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メルディ国編
33 追加しますヨ
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リアカーと共に野宿地へ戻ってきたら……うん、五月蝿い。聞くに堪えない罵詈雑言が飛び交っている。
そうだった。このリアカー、声等を遮断する効果はないんだった。リアカーに載せていた時は静かだったから忘れてた。
『……盗賊達はネスフィルに怯えていたようです』
は? なんでネスに? 無害なもふもふでしょ?
『……無害なもふもふなのはリジーにだけです。ネスフィルはAプラスランクの冒険者です。カジス村まで単身で遣って来たのですが、途中、ここで野宿した時にこの盗賊達に出くわし、コテンパンにした様です』
……。
「……ネス」
「うん?」
「カジス村に移動する時、こいつらに会ってコテンパンに伸したの?」
「こいつらかは分からないが、盗賊には会って叩きのめしたな」
「あのねぇ……」
あたしは隣に居たネスの高い位置にある胸倉を掴み、揺さぶる。
「盗賊が出るとか、先に言っておこうよ! 言っておけば、どうするかとか隊長達と事前にちゃんと話し合えたのに――!!」
そう。あたしに面倒が降りかかる事、なかったのに!
結界に張り付いている人なんて、妙な光景を見る必要、なかったのにっ!!
あたしの言葉にネスは……なんで尻尾と耳がへたれるの。
「……怒った?」
いやだからそういう事じゃなくて……っ!!
あああああ~~。シュンと項垂れる大男って! でも、ケモ耳と尻尾が可愛いじゃないかっ!!
って、思考を脱線させてどうするっ、あたしっ!!
『……』
マル! あんたは余計な事を言わんで宜しいっ!!!
取り敢えず、項垂れちゃってるネスの頭をワシワシと撫でつつ考える。
う~ん……神製のリアカーに魔法って追加できるのか?
『できます』
あ、できるんだ。じゃあ、音が外に漏れない『防音』か、音を吸い込む『吸音』あたり追加すればいいかな?
……いや、まてよ? 吸音だと音を吸っちゃって静かにはなるだろうけど、こいつらへの罰にはならないよね?
と、い・う・事、は?
こいつらが騒げば騒ぐほど、自分の身にその騒がしさが倍返しってのがいいよね?
……じゃあ、リアカーの外に音が漏れない『防音』と、リアカー内限定の『反響』――しかもはね返ればはね返るほどボリュームアップするとかいいんじゃない!?
ついでに犯罪者は、リアカーから降ろす時に『真実しか語れない』や『黙秘不可』なんて魔法が自動で掛かる様にしておけば、あたしってばかなり楽にならないかな? あ、『余計な事は言えない』も必要か。特に、あたしに関わる事全般とか。
『いいと思います』
お、マルからオッケー出た。じゃあ、そうしますか。
あ、こういう魔法はこの世界に存在する?
『一部、存在しないものもありますが、特に問題はありません』
問題ないなら、いいか。
これも願えば使える?
『はい』
よしっ! じゃあ、面倒事に巻き込んでくれた八つ当たりついでに魔法を使いましょう!
あたしはいまだに騒いでいる馬鹿共のリアカーに近付き、怪我しない様に身体強化の魔法を使って~引っ繰り返らない程度に手加減しつつリアカーを蹴り付け魔法付与。うん、上手くいった!
それを3回繰り返すと……ああ、漸く静かになった。
リアカーに載っている直立不動な盗賊達を見ると、大半が黙ったようだ。おお、効果覿面? 速攻で声が木霊しまくった?
誰かが口を開くと、目だけでそいつを睨み付けている。ははは。相当、五月蝿いみたいだ。ざまぁ。
あたしはリアカーを引くゴーレム馬に近付き。
「あの牢に続いて移動してね。何か余計なのが近付いてきた時は、荷物の事なんて気にせず、攻撃して排除しちゃっていいから」
あたしの指示に、ゴーレム馬達が……うん、嬉しそうに頷いたよ? え、これも感情あり? しかも、かなり好戦的?
