? バック=バグ、そう呼ばれている少女です」
男は悩む顔をして再び尋ねる。
「そんな名前の少女はこの国に存在しない」
「そんなハズはない。確かにバック=バグという名の少女はいる」
「国のデータにハッキングして閲覧したが、該当する名前の少女はいなかった。だからどうやって探せばいいか分からない……」
「ふぅ。その足があるでしょう? 学校に通っているはずですから、学生です。片っ端から探せばいいでしょう?」
「それしかないようだな」
男はため息をついて椅子に腰かける。何故この男が月の呪いの力を解放したいのか、それはこの国を滅ぼしたいからに過ぎない。
そして男は次の日から行動に移す。あの月の背に張り付いていた少女バック=バグの姿を思い出しながら、街を渡り歩いていた。
◆
『気をつけろ、バック』
電話の相手は博士。バックは気だるそうに聞いている。
『国のデータにハッキングがあった。お前の名前を探していたようだ。念の為学校のデータも、『バック=ダズ』という名に変えているからまだ大丈夫だが、もしかすると月神会の生き残りがお前を探しているかもしれない』
バックは、だからどうした? という感じで聞いている。
『お前を殺しにくるかもしれないんだ。三つの顔の月はお前を殺せない。だが人間にはお前を殺せる。お前に死なれると困るんだ』
「博士、博士『達』が必死になって私を保護してくれてるのはわかってる。でも私には人間はどうしようもない。気をつけろと言われてもどうしたらいいかわからない」
『ある物を渡す。それを使え』
後日、博士から渡されたものを鞄にしまい、いつも通り登校するバック。
「おはよう! バック!」
エラが近づいてくる。随分明るめの声でだ。
バックはいつも浮いていた。一人で孤独にいた。それでもよかった。でも友達が出来てしまった。それはとても不安な事だった。
失う不安。バックも昔は多くの人に囲まれて友達もいた。それを全て失って今がある。
なるべく感情を低下させないように気を配りながら、挨拶をする。
「おはよう、エラ」
その光景は他人から見たら異様な物だった。バックは手の付けられない不良少女。エラはお嬢様なのだ。
「ちょっとエラ! あなたバック=バグさんに何を握られているの?」
エラはどう説明しよう悩んだ。本当のことは話せない。話したところで信じて貰えないし、バックの信頼を落とす事になる。
「……バックってね、不良少女だと思ってたの」
「うん? そうでしょ?」
「でも違ったわ。ちゃんと優しい子だった。不器用なだけなのよ」
「エラ、本気で言ってる?」
「信じて貰えないならそれでいい。でも私はバックを支持する!」
「ふーん……」
その日からエラも仲間はずれにされるようになった。その事を後悔したバックは感情を低下させ、欠蝿を発生させることになった。
対応に追われた後、帰った家で、エラは怒っていた。
「どうして? 私のせい? 私足手まとい?」
「違うの、私のせいでエラが仲間はずれにされたのが悲しくて……」
また感情が下がる。それをエラが抱きしめた。
「いいじゃない! 他の人なんて放っておきなさいよ! あたなは影のヒーローなんだから! 私は応援したいの!」
「エラ……ありがとう……でも学校では私に冷たくして欲しい。そう演じて欲しい。あなたが私に優しいのはこの家の中でだけでいてほしい」
エラは驚いた。冷たく演じろと言うバックの願いは彼女にとって苦痛だった。だがバックのためならそうしようと思ったのだ。
「わかった。明日からそうするわ」
次の日、バックに冷たくするエラを見て周りは安心した。エラとバックは仲間でいてはいけないと思う人間ばかりだからだ。
エラの交友関係も元に戻った。それはエラの表向きの顔。エラとバックは学校帰り、こっそりバックの家で、ダンスをした。
エラのダンスは神薬の植物の成長には意味がなかったが、共にダンスをする事がバックの心の支えになり、バック=バグの力を強めた。
バックは博士に頼み、エラが帰る時、送るように頼んだ。
博士も協力者は内密でいて欲しいため了承してくれたのだ。
こうして博士のサポートもあり、バックとエラは共に歩み、バックの心の安定に繋がっていったのだった。
◆
三つの顔の月の力が弱まっている。それにイライラする例の男は、バック=バグを探して街を彷徨くがなかなか見つからない。
この国がいくら小さいとはいえ、学校もそれなりにある。せめて何か手がかりが分かればいいが、背中に張り付いたバック=バグの幻影は裸だ。
また縮小されているため実際の身長もわからない。せいぜい顔がわかるくらいだ。
似たような顔なんていくらでもいる。
人海戦術でも使えれば変わるが、月神会の生き残りは彼だけ。
他の生き残りは皆、違法性を問われ捕まった。彼は表立って月神会の活動をしてなかったから逃れられたのだ。
彼の計画は彼が完遂するしかない。
男はまた深くため息をついて無能力の自分を呪った。
「何故神に選ばれるほどの女に、俺は無能力で挑まねばならんのだ!」
三つの顔の月は何もしてくれない。三つの顔の月のために動いているのだというのにだ。
それでも男は彼の計画のために、バック=バグを探すのだった。
「今はラックの月のようだな。教えてくれ、俺は一体どこにいる少女を排除したらいい?」
