十六夜の月

むらさきおいも

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お泊まり

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「ねぇ、どうしたの?」

「んぁ!?」

「せっかく泊まりに来たのに、ずっとぼぅっとしてさ?」

「あぁ、ごめん…」

「同居人と何かあったの?」

「…っ、なんも無いけど」

「ふぅん…」


無言が続き、何か話さなきゃと慌てる俺に颯太そうたは少し考えるような表情を浮かべてからニヤッと笑い、急にマシンガントークが始まった。


斗亜とあさ、好きな人いる?」

「えっ!?何だよ急に…」

「俺さ、マジで今カッコイイなぁって思ってる人いてさ?」

「かっこいい…?」

「うんっ!背ぇ高くて力持ちで優しくて、それでいてちょっと可愛いところもあって…俺すっごく憧れてるんだぁ…」


かっこいい人って男の人…だよな?

この前の話からすれば颯太は男とも付き合ったことあるって言ってたから、そっちもいけるって事だもんな。

俺にはよくわかんねぇけど…


「ふぅん、そういう人ってどこで見つけるの?」

「え?斗亜の知ってる人だよ?」

「えっ!?」

俺の知ってる!?
学校のやつか!?
それとも…まさか龍士!?

あ、いや…特徴が全く違うか?

でも俺…今、颯太が龍士りゅうじの事好きだったら…って思ったら、凄く複雑な気持ちになった。

本条ほんじょうの時もそう、この気持ちって一体何なんだろう。


「斗亜…?」

「…っ、あぁ」

充彦みつひこさん…知ってるでしょ?」

「充彦…?あぁ、うん…え!?」

「俺さ?めっちゃ好きなんだよなぁ…」

「それは、その…恋愛感情…として?」

「うんっ!」

「そ、か…」


男が男好きってどういう感じなんだろう…

前にも颯太に色々聞いて、そのあと男同士のあれやこれやを検索してゾッとしたっけな。

颯太は充彦くんとそれを望んでるんだろうか。


「あの…さ、えっちしたいとか…思うの?」

「ん?ううん、別にそういうんじゃないじゃん?憧れって!今はただ、もっと話してみたいなぁとか、充彦さんの事沢山知りたいなぁって感じ!」


え?でもそれって、俺が龍士に抱いてる感情と一緒じゃん。
俺も、龍士の事が好きって事?


「斗亜は今好きな人いないの?」

「お、おれっ!?」

「うん」

「いない…と思う」

「ふぅん…」


俺はまだ、好きって意味がよく分からない。

もちろん、颯太とかあっくんに対する好きと恋愛の好きが違う事くらいはわかるけど、俺が龍士に抱く感情がどっちかなんて事は、今すぐには答えが出そうもない。

だけど今この瞬間にも頭の中にあるのは龍士の事ばかりで、俺がいない間一人でご飯食べてるのかな?とか、本当の事が知りたいとか、俺の事…どう思ってるのか…とか。


「ねぇ、斗亜…」

「ん?」

「あの日、酒飲んで倒れた日ね。斗亜の同居人さん、斗亜の事本気で心配してた」
 
「あ、あぁ…///」

「めっちゃいい人だね!怖かったけど…っ」

「え?怖かったの?」

「うん、未成年のくせにっ!って怒られた」

「へぇ…俺怒ったとこあんま見たことないな」

「それだけ斗亜が大事なんだぁ、って思ったよ?」


俺が大事…確かに大事にしてもらってる。
だけど、その人の過去が人殺しだなんて信じられるか?

やっぱりこんな事、颯太には言えないや。
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