あ~……流石は神製とでも言えばいいの、か?
一部始終を黙ってみていた隊長や兵士達は。
何をして盗賊達が静かになったのか聞いてくると思ったんだけど、無言のまま顔を見合わせ首を振り。
「リジー殿、ネスフィル殿。出発したいと思います」
そう言って、さっさと馬に跨ったり、御者台に座ったり……その表情は、無?
ん、あれ? 2日目にして、何かの悟りでも開いた? まあ、面倒がなくていいか。
ネスも馬に跨ったので、あたしもルベルを呼び、竜の姿に戻ってもらったんだけど……。
リアカー内部が突然の竜出現に阿鼻叫喚となって、自分達の叫びで気絶するアホが出てきたのはいいとして。
……ルベルの背に付いてる物……何? 昨日、あたしが座っていたであろう場所を中心にくっついているものは……。
『看破結果』
竜具 所有者:リジー
竜神・技工神・魔術神・時空神特製、竜に装着させる道具。これはルベル用に製作された。
大きさ自動調整、自動浄化、滞空・対空・耐空補助、平衡感覚補助、耐熱耐寒耐風、転落防止、及び、必要に応じで補助機能追加が施されている。
ルベルが人化すると、自動で異空間収納される。
――は? 竜具……しかも、ルベル用!? え、これ使えっての!?
しかも、最後の砦だと思っていた竜神がなにやってんのっ!? あ、違う。最後の砦は表裏神に移動したか。
うん、ソウジャナクテ……。
だから、神は過保護を自重しろって、何度言わせれば気が済むんだっ!!!
これはもう、直接座ってるのは危ないとか思われたって事? そんなにあたし、危なっかしかった?
ルベルに装着されているのは、馬具でいう所の鞍、腹帯ならぬ首帯? 手綱、頭絡、無口。それら全てに魔法付与。鐙、蹄鉄、ハミとか、一部の馬具はないようだけど……それは竜具だから必要ないって事かな?
ついでに、必要に応じて補助機能追加って……あたしがなにか考えたらそれが自動で付与されるって事? 何度も言うけど、過保護過ぎじゃない?
考えるに、竜神がルベルのサイズを測り、技工神が製作。魔術神が必要と思われる魔法付与。時空神は……異空間収納の為にでてきたか……。
なんかもう、この神々の横の繋がり? 素直にスゴイとか思っちゃうよ。
報・連・相はバッチリですか? そうですか。
だったらそこで、止める神が一人や二人、出てこいっ! なんで普通に協力ってなるの!!
(リジー? 乗らぬのか?)
(いやだって、ルベルの背中にある、それ……)
(うむ。いつの間にやら付いておったが、これより竜神様の気配がするからのぉ。悪いモノではないのは、分かり切っておる)
確かに、悪いモノじゃないけど……それ、神の過保護の結晶の一部……。
(竜神様が、ワシやリジーの為にくださった物じゃからのぉ。ありがたく使わねば罰が当たる)
使わなきゃ天罰って、どんな究極の選択だっ!!
って、あれ?
(ルベル? あんた、竜神の気配とか分かるの?)
(うむ。ワシは竜神様の加護を持っておるからのぉ。その神の気配がするのモノは分かるのぉ)
げっ……じゃあ、あたしにも加護が付与されてるってバレバレ?
(……あたしから、その『竜神の気配』って……する?)
(うむ?)
恐る恐る聞いてみると、ルベルは首を傾げ。
(リジーには親しみしか感じぬのぉ)
(……そうですか)
取り敢えず、加護が付与されているかどうかは分からない様だ。ちょっと安心。
さて。安心した所で、急いで出発の準備しますか。
既にテントは片付けていたので、ちょこんと座るルベルの背中をよじ登り、装着されている鞍に座る。
うん……絶妙な座り心地ですよ……なんか悔しい。
手綱を握り、隊長に合図すると。
人数がかなり増えた団体様が、ルチタンの町に向けて出発した。
そうだった。このリアカー、声等を遮断する効果はないんだった。リアカーに載せていた時は静かだったから忘れてた。
『……盗賊達はネスフィルに怯えていたようです』
は? なんでネスに? 無害なもふもふでしょ?
