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第二十一話
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数人に話を訊くと、全員に役所も仮施設として街の外に出ているからそっちで聞いてくれと言われた。疲れているので余所者とは話したくない、と態度に出ていた。
大きめのテントだからすぐ分かると教えてくれた人が指差す方を見ると、確かにすぐ分かった。
「こんにちは。僕達はハンターです。ここが役所で間違いありませんか?」
大きなテントの入り口を覆っていた布をめくって中を覗いてみると、数人の人が質素な造りのテーブルと椅子で仕事をしていた。その中の一人が立ち上がり、テルラ達の対応に当たってくれた。
「ハンターさんですか。ここまで来られたのなら緊急事態の真っ最中である事は察しておられると思います。周辺警備と言う形での魔物退治の仕事は有りますが、予算を避難生活に回さないといけませんので基本無給となります」
「その緊急事態について教えてくださいませんこと?」
大きなリュックを背負った金髪少年の斜め後ろから尋ねる銀髪美女。それが王女だと気付いた役所の人が驚きの声を上げる前に片手を上げたレイは、一睨みで場の動きを止める。
「わたくしはいちハンターですわ。で、質問の答えは頂けますか?」
「あ、はい! 実は――」
この街は、数か月前からネズミの害に悩まされていた。
ネズミの害自体はどこの街でも良く有る事なので最初は通常の対処をしていたが、一ヶ月ほど前から急激に数が増えた。
対処の強化をしても増え続けた。
増え過ぎて、先日の王女誕生日に王都へ向かう貴族の立ち寄りを断るほど。
それからも様々な対処を試したが事態は収まらず、通常の観光客や流浪のハンター等の立ち寄りを禁止する通知を出すまでに状況は悪化した。
それでは街の収入が減るのでネズミ退治の専門班を結成したが、それでもネズミの数は増え続けた。
しまいにはネズミの大群が表通りに溢れ、人を恐れずに太陽の下で走り回る様になってしまった。
「恐ろしいほどの繁殖力ですね。話を聞く限り、ネズミ型の魔物、と考えられますね」
立ち話ではなんですのでと勧められた椅子に座ったテルラが言う。
他の仲間達も座ったが、護衛役のプリシゥアだけは立ったままだ。
王女が来ているので、説明役以外の市の職員達も全員起立して整列している。
「魔物だったとしても対処の仕方は変わりませんけどね。ただ、増え過ぎたせいでとんでもない問題が発生しました。エサが減ったからか、怪我人や老人など、動けない人間まで齧る様になったんです」
息を吞むテルラ達。
「庭に出されている元気な番犬まで齧られたと言う報告も有りましたので、このままでは元気な人間であってもネズミにやられてしまう。魔物でなかったとしても、魔物以上の脅威です」
「想像しただけで気持ち悪い。鳥肌立っちゃった」
嫌悪感で顔を歪めているカレンが自分の腕を擦る。
「なので、取り返しの付かない被害が出る前にいったん住人全員が街の外に出て、ネズミ退治専門班が一網打尽にする作戦を取りました。勇者はもちろん、その時街に滞在していたハンターも中に残って退治してくださっています」
「賢明な判断です、と言うよりも、そうするしかありませんわよね。しかし、予算、治安維持、避難誘導等々考えると、なかなか決行出来ません。大変な判断が素早く行われた事、わたくしは好ましく思います」
王女に褒められたので破顔する市の職員達。
「ありがとうございます。現在は、中からの戦況報告の第一報を待っている、と言う状況です」
大きめのテントだからすぐ分かると教えてくれた人が指差す方を見ると、確かにすぐ分かった。
「こんにちは。僕達はハンターです。ここが役所で間違いありませんか?」
大きなテントの入り口を覆っていた布をめくって中を覗いてみると、数人の人が質素な造りのテーブルと椅子で仕事をしていた。その中の一人が立ち上がり、テルラ達の対応に当たってくれた。
「ハンターさんですか。ここまで来られたのなら緊急事態の真っ最中である事は察しておられると思います。周辺警備と言う形での魔物退治の仕事は有りますが、予算を避難生活に回さないといけませんので基本無給となります」
「その緊急事態について教えてくださいませんこと?」
大きなリュックを背負った金髪少年の斜め後ろから尋ねる銀髪美女。それが王女だと気付いた役所の人が驚きの声を上げる前に片手を上げたレイは、一睨みで場の動きを止める。
「わたくしはいちハンターですわ。で、質問の答えは頂けますか?」
「あ、はい! 実は――」
この街は、数か月前からネズミの害に悩まされていた。
ネズミの害自体はどこの街でも良く有る事なので最初は通常の対処をしていたが、一ヶ月ほど前から急激に数が増えた。
対処の強化をしても増え続けた。
増え過ぎて、先日の王女誕生日に王都へ向かう貴族の立ち寄りを断るほど。
それからも様々な対処を試したが事態は収まらず、通常の観光客や流浪のハンター等の立ち寄りを禁止する通知を出すまでに状況は悪化した。
それでは街の収入が減るのでネズミ退治の専門班を結成したが、それでもネズミの数は増え続けた。
しまいにはネズミの大群が表通りに溢れ、人を恐れずに太陽の下で走り回る様になってしまった。
「恐ろしいほどの繁殖力ですね。話を聞く限り、ネズミ型の魔物、と考えられますね」
立ち話ではなんですのでと勧められた椅子に座ったテルラが言う。
他の仲間達も座ったが、護衛役のプリシゥアだけは立ったままだ。
王女が来ているので、説明役以外の市の職員達も全員起立して整列している。
「魔物だったとしても対処の仕方は変わりませんけどね。ただ、増え過ぎたせいでとんでもない問題が発生しました。エサが減ったからか、怪我人や老人など、動けない人間まで齧る様になったんです」
息を吞むテルラ達。
「庭に出されている元気な番犬まで齧られたと言う報告も有りましたので、このままでは元気な人間であってもネズミにやられてしまう。魔物でなかったとしても、魔物以上の脅威です」
「想像しただけで気持ち悪い。鳥肌立っちゃった」
嫌悪感で顔を歪めているカレンが自分の腕を擦る。
「なので、取り返しの付かない被害が出る前にいったん住人全員が街の外に出て、ネズミ退治専門班が一網打尽にする作戦を取りました。勇者はもちろん、その時街に滞在していたハンターも中に残って退治してくださっています」
「賢明な判断です、と言うよりも、そうするしかありませんわよね。しかし、予算、治安維持、避難誘導等々考えると、なかなか決行出来ません。大変な判断が素早く行われた事、わたくしは好ましく思います」
王女に褒められたので破顔する市の職員達。
「ありがとうございます。現在は、中からの戦況報告の第一報を待っている、と言う状況です」
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