俺以外に恋するの禁止令

ヒマリ

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シートと運転手

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龍雅は一通り笑い終えると、表情は柔らかいままに元に戻った。
「家、どこだ?送る」
普通なら、大丈夫です、とか言って断るところなんだろうけど、今の私には到底言える台詞ではない。
だって、私、現在進行形で迷子だもん!
「あのね、青川市の五条目!」
「お前、素直っつーか、無防備過ぎ」
なっ!?そんなことないもーん!
てか、ここで一人で帰れって言う方がよっぽど危ないし。
下手してら、一生家に帰れない・・・・・!!
龍雅は私の手を引いて、来た道を引き返すと黒塗りの高級車に乗り込んだ。
わあ!シート、ふかふか・・・・。
「お?龍雅が女をこの車に乗せるなんて珍しいっつーか、初めてじゃねぇか?」
「ああ。そうだな。でも、こいつは特別だ」
「へぇー。そんなにその女を気に入ってるんのか」
シートがふかふかな事について考えている、私に龍雅と運転手の会話は耳に入っていない。 
このふかふかなシート、何の素材使ってるんだろ?
シルクとか、絹とか?
あ!羽毛とかかな!?
「なあ、お嬢ちゃん。名前、何て言うの?」
運転手に話しかけられて、一旦シートのことについて思考するのを中断した。 
「神埼千春!おじさんは?」
「おじっ!?」
驚愕し、ショックを受けている運転手。
腹を抱えて大笑いする龍雅。
へ?なんか、私、変なこと言った?
モジャモジャでヘアセットされていない茶髪、目は開いてるのか開いていないのか分からないし、ヒゲは伸ばしっぱなしだし、ヨレヨレのスーツを着ているし、この姿を見て、おじさん以外のなんだと言うの?
「あのさ、千春ちゃん・・・・俺、一応、まだ29なんだけど・・・」
「へぇー。で、名前は?」
とりあえず、早くシートについての思考を再開させたかったので、おじさんの年齢についてはあえて反応しない。
「へぇー、って。それだけ?・・・まあ、いいや。俺は龍雅の専属運転手、九桐 光滋(くどう こうじ)だ。よろしくな、千春ちゃん」
「うん。よろしくね」
適当に返事を返すと、シートについての思考を再開した。
「え?なんか、冷たくない?」
「光滋に特に興味が湧かなかったんだろ。とりあえず、ほっとけ。そのうち、騒ぎ出すから」
龍雅は早くも私の扱い方を掴んだらしいが、シートについて考え込んでいた、私はまだ知らない。
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