『……無害なもふもふなのはリジーにだけです。ネスフィルはAプラスランクの冒険者です。カジス村まで単身で遣って来たのですが、途中、ここで野宿した時にこの盗賊達に出くわし、コテンパンにした様です』
……。
「……ネス」
「うん?」
「カジス村に移動する時、こいつらに会ってコテンパンに伸したの?」
「こいつらかは分からないが、盗賊には会って叩きのめしたな」
「あのねぇ……」
あたしは隣に居たネスの高い位置にある胸倉を掴み、揺さぶる。
「盗賊が出るとか、先に言っておこうよ! 言っておけば、どうするかとか隊長達と事前にちゃんと話し合えたのに――!!」
そう。あたしに面倒が降りかかる事、なかったのに!
結界に張り付いている人なんて、妙な光景を見る必要、なかったのにっ!!
あたしの言葉にネスは……なんで尻尾と耳がへたれるの。
「……怒った?」
いやだからそういう事じゃなくて……っ!!
あああああ~~。シュンと項垂れる大男って! でも、ケモ耳と尻尾が可愛いじゃないかっ!!
って、思考を脱線させてどうするっ、あたしっ!!
『……』
マル! あんたは余計な事を言わんで宜しいっ!!!
取り敢えず、項垂れちゃってるネスの頭をワシワシと撫でつつ考える。
う~ん……神製のリアカーに魔法って追加できるのか?
『できます』
あ、できるんだ。じゃあ、音が外に漏れない『防音』か、音を吸い込む『吸音』あたり追加すればいいかな?
……いや、まてよ? 吸音だと音を吸っちゃって静かにはなるだろうけど、こいつらへの罰にはならないよね?
と、い・う・事、は?
こいつらが騒げば騒ぐほど、自分の身にその騒がしさが倍返しってのがいいよね?
……じゃあ、リアカーの外に音が漏れない『防音』と、リアカー内限定の『反響』――しかもはね返ればはね返るほどボリュームアップするとかいいんじゃない!?
ついでに犯罪者は、リアカーから降ろす時に『真実しか語れない』や『黙秘不可』なんて魔法が自動で掛かる様にしておけば、あたしってばかなり楽にならないかな? あ、『余計な事は言えない』も必要か。特に、あたしに関わる事全般とか。
『いいと思います』
お、マルからオッケー出た。じゃあ、そうしますか。
あ、こういう魔法はこの世界に存在する?
『一部、存在しないものもありますが、特に問題はありません』
問題ないなら、いいか。
これも願えば使える?
『はい』
よしっ! じゃあ、面倒事に巻き込んでくれた八つ当たりついでに魔法を使いましょう!
あたしはいまだに騒いでいる馬鹿共のリアカーに近付き、怪我しない様に身体強化の魔法を使って~引っ繰り返らない程度に手加減しつつリアカーを蹴り付け魔法付与。うん、上手くいった!
それを3回繰り返すと……ああ、漸く静かになった。
リアカーに載っている直立不動な盗賊達を見ると、大半が黙ったようだ。おお、効果覿面? 速攻で声が木霊しまくった?
誰かが口を開くと、目だけでそいつを睨み付けている。ははは。相当、五月蝿いみたいだ。ざまぁ。
あたしはリアカーを引くゴーレム馬に近付き。
「あの牢に続いて移動してね。何か余計なのが近付いてきた時は、荷物の事なんて気にせず、攻撃して排除しちゃっていいから」
あたしの指示に、ゴーレム馬達が……うん、嬉しそうに頷いたよ? え、これも感情あり? しかも、かなり好戦的?
あ~……流石は神製とでも言えばいいの、か?
