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派閥争い

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どうも櫻井です。
雛巳に助けてもらった後、家に戻って荷物を軽くまとめていました。
正直めちゃくちゃ疲れてるし寝不足なんで後日にしたかったけど、こればかりは前もって昨日言ってたからね。
進藤さんの仕事が早いのが裏目に出たか。
ピンポーン!
あ、インターホンがなった。
どうやら引越し業者が来たようだ。
ぱっぱと移動して新居で寝よう。



進藤さんに言われた新居の場所へ着く。
前の家と設備などはほとんど変わらず立地だけが変わったような家だ。
良く言えばそのまま便利。
悪く言えば変わらずつまらない感じだ。
荷物を家の中に移し入れた。
後はとりあえず寝てしまおう。
そんなことを考えていると…。
ピンポーン!
再びインターホンがなる。
「はい?」
「私だ。進藤だ。ちょっと話があるんだが良いかな?」
「はぁ、どうぞ。」



「うん、新しい家もなかなかいい感じだな。」
進藤さんが家の中を歩き回る。
「あの、話ってなんですか?」
できればさっさと本題に入って欲しい。
こちとら寝不足なのだ。
「では単刀直入に…彼女から何か聞いたかな?」
「彼女?」
「…金堂さやかだ。昨日彼女のところに連れて行かれただろう?」
は?知ってたの?
てか知ってた上で助けに来ないで放置してたの?
助けに来いや!
「はい、連れてかれましたよ?まぁ結果的に帰ってこれましたけど。」
「一体どんな話をした?無事に帰って来れたのは…『金堂さやかの味方になったから』ではないだろうな?」
は?
こいつ知ってて助けに来なかったくせに一丁前に俺のこと疑ってるの?
なんなんコイツ!?
「そもそも俺はあんたの味方でもあのガキンチョの味方でもないです。どんな因縁があるか知らないですけれど、面倒ごとに巻き込まないでもらっていいですか?」
「そうか…金堂さやかから私について何か聞いたか?覚えていることを全て話してくれ。」
「いや別に…アンタと敵対してるって話と金堂側についた場合のメリットについて聞かされたぐらいですよ。」
「……。」
黙りこくってんじゃないよ。
明らかに疑ってるじゃん。
「まぁいいだろう。彼女のいうことなど信じないように。彼女が関わる話は碌でもない話ばかりだ。」
うっわ印象悪。
やめなーそういう陰口言うの。
ぶっちゃけ言われてる人より言ってる人のが評価下がるよ。
「それでは私はこの辺で失礼するよ。」
「はい。お気をつけて。」
はよ帰れ。
思いっきり気分悪くなったわ。
寝不足で疲れてるところをめっちゃ疑われて、人の陰口言っていくとか普通にどうかと思いますよ。
イケオジなのは見た目だけか?
精神面は幼稚寄りなんですね。
「はぁ…もういいや。寝よ。」



おはよう世界。
寝たら頭がスッキリした。
さて、色々あったことだし頭の中を一旦整理しよう。
恐らくこの世界の転生者には進藤派と金堂派、もしくはどちらにも属さないという3つの選択肢がある。
いや、もしかしたら他にも派閥がある可能性も捨て切れないが。
どちらかに属すれば衣食住の面倒を見てもらえるし、生活に困らないぐらいの金は貰える。
「…でも面倒ごとに巻き込まれるんだよな。」
俺としては面倒ごとに巻き込まれるのは本当に嫌なのだが、だからといって急に1人で生きていけるかと言われるとそれはできない。
「せめてマシだと思える方を選ぶしかないか。」
実際俺は進藤さんについても金堂についてもよく分かっていない。
進藤さんとは多少コミュニケーションを取ったが、今日の感じを見て不信感が増し増しだ。
それに金堂の存在は俺にとって大きな障害になり得る。
俺の能力の天敵だ。
ぶっちゃけあまり関わりたくない。
それでもどちらかを選ばなければというなら…。
「…味方につけるほうが安心か?」
味方ほどの距離にいるのも安心できないが…敵として迎え撃つよりは絶対にいいだろう。
ただ懸念点として…進藤さん以上に金堂のことをあまりにも知らない。
せめてもう少しアイツの事情や人間性を知りたいところだ。
「…いや人間性は駄目そうだよな。」
人のこと拘束して放置するような奴だし…。
いやまぁ連れて行くには骨が折れて、再度捕まえるときに都合がいいからなのかもしれないけれどさ…。
そんな中ふと思い出す。
「無限に金を生み出せる力…か。」



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