閨から始まる拗らせ公爵の初恋

ボンボンP

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side story 王と臣下 オーギュストとアルベール

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俺が貴族学院高等部の卒業を控えた頃、王妃が亡くなった。
流行り病にかかり回復する事なく呆気なく。

王の嘆き様は酷いもので祖父は辟易した様子だった。



俺が高等部に入ってからは両親よりも祖父との関係の方が近しくなっていた。

外務大臣を降ろされた父は領地を治めているので、めったに王都には来ないし母上も領地から出ることが無かったからだ。

祖父は俺が国政に携わる事を願っていて、そうなるようにハッキリと進む道を示されていた。

ただ、俺はあの王の傍で働くことが嫌だった。




俺が中等部を卒業する頃に王宮に呼ばれて王と王妃から謝罪をされた。
許せないが王は罰を受けたので表面上は謝罪を受け入れた。

既に父上からどうしてあのような事になったかは説明をされていた。
俺は自分でも父上を許したのか、恨んでいるのか、呆れているのかわけのわからない感情で結局、学生寮からタウンハウスに戻ることはしなかった。

母も一人ではなく領地で父上と過ごす中で穏やかに過ごせる時間が増えていった。

祖父からも詫びられていたし王家の慣習の問題が発端だったと聞いた。

王族の理由のわからない理屈には納得できないしイライラした。
良くないと分かっていれば、さっさと変えようと努力すれば良かったのに。


だから俺は、国政に携わりこの国の理不尽な悪政は全て変えてやろうと決心した。



王妃の葬儀は国葬で大聖堂で行われた。
俺は父上と参列した。

王は確かに憔悴していた。
父上とそう年齢も変わらないのにだいぶ老けて見えた。

その近くには王妃の実家である公爵家の人たちと王太子の姿があった。
5歳だというのに涙を堪えてちゃんと立って司祭の言葉を聞いているようだ。

俺は異母弟であるオーギュスト王子と話した事はまだない。
だが、彼の後ろ盾にはなりたいと思った。

王の後方で側妃に手を引かれた王子達を見たからだ。
母を亡くした王子がちゃんと王太子になり、次代の王となれるように俺がささえよう。

きっと父上も祖父もそう思っているだろう。

ただ、今は悲しみに暮れる王が側妃に惑わされて、余計な事を考えないように見張っていかなければならない。

変な考えを持つようならばあの王を出来るだけ早く排除してやるつもりだ。

本来なら第一子であるオーギュストが文句なく王太子なのだが、父上達が慣習を変えようとしたために何ともややこしい状況になっているのだ。




貴族は5歳の誕生月にお披露目会をするのが決まっているのだが、王妃が亡くなったということもありオーギュストのお披露目会は翌年に持ち越された。

そして、オーギュスト以外の王子2人も数ヶ月差で産まれたのだから、3人一緒のお披露目会となったのだ。

貴族たちも始めはざわめいていたがそのうち、ただ一人王家の金髪碧眼を受け継いだオーギュストだけを見るようになった。

父上の名代として俺がお披露目会に出席したが、側妃に手を引かれた王子たちとは違ってオーギュストは王の傍に一人で立っていた。

俺の挨拶を受けるオーギュストは、同じ金髪碧眼の俺が珍しいのかじっと見ていた。
王は別の意味で俺をじっと見ているようだったが…。



高等学院専門科で政治や統治学を学んだ俺は19歳で王宮の文官になり、そこから宰相になるべく進むことになる。

仕事に慣れた頃、祖父に離宮に呼ばれて9歳のオーギュストと引き合わされた。
オーギュストに俺が異母兄であることは伝えていないしそのつもりはない。

もし、今後何かのはずみでオーギュストが知ってしまったら、彼が俺を兄として慕ってくるならそれは受け入れるつもりだ。

だが王子と臣下という身分は変わらない。

今後は従兄弟として定期的に交流を持とうということになった。

9歳の子どもには息抜きが必要だと思うから毎月、離宮にて2人で過ごす時間を作った。

俺の受けてきた教育よりももっと厳しく大変な毎日を送っているだろうから。

今、祖父がまだ元気なうちにオーギュストの心身の安全を護るために動いてもらう。

俺が宰相補佐官になるまでには彼の側近に相応しい者達を選び、何としても彼を王太子にする為に動く。
国王には出来るだけ早く王位から退いてもらい、自分の血が入っていない嫡男が王座に座るのを見てもらおう。

第2王子と第3王子、第1王女は余計な野心を持たせないようにする。
そして国の為に色々な駒として働いてもらおう。
側妃たちの動きにも目を光らせよう。


俺は、今できることを精一杯やろうと気持ちを新たにして王宮の執務室に向かう。




fin.




❥❥❥拙い文章を最後まで読んで頂き本当にありがとうございました。
         感謝、感謝です。

  














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