一部始終を黙ってみていた隊長や兵士達は。
何をして盗賊達が静かになったのか聞いてくると思ったんだけど、無言のまま顔を見合わせ首を振り。
「リジー殿、ネスフィル殿。出発したいと思います」
そう言って、さっさと馬に跨ったり、御者台に座ったり……その表情は、無?
ん、あれ? 2日目にして、何かの悟りでも開いた? まあ、面倒がなくていいか。
ネスも馬に跨ったので、あたしもルベルを呼び、竜の姿に戻ってもらったんだけど……。
リアカー内部が突然の竜出現に阿鼻叫喚となって、自分達の叫びで気絶するアホが出てきたのはいいとして。
……ルベルの背に付いてる物……何? 昨日、あたしが座っていたであろう場所を中心にくっついているものは……。
『看破結果』
竜具 所有者:リジー
竜神・技工神・魔術神・時空神特製、竜に装着させる道具。これはルベル用に製作された。
大きさ自動調整、自動浄化、滞空・対空・耐空補助、平衡感覚補助、耐熱耐寒耐風、転落防止、及び、必要に応じで補助機能追加が施されている。
ルベルが人化すると、自動で異空間収納される。
――は? 竜具……しかも、ルベル用!? え、これ使えっての!?
しかも、最後の砦だと思っていた竜神がなにやってんのっ!? あ、違う。最後の砦は表裏神に移動したか。
うん、ソウジャナクテ……。
だから、神は過保護を自重しろって、何度言わせれば気が済むんだっ!!!
これはもう、直接座ってるのは危ないとか思われたって事? そんなにあたし、危なっかしかった?
ルベルに装着されているのは、馬具でいう所の鞍、腹帯ならぬ首帯? 手綱、頭絡、無口。それら全てに魔法付与。鐙、蹄鉄、ハミとか、一部の馬具はないようだけど……それは竜具だから必要ないって事かな?
ついでに、必要に応じて補助機能追加って……あたしがなにか考えたらそれが自動で付与されるって事? 何度も言うけど、過保護過ぎじゃない?
考えるに、竜神がルベルのサイズを測り、技工神が製作。魔術神が必要と思われる魔法付与。時空神は……異空間収納の為にでてきたか……。
なんかもう、この神々の横の繋がり? 素直にスゴイとか思っちゃうよ。
報・連・相はバッチリですか? そうですか。
だったらそこで、止める神が一人や二人、出てこいっ! なんで普通に協力ってなるの!!
(リジー? 乗らぬのか?)
(いやだって、ルベルの背中にある、それ……)
(うむ。いつの間にやら付いておったが、これより竜神様の気配がするからのぉ。悪いモノではないのは、分かり切っておる)
確かに、悪いモノじゃないけど……それ、神の過保護の結晶の一部……。
(竜神様が、ワシやリジーの為にくださった物じゃからのぉ。ありがたく使わねば罰が当たる)
使わなきゃ天罰って、どんな究極の選択だっ!!
って、あれ?
(ルベル? あんた、竜神の気配とか分かるの?)
(うむ。ワシは竜神様の加護を持っておるからのぉ。その神の気配がするのモノは分かるのぉ)
げっ……じゃあ、あたしにも加護が付与されてるってバレバレ?
(……あたしから、その『竜神の気配』って……する?)
(うむ?)
恐る恐る聞いてみると、ルベルは首を傾げ。
(リジーには親しみしか感じぬのぉ)
(……そうですか)
取り敢えず、加護が付与されているかどうかは分からない様だ。ちょっと安心。
さて。安心した所で、急いで出発の準備しますか。
既にテントは片付けていたので、ちょこんと座るルベルの背中をよじ登り、装着されている鞍に座る。
うん……絶妙な座り心地ですよ……なんか悔しい。
手綱を握り、隊長に合図すると。
人数がかなり増えた団体様が、ルチタンの町に向けて出発した。
応援ありがとうございます!
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