十六夜の月

むらさきおいも

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家出

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この家に俺の居場所なんてない…

母親が再婚してからというもの、前の父親の子供の俺に冷たく当たるようになった母は、旦那の顔色を伺うように血の繋がりもない義理の弟の事だけ可愛がるようになった。

思春期の俺にとって母親の愛情なんてそんなものは正直どうでもいいと思っていたが、問題は義理の弟だ。

歳が余り変わらない弟は、俺より体格がいいし喧嘩では敵わない。

最近では俺を見るなりストレス発散なのか、抵抗出来ないのをいい事に調子に乗って首を絞めてきたりと、遊びの範疇を超えた暴力を受けるようになった。

本気で死ぬかもと思った俺は、母親に相談もしたが「そんなことあるわけない」と取り合っても貰えなかった。


そんな事が続いたある日、階段ですれ違い様に思いっきり壁に押し付けられた俺は、自分の身を守るために奴を突き飛ばした。

バランスを崩しよろめいた奴を見ながらざまぁみろと思ったのもつかの間、奴はそのまま階段から転がり落ちて頭を強打し、大怪我を負ったのだ。

仕掛けてきたのはアイツなのに、血まみれになった奴を見て両親は俺を軽蔑し犯罪者でも見るかのように怯え、誰も俺に近ずかなくなったんだ。

俺は悪くない…俺は悪くないのにっ…

こんな家の事を友達に相談したってどうにもならないし、とにかく我慢して耐えていた。

高校を出るまであと約1年の辛抱…
そしたらこの家を出る。

そう思って頑張ってきたけど、もう限界だ。

ご飯は一応出てはくるけどみんなが食べ終わった残り物だし、母親は口もきいてくれない。

進路の相談だってできないし、俺はこれからどうしたらいいの?
家にいるだけで息が苦しい…

苦しくて苦しくて本当に耐えられなくなって、精神的におかしくなりそうだった。

このままおかしくなるくらいなら、この家に俺の幸せはないなら今すぐこんな家出てしまおうと、必要最小限の物をリュックに詰めて、俺は思い切って家を飛び出した。
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