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第1章
花の香り
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《レオンside》
苛つく、苛つく、苛つく。
何度言っても足りない。
くそっ!
黒を基調とした部屋の十人は余裕で座れるだろう黒いソファに身を投げた。
誰か・・・・・俺のこの苛立ちをどうにかしてくれ。
そのとき、バタバタという何人もの人の足音がこの魔界の王たる俺の城に響き渡る。
チッ
今度はなんだ!
バンッ
部屋の重圧のある扉が荒々しく開け放たれる。
「ノックもなしになんだ!?」
「も、申し訳ありません!ですが、これは一刻を争う事態!どうか、お許しください」
部屋に入ってきた、俺直属の執事、セバスチャン、通称じぃや。
細身の体に白い顎ヒゲが特徴のじぃや。
こーみえても一応ヴァンパイアだ。
俺の小さい頃からの執事で信頼のおける人物。
「用件を早く言え!」
「はっ。では、このじぃや、事の次第を簡潔に述べさせていただきます。魔界の警備隊が西の森を巡回中に人の子を発見し、保護。今、大広間に手足を拘束のうえ、待機させております。ここまでは良いのですが、あの者はなんというか、いつもの人の子とは異なると言いますか・・・・」
言い淀むじぃやの態度に苛立ちが増幅し、髪をかきあげる。
「いいから!さっさといえ!」
「はっ。申し訳ありません、レオン坊ちゃま。あの者からは人の子からする筈の苦い臭いは全くなく、更に言うと花の香りのような甘い香りが致します。その香りに包まれると安心するというか、落ち着くといくか。とにかく、不思議な感覚に陥るのです」
はぁ?人間からする筈の苦い臭いがしない!?
それに甘い花の香りって!
なんだよ、それ!
「大広間と言ったな?じぃや」
じぃやがはい、というのを確認して俺は足早に部屋をあとにする。
部屋を出てから、左に曲がり、直進すると、すぐに大広間にでる。
大広間に足を踏み入れると、微かに花の香りがした。
大広間には手足を拘束された少女と五、六人のうちの警備隊が少々困惑の表情を浮かべていた。
銀髪の長い髪をおろし、ブルーワンピースを着た、黄金色の目の少女。
俺は心臓を鷲掴みされるような感覚に陥る。
苦しいのに心地好くて、それでいて彼女を早く俺の腕のなかに閉じ込めたいと思っている。
俺は考えもまとまらない内に少女のもとへ、駆けていた。
苛つく、苛つく、苛つく。
何度言っても足りない。
くそっ!
黒を基調とした部屋の十人は余裕で座れるだろう黒いソファに身を投げた。
誰か・・・・・俺のこの苛立ちをどうにかしてくれ。
そのとき、バタバタという何人もの人の足音がこの魔界の王たる俺の城に響き渡る。
チッ
今度はなんだ!
バンッ
部屋の重圧のある扉が荒々しく開け放たれる。
「ノックもなしになんだ!?」
「も、申し訳ありません!ですが、これは一刻を争う事態!どうか、お許しください」
部屋に入ってきた、俺直属の執事、セバスチャン、通称じぃや。
細身の体に白い顎ヒゲが特徴のじぃや。
こーみえても一応ヴァンパイアだ。
俺の小さい頃からの執事で信頼のおける人物。
「用件を早く言え!」
「はっ。では、このじぃや、事の次第を簡潔に述べさせていただきます。魔界の警備隊が西の森を巡回中に人の子を発見し、保護。今、大広間に手足を拘束のうえ、待機させております。ここまでは良いのですが、あの者はなんというか、いつもの人の子とは異なると言いますか・・・・」
言い淀むじぃやの態度に苛立ちが増幅し、髪をかきあげる。
「いいから!さっさといえ!」
「はっ。申し訳ありません、レオン坊ちゃま。あの者からは人の子からする筈の苦い臭いは全くなく、更に言うと花の香りのような甘い香りが致します。その香りに包まれると安心するというか、落ち着くといくか。とにかく、不思議な感覚に陥るのです」
はぁ?人間からする筈の苦い臭いがしない!?
それに甘い花の香りって!
なんだよ、それ!
「大広間と言ったな?じぃや」
じぃやがはい、というのを確認して俺は足早に部屋をあとにする。
部屋を出てから、左に曲がり、直進すると、すぐに大広間にでる。
大広間に足を踏み入れると、微かに花の香りがした。
大広間には手足を拘束された少女と五、六人のうちの警備隊が少々困惑の表情を浮かべていた。
銀髪の長い髪をおろし、ブルーワンピースを着た、黄金色の目の少女。
俺は心臓を鷲掴みされるような感覚に陥る。
苦しいのに心地好くて、それでいて彼女を早く俺の腕のなかに閉じ込めたいと思っている。
俺は考えもまとまらない内に少女のもとへ、駆けていた。
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