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第五話
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役所の前を通った時にチラリと中を覗いてみたが、仲間は一人も居なかった。ここでの仕事はもう終わったらしい。
他の街ならクエストにあぶれたいかついおっさんが数人居る場所だが、それすら居ない。本当にハンターが居ないのだ。
「掲示板を独占出来て仕事が選びたい放題なら長居する理由も無いしな。さっさと切り上げて昼飯に行ったんだろう」
そう解釈したグレイは、二軒隣りに有る武具屋に入った。
剣や鎧が陳列されている中、立派なライフルが壁に掛かっていた。一丁しかないが、中々の品だ。これは期待出来る。
「いらっしゃい。何のご用かな」
白髪の老人が出て来た。腰が曲がっていないので、見た目よりは若いだろう。
「銃弾が欲しい。ライフル用の7.62mmと拳銃用9mmの二種類だ」
「ほう。どれくらい?」
「とりあえず、一箱ずつ。質を見たいから、そんな感じで」
ニヤリと口の端を上げる老人。
「悪かったら、もう二度と来ないか」
「そうなるな。雷管が売っていたらそれでも寄るが」
「ほう、自作もやるのか」
「銃は剣とちがって信頼出来る職人が少ないから、どうしてもな。店主は自分の商品に自信は有るか?」
「俺も若い頃は銃で猟師をやってたから、物を見る目は有るつもりだ。ただ、先代の域にはまだまだだがな。最近は弾を買う奴が全然居ないから、リピーターになって貰える様に努力するよ」
そう言った老人は、ふたつの箱をカウンターに置いた。
「何個入り?」
「どっちも50」
「普通だな。なら値段はこれくらいか」
紙幣をカウンターに起き、銃弾入りの箱を受け取った。
「まいどあり。はいお釣り。雷管も鉛インゴットも売ってるが、買うか?」
「有るのか。今はまだ予備が有るから十分だが、この街に長く留まるなら世話になる」
お釣りの硬貨を財布に戻したグレイは、壁のライフルを見上げた。
「あれは使い込まれてるが、店主のか?」
「ああ。欲しいか?」
老人の目を見たグレイは、微かに笑んだ。物凄く重い想いが籠っている様だが、損得の無い陸の人間と慣れ合うつもりは無い。
「自分のが有るからいらない。――また来る」
武具屋から出たグレイは、真っ直ぐ家に帰った。
まだ魔物退治が終わっていないのか、誰一人とも出会わなかった。
「玄関が閉まっていたら、弾の品質チェックをしながら待つか」
そう思っていたが、ドアノブを回したらドアが開いた。
「お、もう帰ってるのか――」
内開きの玄関ドアを開けた途端、何かがドアにぶつかった。
「プギャッ」
「!?」
猫を踏み付けた様な音に驚いてノブから手を離すグレイ。
銀髪のレイがドアを開けて顔を出した。鼻の頭が赤くなっている。
「すまない、ぶつけてしまったな。大丈夫か?」
「いえ、よそ見をしていた私が悪かったですわ。ちょっとお買い物に行って来ますわ」
「ああ」
レイと入れ替わりに家に入ったグレイは、二階の自室に戻って黒コートを脱いだ。
そして床に座り、弾の品質チェックを始めた。
「……悪くないな」
ライフル用の弾の不良は50個中一個で、拳銃用の不良はゼロだった。
命中率の影響を調べて問題が無かったら、あの武具屋を贔屓にするのも悪くないだろう。
いつ魔物と戦っても問題が無くなったので、しばらくはハンターとしての仕事を頑張ろうと思うグレイだった。
他の街ならクエストにあぶれたいかついおっさんが数人居る場所だが、それすら居ない。本当にハンターが居ないのだ。
「掲示板を独占出来て仕事が選びたい放題なら長居する理由も無いしな。さっさと切り上げて昼飯に行ったんだろう」
そう解釈したグレイは、二軒隣りに有る武具屋に入った。
剣や鎧が陳列されている中、立派なライフルが壁に掛かっていた。一丁しかないが、中々の品だ。これは期待出来る。
「いらっしゃい。何のご用かな」
白髪の老人が出て来た。腰が曲がっていないので、見た目よりは若いだろう。
「銃弾が欲しい。ライフル用の7.62mmと拳銃用9mmの二種類だ」
「ほう。どれくらい?」
「とりあえず、一箱ずつ。質を見たいから、そんな感じで」
ニヤリと口の端を上げる老人。
「悪かったら、もう二度と来ないか」
「そうなるな。雷管が売っていたらそれでも寄るが」
「ほう、自作もやるのか」
「銃は剣とちがって信頼出来る職人が少ないから、どうしてもな。店主は自分の商品に自信は有るか?」
「俺も若い頃は銃で猟師をやってたから、物を見る目は有るつもりだ。ただ、先代の域にはまだまだだがな。最近は弾を買う奴が全然居ないから、リピーターになって貰える様に努力するよ」
そう言った老人は、ふたつの箱をカウンターに置いた。
「何個入り?」
「どっちも50」
「普通だな。なら値段はこれくらいか」
紙幣をカウンターに起き、銃弾入りの箱を受け取った。
「まいどあり。はいお釣り。雷管も鉛インゴットも売ってるが、買うか?」
「有るのか。今はまだ予備が有るから十分だが、この街に長く留まるなら世話になる」
お釣りの硬貨を財布に戻したグレイは、壁のライフルを見上げた。
「あれは使い込まれてるが、店主のか?」
「ああ。欲しいか?」
老人の目を見たグレイは、微かに笑んだ。物凄く重い想いが籠っている様だが、損得の無い陸の人間と慣れ合うつもりは無い。
「自分のが有るからいらない。――また来る」
武具屋から出たグレイは、真っ直ぐ家に帰った。
まだ魔物退治が終わっていないのか、誰一人とも出会わなかった。
「玄関が閉まっていたら、弾の品質チェックをしながら待つか」
そう思っていたが、ドアノブを回したらドアが開いた。
「お、もう帰ってるのか――」
内開きの玄関ドアを開けた途端、何かがドアにぶつかった。
「プギャッ」
「!?」
猫を踏み付けた様な音に驚いてノブから手を離すグレイ。
銀髪のレイがドアを開けて顔を出した。鼻の頭が赤くなっている。
「すまない、ぶつけてしまったな。大丈夫か?」
「いえ、よそ見をしていた私が悪かったですわ。ちょっとお買い物に行って来ますわ」
「ああ」
レイと入れ替わりに家に入ったグレイは、二階の自室に戻って黒コートを脱いだ。
そして床に座り、弾の品質チェックを始めた。
「……悪くないな」
ライフル用の弾の不良は50個中一個で、拳銃用の不良はゼロだった。
命中率の影響を調べて問題が無かったら、あの武具屋を贔屓にするのも悪くないだろう。
いつ魔物と戦っても問題が無くなったので、しばらくはハンターとしての仕事を頑張ろうと思うグレイだった。
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