十六夜の月

むらさきおいも

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真琴ん家

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あれから暫く真琴まことの家に入り浸っている。
バイトの日は一緒に出勤して帰ってきて、なんだかそれなりに楽しい。

夜は寝るまでお互いの話をしたりして、俺の今の状況や昔のことも真琴に聞いてもらっていた。


「へぇ、斗亜とあくんその同居人のお兄さんの事好きなの?」

「いや、好きっていうか…」

「だから女の子に興味なかったんだ…」

「いや、だからそうじゃなくてっ…///」


さすがに兄弟かもしれない、と言うことは言えなかった。

それに、一般的にはあんまり男の人が好きだなんて知られたくない事だし、はっきりとそうだとは言えないよ…

だけど、違うともいえないんだ。


「僕は別に良いと思ってるよ?好きな人が男の子でも女の子でも。けど、度が過ぎるのは勘弁して欲しいけどね…」

「あ…ねぇ真琴、俺いいこと考えた」

「ん?」

「あのストーカーにさ、俺は男の子が好きなんだって言ったら諦めれくれるんじゃない?」

「それいいかもっ!そしたらさ、もう僕斗亜くんの事が好きだからって言ってはっきり断ろうかな?」

「うん。それでいいんじゃない?それで諦めてくれれば良いけど…」

「ふふっ、本当に良いの?」

「え?なんで?」

「僕が本当に斗亜くんの事好きになっちゃったらどうするの?」

「はぁ?そんな事あるわけ…っ」


真琴は突然、両手を広げて俺に抱きついてきた。


「ん…ぅ…っ」

「斗亜くん可愛いから僕、結構いけるかもっ!」

「…っ、バカっ!やめろって…っ///」

「ははっ、冗談だって。斗亜くんの同居人に怒られちゃう」


今だったら何したって怒られないよ。

怒られるって言いながらも真琴は俺から離れなくて、ぎゅっと抱きしめられるとなんだか安心して気が抜けて抵抗する気も起こらない。

もう本当にこのまま真琴と一緒にここで暮らせたら…
龍士りゅうじの事忘れられるかもな…なんて考えながら、完全に龍士を兄と認め諦める為に覚悟を決めたんだ。


「ごめん真琴、ちょっと電話してくる」

「はぁい」


俺はリビングを出て別の部屋であっくんに電話をかけた。


「もしもしあっくん?」

(斗亜、どうした?お前一人で大丈夫なのか?龍士まだ帰ってこないんだろ?)

「うん。今ずっと真琴に家にいるから平気」

(真琴?バイト先の子か。大丈夫なのか?)

「うん、別に。それよりあっくんにお願いがある」

(お願い?こっちにくるか?一人にさせとくくらいなら家に…)

「ううん、そっちには行かない。ただ、DNA鑑定して欲しい」

(えっ…)

「龍士と俺が本当に兄弟なのか」

(いや、だってまだ…)

「俺、母さんに会いに行って確かめたから。あの山崎って人が俺の父親だって。その人は息子に殺されたって。でも確実じゃないから諦めきれない。だから…っ」

(斗亜…っ、そんな事までやらせてごめんな。でも、本当にいいのか?)

「うん。お願い。このまま何となく離れなきゃいけないなんて耐えられない」

(…わかった。結果が出たら連絡するから。何時でも来ていいからな?)

「ありがとう」


これでハッキリするだろう。
龍士が出来ないなら俺がやるよ…
逃げてたって苦しいだけだ。

知ったらもっと苦しくなるかもだけど、俺はもう決めたんだ。

リビングに戻ると、真琴はダラダラとソファーに寝転んでテレビを見ていた。


「斗亜くん、終わったの?この番組面白いから一緒に見よ?」

「真琴、もう暫くここにいてもいい?」

「もちろんっ!斗亜くんさえ良ければずっといてもいいよ!」


その後、俺は真壁まかべさんに呼び出され本部に行って唾液を採取され、龍士の方は大輝たいきくんの協力の元採取し、その日のうちに鑑定に出すことが出来た。

結果は早くて一週間くらい。
これで確実に諦められると言う覚悟を持つつもりでお願いしたけれど、もしかしたら違うかもしれないと言う一筋の希望はまだ消えない。
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