「やれやれ、デスの月から聞いていないのですか? バック=バグ、そう呼ばれている少女です」
男は悩む顔をして再び尋ねる。
「そんな名前の少女はこの国に存在しない」
「そんなハズはない。確かにバック=バグという名の少女はいる」
「国のデータにハッキングして閲覧したが、該当する名前の少女はいなかった。だからどうやって探せばいいか分からない……」
「ふぅ。その足があるでしょう? 学校に通っているはずですから、学生です。片っ端から探せばいいでしょう?」
「それしかないようだな」
男はため息をついて椅子に腰かける。何故この男が月の呪いの力を解放したいのか、それはこの国を滅ぼしたいからに過ぎない。
そして男は次の日から行動に移す。あの月の背に張り付いていた少女バック=バグの姿を思い出しながら、街を渡り歩いていた。
◆
『気をつけろ、バック』
電話の相手は博士。バックは気だるそうに聞いている。
『国のデータにハッキングがあった。お前の名前を探していたようだ。念の為学校のデータも、『バック=ダズ』という名に変えているからまだ大丈夫だが、もしかすると月神会の生き残りがお前を探しているかもしれない』
バックは、だからどうした? という感じで聞いている。
『お前を殺しにくるかもしれないんだ。三つの顔の月はお前を殺せない。だが人間にはお前を殺せる。お前に死なれると困るんだ』
「博士、博士『達』が必死になって私を保護してくれてるのはわかってる。でも私には人間はどうしようもない。気をつけろと言われてもどうしたらいいかわからない」
『ある物を渡す。それを使え』
後日、博士から渡されたものを鞄にしまい、いつも通り登校するバック。
「おはよう! バック!」
エラが近づいてくる。随分明るめの声でだ。
バックはいつも浮いていた。一人で孤独にいた。それでもよかった。でも友達が出来てしまった。それはとても不安な事だった。
失う不安。バックも昔は多くの人に囲まれて友達もいた。それを全て失って今がある。
なるべく感情を低下させないように気を配りながら、挨拶をする。
「おはよう、エラ」
その光景は他人から見たら異様な物だった。バックは手の付けられない不良少女。エラはお嬢様なのだ。
「ちょっとエラ! あなたバック=バグさんに何を握られているの?」
エラはどう説明しよう悩んだ。本当のことは話せない。話したところで信じて貰えないし、バックの信頼を落とす事になる。
「……バックってね、不良少女だと思ってたの」
「うん? そうでしょ?」
「でも違ったわ。ちゃんと優しい子だった。不器用なだけなのよ」
「エラ、本気で言ってる?」
「信じて貰えないならそれでいい。でも私はバックを支持する!」
「ふーん……」
その日からエラも仲間はずれにされるようになった。その事を後悔したバックは感情を低下させ、欠蝿を発生させることになった。
対応に追われた後、帰った家で、エラは怒っていた。
「どうして? 私のせい? 私足手まとい?」
「違うの、私のせいでエラが仲間はずれにされたのが悲しくて……」
また感情が下がる。それをエラが抱きしめた。
「いいじゃない! 他の人なんて放っておきなさいよ! あたなは影のヒーローなんだから! 私は応援したいの!」
「エラ……ありがとう……でも学校では私に冷たくして欲しい。そう演じて欲しい。あなたが私に優しいのはこの家の中でだけでいてほしい」
エラは驚いた。冷たく演じろと言うバックの願いは彼女にとって苦痛だった。だがバックのためならそうしようと思ったのだ。
「わかった。明日からそうするわ」
次の日、バックに冷たくするエラを見て周りは安心した。エラとバックは仲間でいてはいけないと思う人間ばかりだからだ。
エラの交友関係も元に戻った。それはエラの表向きの顔。エラとバックは学校帰り、こっそりバックの家で、ダンスをした。
エラのダンスは神薬の植物の成長には意味がなかったが、共にダンスをする事がバックの心の支えになり、バック=バグの力を強めた。
バックは博士に頼み、エラが帰る時、送るように頼んだ。
博士も協力者は内密でいて欲しいため了承してくれたのだ。
こうして博士のサポートもあり、バックとエラは共に歩み、バックの心の安定に繋がっていったのだった。
◆
三つの顔の月の力が弱まっている。それにイライラする例の男は、バック=バグを探して街を彷徨くがなかなか見つからない。
この国がいくら小さいとはいえ、学校もそれなりにある。せめて何か手がかりが分かればいいが、背中に張り付いたバック=バグの幻影は裸だ。
また縮小されているため実際の身長もわからない。せいぜい顔がわかるくらいだ。
似たような顔なんていくらでもいる。
人海戦術でも使えれば変わるが、月神会の生き残りは彼だけ。
他の生き残りは皆、違法性を問われ捕まった。彼は表立って月神会の活動をしてなかったから逃れられたのだ。
彼の計画は彼が完遂するしかない。
男はまた深くため息をついて無能力の自分を呪った。
「何故神に選ばれるほどの女に、俺は無能力で挑まねばならんのだ!」
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